JSTトッププレス一覧科学技術振興機構報 第310号 > 語句説明

【語句説明】

注1) 自然免疫:病原体感染初期の感染防御を担う免疫機構。以前は原始的で特異性の無いものと考えられてきましたが、最近、Toll-like receptorの発見、その役割の解析により、自然免疫系が病原体を特異的に認識すること、病原体に適応した反応を引き起こすこと、また感染後期の獲得免疫系の活性化にも重要な役割を果たしていることが明らかとなってきました。

注2) Toll-like receptor (TLR):細胞膜に存在するタンパク質の一種で細胞外の病原体を認識し、細胞内にその情報を伝えることにより、炎症性サイトカインなどの産生を促します。その結果抗ウイルス反応が引き起こされます。

注3) フラジェリン:細菌の鞭毛を構成する球状タンパク質。鞭毛は、球状のフラジェリンが一列に並んだ素繊維が、円筒状に束ねられてできています。

注4) 腸チフス:サルモネラの一種であるチフス菌によって引き起こされる感染症。感染源は汚染された飲み水や食物などです。40度近い高熱を出し、下痢、または便秘を起こします。衛生環境の悪い地域や発展途上国で発生して流行を起こす伝染病であり、発展途上国を中心にアフリカ、東アジア、東南アジア、中南米、東欧、西欧など世界各地で発生が見られます。日本では感染症の予防及び感染症の患者に対する医療に関する法律で二類感染症に指定されており、感染症病院での治療が義務付けられています。

注5) 樹状細胞:免疫細胞の一種で、体内に入り込んだ異物のセンサーとして働く細胞のこと。

注6) 遺伝子欠損マウス:特定の遺伝子を機能させなくしたマウスのこと。機能が分からない遺伝子が見つかったとき、遺伝子操作によってその遺伝子を発現しないマウス(遺伝子欠損マウス)を作製し、正常のマウスと比較して機能を調べるのに用います。