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資料1

戦略的創造研究推進事業 ICORP型研究
(平成17年度発足)


研究領域「超短パルスレーザー」

研究総括 小林 孝嘉 氏
(東京大学大学院 理学系研究科 教授)


研究領域「超短パルスレーザー」の概要

究極的な光の発生技術やその検知技術をはじめとする研究は、光・光量子科学技術を核にした次世代基盤技術を開拓する分野として注目を集めています。この分野で、日本は可視・近赤外領域におけるフェムト秒光パルス発生、極超短近赤外光パルスにおけるパルス内位相制御において世界をリードする研究を行っており、そのさらなる進展や応用への展開がより一層望まれています。

本研究領域は、超短パルス光源と超広帯域・超高感度の検出装置を開発し、電子状態、分子振動における動的過程の観察を可能とし、物質科学の新たな展開を図るものです。具体的には、超広帯域の実時間分光、励起状態の実時間分光を目指します。また、パルス内位相制御をした極超短パルス赤外光パルスを用いて、分子振動位相の測定および制御を目指します。本研究領域は、超短パルスの発生技術および超広帯域・高感度の検出技術の開発により、電子状態、分子振動における動的過程の実時間観察の実現を通して、視覚、光合成、蛋白質フォールディング等機構解明など、バイオ、工学等への貢献が期待されます。これにより本研究領域は戦略目標「光の究極的及び局所的制御とその応用」に資するものと期待されます。

研究総括 小林 孝嘉 氏の略歴等
(相手国:ドイツ)相手側研究総括 Ferenc Krausz 氏の略歴等

戦略的創造研究推進事業 ICORP型研究
(平成17年度発足)


研究領域「時空間秩序」

研究総括 吉川 研一 氏
(京都大学大学院 理学研究科 教授)


研究領域「時空間秩序」の概要

近年、生命の分子論(部品の構造と機能)に関する研究が急展開を見せています。一方、生命体では、多様な分子が自律的に集合し、形態形成や自己修復を行い、さらには、自発的なリズムを作り出しています。このような生命システムの特質に迫るためには、要素還元論的なアプローチのみではなく、生命の動的構造や機能を、実空間上でモデル化するといった手法による研究が必須となっています。

本研究領域は、分子論的アプローチと非平衡物理学アプローチを統合することにより、生命の動的機能を再現するモデル系を構築し、生命現象の本質に迫る新しい方法論の創出を目指すものです。具体的には、1)細胞分化などに見られる遺伝子群の自己スイチングの機構の解明、2)人工モデル細胞による自律的・選択的なタンパク質合成系の確立、さらに、3)化学反応のエネルギーを高効率にマクロな運動に変換する分子機械の実現、を目指した研究を進めます。本研究領域は、生命体の自己組織化の原理の解明に寄与するのみならず、1分子ナノバイオロジーの基盤形成や、ナノからミクロにわたるテクノロジーの基礎の確立を通して、戦略目標「プログラム化されたビルドアップ型ナノ構造の構築と機能の探索」に資するものと期待されます。

研究総括 吉川 研一 氏の略歴等
(相手国:フランス)相手側研究総括 Damien Baigl 氏の略歴等