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科学技術振興機構報 第283号

平成18年4月19日

東京都千代田区四番町5−3
科学技術振興機構(JST)
電話(03)5214-8404(総務部広報室)
URL http://www.jst.go.jp

副作用低減・効果激増の新しい皮膚再生治療薬でベンチャー企業設立

(JSTプレベンチャー制度の研究開発成果を事業展開)

 JST(理事長 沖村憲樹)は、平成11年度より大学等の研究成果をベンチャービジネスにつなげていくために、起業化に向けた研究開発を行うプレベンチャー事業を実施してきました。
 この度、平成15年度より開始した研究開発課題「皮膚再生のためのレチノイン酸ナノ粒子」の研究開発チーム(リーダー:五十嵐 理慧(いがらし りえ) 聖マリアンナ医科大難病治療研究センター 助教授、サブリーダー:山口 葉子(やまぐち ようこ)のメンバーが出資して、ベンチャー企業 株式会社ナノエッグ(代表取締役社長:山口葉子、本社:神奈川県川崎市、資本金:1,000万円)を平成18年4月6日に設立しました。
 シミ・しわ・にきびの治療目的のために、皮膚再生に必要なビタミンAの生理活性物質であるレチノイン酸を利用した治療が10数年前より米国で行われてきました。しかし、レチノイン酸を使うと分子構造に酸の部分があるため、レチノイン酸が皮膚角質層へ透過されにくく、皮膚の表面にとどまり、副作用である発赤・痛み・痒みなどの反応性皮膚炎が使用後2〜3日後に発症します。このため炎症後の色素沈着によるシミ再形成や痛みが発生し、使用は困難でした。
 本研究開発チームは、副作用の原因であるレチノイン酸分子の酸の部分を炭酸カルシウム薄膜でおおい、非常に小さい球状直径約15〜20ナノメートル(1ナノメートルは10億分の1メートル)のカプセルNANOEGGTM(ナノエッグ)にして、レチノイン酸を皮膚角質層へ透過させ、すばやく表皮層に到達させる技術を開発しました。この世界初の技術によりシミの原因であるメラニン色素が排出され、副作用を伴わずに短時間でシミが少なくなります。また、表皮細胞の分化・増殖時に皮膚に多く含まれ保水や弾力に必要なヒアルロン酸を産生するため、しわの改善も短時間で達成されました。
 さらに研究開発過程から、様々な薬物の経皮吸収メカニズムを見いだし、新たな外用基剤としてNANOCUBETM(ナノキューブ)も開発しました。このNANOCUBETMにより従来不可能だった高分子量の薬物や水溶性薬物の高効率な経皮吸収を世界で初めて可能としました。
 同社は、製薬企業との業務提携、化粧品メーカーとの研究開発・業務提携、及び創薬事業における経皮吸収のための共同研究開発を行い、平成21年度には年間10億円の売上を目指します。
 今回の株式会社ナノエッグの設立により、当事業及び大学発ベンチャー創出推進の制度によって設立したベンチャー企業数は44社になりました。
■ 開発した技術概要
■ 企業概要

<本件お問い合わせ先>

独立行政法人 科学技術振興機構
産学連携事業部 技術展開部 新規事業創出課
〒102-8666 東京都千代田区四番町5−3
松本 葵(マツモト アオイ)、米谷 雅之(ヨネヤ マサユキ)
TEL: 03-5214-0016 FAX: 03-5214-0017

株式会社 ナノエッグ
代表取締役社長 山口 葉子
〒216-8512 神奈川県川崎市宮前区菅生2-16-1
聖マリアンナ医科大学難病治療研究センター内
TEL: 044-978-5231 FAX: 044-978-5232