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科学技術振興機構報 第237号

平成17年12月26日

東京都千代田区四番町5−3
科学技術振興機構(JST)
電話(03)5214-8404(総務部広報室)
URL http://www.jst.go.jp

DNAブックの企画、製造を行うベンチャー企業設立

−JSTプレベンチャー制度の研究開発成果を事業展開−

 JST(理事長 沖村憲樹)では、平成11年度より大学等の研究成果をベンチャービジネスにつなげていくための起業化に向けた研究開発を行うプレベンチャー事業を実施してきました。
 この度、平成15年度より開始した研究開発課題「ゲノム資源の常温流通システム」の研究開発チーム(リーダー:林崎良英 理化学研究所ゲノム科学総合研究センター プロジェクトディレクター、サブリーダー:吉田昭雄)のメンバーが出資して、ベンチャー企業 株式会社DNAブック(代表取締役社長:吉田昭雄、本社:東京都大田区、資本金:1,000万円)を平成17年12月1日に設立しました。
 マウスやヒトを始め、様々な生物の大規模なゲノム*1解析が進められ、膨大な数の遺伝子やcDNA*2などのゲノム資源と、その塩基配列などの情報がデータベース等に蓄積され広く利用されています。DNAブックは、ゲノム情報とともにDNAを効率的に保存・流通するための手段として、当初、理化学研究所で開発されました。
 DNAブックとは、遺伝子などの試料を染込ませた紙を綴じて本の形にしたもので、100ページほどに数万種類の試料が収納されています。DNAブックは室温で保存や配送ができ、必要なときDNAをページから切り取り直ちに試料として利用できるため、冷凍設備を必要とする従来のDNA試料に比べ非常に便利です。しかし、湿度の高い場所ではDNAが劣化し長期間保存できないことが、これまでのDNAブックの問題でした。本チームは、開発した新しい方法でDNA試料を紙に染みこませ、高湿度の条件下でもDNAを安定に保存できるようにしました。これによりDNA試料を必要とする世界中の人々に、郵送で簡易に届けることでき、多数の遺伝子試料の保存・流通を可能としました。新たに開発したDNAブックは、DNAに関連する研究や調査など様々な分野・産業に貢献することができます。
 同社は、今後DNAを始め、さらに様々な生体分子の常温保存技術開発に取り組み、平成20年度には年間4,500万円の売上を目指しています。
 今回の株式会社DNAブックの設立により、当事業によって設立したベンチャー企業は38社となりました。

企業概要 事業形態 製品説明
用語解説
*1:ゲノム生命活動を行う上で必要なすべての遺伝子を持った1組の染色体のこと。
*2:cDNA様々なタンパクを定義しているDNAは、生体内でDNAと相補的な塩基配列をもったmRNAに変換される。そのmRNAを鋳型に、逆転写酵素によって合成されるDNAはmRNAとは相補的な塩基配列となるため、相補的DNA(complementary DNA;cDNA)と呼ばれる。

<本件お問い合わせ先>

独立行政法人科学技術振興機構
産学連携事業本部 技術展開部 新規事業創出課
米谷・粂田(電話03−5214−0016)