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科学技術振興機構報 第234号

平成17年11月30日

東京都千代田区四番町5−3
科学技術振興機構(JST)
電話(03)5214-8404(総務部広報室)
URL http://www.jst.go.jp

ポリエチレングリコール(PEG)による表面処理技術を
提供するベンチャー企業設立

−JSTプレベンチャー制度の研究開発成果を事業展開−

 JST(理事長 沖村憲樹)では、平成11年度より大学等の研究成果をベンチャービジネスにつなげていくための起業化に向けた研究開発を行うプレベンチャー事業を実施してきました。
 この度、プレベンチャー事業において平成14年度より開始した研究開発課題「高機能バイオセンシングシステム」の研究開発チーム【リーダー:長崎幸夫 筑波大学数理物質科学研究科 教授、サブリーダー:高橋唯仁】は、医療分野、創薬分野などで応用できる、バイオセンサーチップ、あるいは診断用ナノ粒子の表面処理技術を研究開発し、それらを製品化しました。
 このプレベンチャー事業の成果を引き継ぎ、製品の製造・販売、用途拡大を計った研究開発の推進を事業目的に、大学発ベンチャー企業、有限会社ビーエスティー研究所【代表取締役:高橋唯仁、本社:神奈川県横浜市、資本金:300万円】を平成17年11月15日に設立しました。
 臨床検査では、特定のタンパク質の相互作用を調べるために、これまで高分子ラテックス等の微粒子素材、マイクロプレート等のプラスチック素材が利用され、さらに近年、DNAチップ、タンパクチップの利用開発も盛んに進められています。検体である血液、尿サンプルをこれら素材に吸着させ疾患因子を検出するとき、検体中に含まれる疾患因子以外のタンパク質も素材表面に吸着し、疾患因子の検出感度や精度が低下するため、臨床検査における共通課題となっていました。本プレベンチャー事業では、ポリエチレングリコール(PEG)をブラシ状に吸着材の表面に配置させ、疾患因子以外の吸着を著しく軽減する表面処理方法の開発に成功しました。
 PEGによる表面処理は、診断用の素材への疾患因子以外の吸着(「非特異吸着」と呼ぶ。)の抑制効果ばかりでなく、表面に固定化した抗体、核酸等の分子認識能を向上させ、従来の分子認識能に比べて約20倍の検出効率(S/N比)をも得ることができる画期的な方法です。本技術は、バイオセンサー、免疫診断システムなどの臨床検査だけでなく、バイオ研究、疾患因子、ターゲット遺伝子に対する結合タンパクの同定、プロテオーム解析(タンパク質の網羅的解析)、効果効能評価系の開発などにも利用拡大でき、医薬品、機能性食品、化粧品等、幅広い分野で利用できます。特に非特異吸着の高度な抑制効果は、薬物スクリーニング、効果効能評価用ツールとしての価値が高く、創薬関連ビジネスへの展開が期待できます。
 起業後2〜3年間は、PEGによる表面処理技術を、診断、創薬などの社会の医療ニーズに対応した研究開発、製品開発に努めます。また、5〜10年後には成長する医療・バイオ分野において最も信頼性の高い技術としての基盤を形成し、バイオ関連技術のスタンダードおよび新しい医療技術として社会貢献を果たしていきます。
 今回の有限会社ビーエスティー研究所の設立により、当事業によって創設したベンチャー企業は37社となりました。

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