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<用語解説>

注1)プリオン病:
 ヒトのクロイツフェルト・ヤコブ病、ヒツジのスクレイピー、ウシの海綿状脳症(狂牛病)などプリオンがその病因に関与する神経変性疾患の一群です。プリオン病には弧発性、遺伝性、そして感染によるものがあります。特に、狂牛病を患った牛の肉を食することによるヒトへの感染は、近年、私たちに大きな脅威を与えており、プリオン病の病態解明は重要な研究課題となっています。

注2)酵母プリオン:
 哺乳動物のプリオン蛋白質と相同性はないものの、それらと同様の振る舞いをする蛋白質が酵母や真菌でも見つかっています。酵母に存在する、そのような蛋白質(Sup35やUre2)は"酵母プリオン"と呼ばれ、これまでに、プリオン伝搬因子や伝搬分子メカニズムの解明に画期的な役割を果たしてきています。

注3)プリオン株:
 同一のアミノ酸配列からなるにもかかわらず、異なる病態や性質を示す系統の各プリオン化酵母のことを指します。プリオン株の存在はプリオン病がプリオン蛋白質のみによって感染するという"蛋白質オンリー仮説"と相容れない現象として、プリオン仮説に対する批判の対象になっており、そのため、プリオン株存在の分子メカニズムの解明はプリオン仮説の証明にもつながります。

注4)アミロイド:
 蛋白質が繊維状に凝集した状態であり、直径5〜20nm、長さは100nm以下のものから1μm以上まで及ぶものもあります。コンゴーレッドなどの色素と特異的に結合するという特徴があります。また、様々な神経変性疾患において、原因蛋白質のアミロイド化は疾患との関係が指摘されています。

注5) [PSI+]の系:
 酵母プリオンの系では、酵母プリオン蛋白質Sup35が凝集体を形成しているプリオン化した細胞を[PSI+]、Sup35蛋白質がすべて可溶化している非プリオン化細胞を[PSI-]といいます。この系では、富栄養固体培地上で[PSI-]の細胞は赤色を、[PSI+]細胞は白色〜ピンク色を呈し、これらの色の違いから[PSI+]と[PSI-]の識別が容易です。また、[PSI+]細胞に見られる、白色〜ピンク色の様々な色の違いが"プリオン株の存在"に対応しています(図1)。