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科学技術振興機構報 第293号

平成18年5月22日

東京都千代田区四番町5−3
科学技術振興機構(JST)
電話03(5214)8404(総務部広報室)
URL http://www.jst.go.jp

アトピー性皮膚炎に伴うかゆみを鎮静化させる機能性繊維の開発に成功

 JST(理事長 沖村憲樹)は、独創的シーズ展開事業 委託開発の開発課題「痒み鎮静作用を有する機能性繊維」の開発結果を、このほど成功と認定しました。
 本開発課題は、信州大学学長 小宮山淳、信州大学理事 白井汪芳(しらいひろふさ)、花園病院元院長 横関徳二および神村製作所社長 神村昌孝の研究成果を基に、平成14年3月から平成18年2月にかけて大和紡績株式会社(受託事業会社:ダイワボウノイ株式会社、取締役社長 阪口政明、本社住所 大阪府大阪市中央区久太郎町3丁目6番8号、資本金1億円、電話:06-6281-2325)に委託して、企業化開発(開発費約235百万円)を進めていたものです。
 アトピー性皮膚炎は、かゆみを伴う再発性の湿疹性皮膚疾患です。かゆみに耐えきれず引っ掻くと、それが原因で出血・細菌感染を引き起こすなど皮膚の状態が悪化し、さらにかゆみが増すという悪循環に陥ります。そのため、皮膚管理におけるかゆみの鎮静化が、アトピー性皮膚炎の治療において重要な課題となっていました。
 本事業では、鉄フタロシアニンテトラカルボン酸注1で繊維を染色することにより、かゆみ鎮静化機能を持たせる技術を開発しました。本技術は、かゆみ悪化因子であるダニアレルゲンやハウスダスト、汗抗原を吸着・除去すること、およびアトピー性皮膚炎患者の湿疹病変に100%近い割合で検出される黄色ブドウ球菌等細菌の異常繁殖を防止して毒素を低減させることにより、かゆみを鎮静化します。大和紡績株式会社と久光製薬株式会社が共同で行った臨床試験の結果、80%を超す被験者でかゆみ鎮静効果が確認されました。
 本技術は、抗アレルギー剤服用といった治療法とは異なり、着用することによってかゆみを鎮静化するという全く新しいタイプの製品です。アトピー性皮膚炎の治療は、ステロイド剤を中心とする外用療法、スキンケアを含む生活指導、および悪化因子の探索・除去が、基本的なアプローチです。本開発成果品は、悪化因子を除去することによりかゆみ鎮静化に寄与します。アトピー性皮膚炎に悩んでいる患者本人のみならず、その家族のQOL(生活の質)を改善する技術として期待されます。


本新技術の背景、内容、効果の詳細は次の通りです。

(背景)  かゆみを抑制して皮膚管理を行う製品が望まれていました。

 アトピー性皮膚炎は、かゆみを伴う再発性の湿疹性皮膚疾患です。かゆみに耐えきれず引っ掻くと、それが原因で出血・細菌感染を引き起こすなど皮膚の状態が悪化し、さらにかゆみが増すという悪循環に陥ります。そのため、皮膚管理におけるかゆみの鎮静化が、アトピー性皮膚炎の治療において重要な課題となっていました。

(内容)  鉄フタロシアニンテトラカルボン酸で繊維を染色することにより、かゆみを鎮静化させる技術を開発しました。

 有機無機複合金属錯体である金属フタロシアニンは、さまざまな触媒作用を有することが知られています。本事業では、鉄フタロシアニンテトラカルボン酸で繊維を染色することにより、かゆみ鎮静化機能を持たせる技術を開発しました。従来の製造方法では、均一に染色するため、さまざまな染色助剤注2が使用されていました。本事業では、アトピー性皮膚炎患者のような皮膚バリア性が低下している人が装着することを考慮して、これらの薬剤をほとんど使用しない製造方法を確立しました。
 本技術を用いて製造した下着(図1)は、かゆみ悪化因子であるダニアレルゲンやハウスダスト、汗抗原注3を吸着・除去すること、およびアトピー性皮膚炎患者の湿疹病変に100%近い割合で検出される黄色ブドウ球菌等の異常繁殖を防止して毒素を低減することにより、かゆみを鎮静化します。本下着を脱ぐと効果が止まるため、かゆみ抑制には、本下着と皮膚が直接触れている必要があることが分かりました。大和紡績株式会社と久光製薬株式会社が共同で行った臨床試験の結果(図2)、80%を超す被験者でかゆみを抑える有効性注4が確認されました。

(効果)  かゆみに苦しんでいる人々のQOL(生活の質)改善に貢献できます。

 本技術は、抗アレルギー剤服用といった治療法とは異なり、着用することによってかゆみを鎮静化するという全く新しいタイプの製品です。アトピー性皮膚炎の治療は、ステロイド剤を中心とする外用療法、スキンケアを含む生活指導および悪化因子の探索・除去が、基本的なアプローチです。本開発成果品は、悪化因子を除去することによりかゆみ鎮静化に寄与します。アトピー性皮膚炎に悩んでいる患者本人のみならず、その家族のQOL(生活の質)を改善する技術として期待されます。

<用語解説>
図1 かゆみ鎮静作用を有する下着
図2 下着着用によるかゆみの抑制
図3 かゆみスコア
開発を終了した課題の評価

<お問い合わせ先>

ダイワボウノイ株式会社
生活資材部 檜垣 誠吾(ヒガキ セイゴ)
〒539-0000 大阪府大阪市中央区久太郎町3丁目6番8号
TEL: 06-6281-2411 FAX: 06-6281-2531

独立行政法人科学技術振興機構 産学連携推進事業本部
開発部 開発推進課
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