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科学技術振興機構報 第265号

平成18年3月7日

東京都千代田区四番町5−3
科学技術振興機構(JST)
電話(03)5214-8404(総務部広報室)
URL http://www.jst.go.jp

あらゆる有機分子を固定化するバイオチップの開発・製造・販売を行う企業設立

(独創的シーズ展開事業 大学発ベンチャー創出推進から事業展開)

 JST(理事長 沖村憲樹)は、平成15年度より大学等の研究成果をベンチャービジネスにつなげていくために起業化に向けた研究開発を行う独創的シーズ展開事業 大学発ベンチャー創出推進を実施してきました。
 この度、平成15年度に開始しました研究開発課題「光固定化法によるマイクロアレイ型バイオチップの開発」(開発代表者:伊藤嘉浩 理化学研究所主任研究員兼神奈川科学技術アカデミープロジェクトリーダー、起業家:大村 馨)の研究開発チームは、あらゆる有機分子を固定化することが可能な新しい光固定化技術を開発し、この技術をベースに各種タンパク質チップ用固定化剤を製品化しました。この研究成果をもとに、チームメンバーと協力支援者が共同出資して、ベンチャー企業、ヒラソルバイオ株式会社(GIRASOL BIO INC.)[代表取締役:大村 馨、本社:埼玉県さいたま市、資本金:1,200万円]を、平成18年2月1日に設立いたしました。
 DNAやタンパク質には、互いを特異的に認識する物質(cDNA注1, 抗原等)が存在します。この特異的に認識するDNAやタンパク質を基板上(チップ)に多数固定配置し、生体から採取した試料(血液など)を付着させると、試料中に含まれる特定のDNAやタンパク質はチップ上のDNAやタンパク質に特異的に反応します。この反応した箇所と、していない箇所とをチップ上で比較することで、試料中の物質を同定できます。この方法は、疾病診断やDNA鑑定など様々な分野で応用されています。
 一般に利用されるDNAチップは、化学的に多様なタンパク質を共有結合などで利用して固定化するために固定化条件が特定され、一つのチップに多様なタンパク質を固定化することは困難です。今回新たに開発した光固定化法は、固定化剤の分子構造及び固定化条件などの最適化により、あらゆる種類のタンパク質の固定化ができるとともに、検出感度を低下させる被検出物質の非特異的吸着を抑制するため、今までは難しかった診断を可能にします。 ヒラソルバイオ株式会社は、光固定化用の固定化剤及び固定化剤プレコート基板の販売を行いながら、様々な疾患を対象にしたコンテンツ開発を継続し、テーラーメイド医療を可能にする病気診断用チップをラインナップしていくことを目指します。
 起業後2〜3年間は、固定化剤及び固定化剤プレコート基板の販売を手がけ、5〜10年後には診断チップの販売により、年間売上10億円を目指します。
 今回の「ヒラソルバイオ株式会社」の設立により大学発ベンチャー創出推進によって設立したベンチャー企業は4社となりました。
■ 製品例・実施例
■ 企業概要
■ 事業形態

■用語説明

注1)cDNA
 様々なタンパクを定義しているDNAは、生体内でDNAと相補的な塩基配列をもったmRNAに変換される。そのmRNAを鋳型に、逆転写酵素によって合成されるDNAはmRNAとは相補的な塩基配列となるため、相補的DNA(complementary DNA;cDNA)と呼ばれる。

<本件お問い合わせ先>

独立行政法人 科学技術振興機構
産学連携事業部 技術展開部 新規事業創出課
〒102-8666 東京都千代田区四番町5−3
松本葵、 粂田真宏
TEL: 03-5214-0016 FAX: 03-5214-0017

ヒラソルバイオ株式会社
代表取締役 大村 馨
〒 338-0002埼玉県さいたま市中央区下落合5−15−20
TEL: 090-8309-0820 FAX: 048-858-6777