本新技術の背景、内容、効果は次の通りである。

(背景) 自動で、回路ブロックを所定の領域に矛盾なく配置する集積回路設計ツールが待望されていました。

 集積回路の配線図から、実際の素子の配置や配線を決める際には、機能、消費電力、配線長等の制約を考慮した上で、定められたチップサイズの範囲内に収まるように最適化する必要がある。従来は、熟練設計者が配置設計したデータを、シミュレーションで評価し、悪い部分を再設計するという試行錯誤が最適化には必要であり、集積回路の高密度化、複雑化に伴い、設計工程にかかる時間とコストが肥大するという問題があった。このため、期間短縮、コスト低減に寄与する自動配置配線をするソフトウエアが望まれていた。

(内容) 多数の回路ブロックを自動的かつ合理的に配置可能な新しい配置設計ツールです。

 本新技術は、ある領域に詰め込まれたブロックの配置が「シーケンスペア」という簡単な順列で記述できることを利用している。(図1)1つの順列からは、1対1で対応するブロックの概略配置が容易に生成できるため、最適な配置の決定が効率よく、しかも短時間で行うことができる。(図2)本開発の配線ツールは、さらにブロック間の配線に要する境界スペースを自動生成することで、ブロック配置に伴う配線スペースまで考慮に入れた最適化を行うことを可能としている。ブロック化されていない部分を包含する場合は、自動的に疑似ブロックを生成することが可能で、新規な回路設計においても本新技術を用いたブロックレイアウト手法で統一的に配線設計が行えるようになっている。

(効果) 信頼性の高い自動配線が高速で可能となり、設計の生産性が向上します。

 集積回路の設計負担を軽減する1手法として、すでに配線が完了した回路ブロックを、集積回路の機能に合わせて用意し、これらを適切に配置、配線して素子の配置配線を完了する手法がある。本開発の自動配線ツールをこの手法に適用することにより、配置最適化に必要な煩雑な工程を大幅に簡略化でき、配線設計のスピードアップとコストの低減に大きく寄与できるため今後益々複雑化する集積回路設計工程での利用普及が期待される。

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This page updated on February 9, 2004

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