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参考2

地中を3次元的に画像化し、対人地雷を探知する地中レーダ

 地中レーダは、地中に電磁波を照射し、埋まっている物からの反射波をとらえて、地中の様子を把握する装置です。埋まっている物の位置や形状を画像化できるので、その画像から対人地雷と同様な形状をした物を見つけることで、作業者は地雷を探知します。
 本事業では、パルス型とステップ周波数型の2つの方式の地中レーダを製作しました(図3図4)。パルス型は、電磁波のパルスを地中に照射する方式で、原理的には比較的簡素な技術です。画質はやや劣り、また乾燥した土壌向きですが、高速な探知が可能で効率良く作業を進めることができます。ステップ周波数型は、少しずつ周波数を上げながら電磁波を照射する方式で、データ処理に多くの数値計算を必要としますが、水分等の土壌環境の変化への適応性が高く、地中画像の解像度も優れています。地雷原の環境に応じて、この2つの方式を使い分けることができます。
 なお、対人地雷と似た形の石が埋まっている場合、地中レーダだけでは区別が困難ですが、金属探知機を補完的に用いることで区別が可能となります。


図3 図3

図3.地中レーダ装置の外観

左:ステップ周波数型。東北大学 東北アジア研究センター佐藤 源之 教授らにより製作。
右:パルス型。電気通信大学 電気通信学部 荒井 郁男 教授らにより製作。

図4

図4.ハンドヘルド(手持ち式)地雷探知機

Advanced Landmine Imaging System(ALIS)
(地中レーダと金属探知機の複合センサ。写真はステップ周波数型。)