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資料1

実用化のための育成研究 平成17年度採択課題一覧

プラザ
・サテライト
研究開始年度 研究課題名 申請者 研究期間(年) 研究概要
代表研究者 共同研究機関
大学等 共同研究企業
岩手 H17 脳血管疾患診断マーカーの同定と新規診断薬の研究開発 岩手医科大学医学部
解剖学第一講座
教授 人見 次郎 岩手医科大学 株式会社バイオス医科学研究所
サイファージェン・バイオシステムズ株式会社
東北化学薬品株式会社
3 本研究は、脳血管疾患患者と健常者を区別する血清中分子の同定と、それら分子の脳血管疾患の診断マーカーとしての利用法を検討し、モノクローナル抗体による簡便かつ安価な血液検査用診断薬を開発する。さらに、脳血管疾患に関わる有用な病態マーカー分子を最新プロテオミクス技法により検索・同定し、脳卒中の総合的な病態予測と創薬への利用を可能にする新規診断薬(バイオチップ)の開発を試みる。
岩手 H17 スパッタ法によるZnO系透明導電膜の実用化技術の開発 岩手大学工学部電気電子工学科 教授 道上 修 岩手大学 株式会社倉元製作所
岩手製鉄株式会社
3 本研究では、スパッタ法により低抵抗・高品質ZnO系大型透明導電膜作製技術を実用化するため、高性能焼結ターゲット作製技術、不純物添加最適化技術、低抵抗低温スパッタ膜作製技術、オプトエレクトロニクス用導電膜プロセス技術、透明発熱体製品化技術、ZnO用スパッタ装置技術等の技術を確立する。
なお、これらの基盤技術を背景に、ディスプレイ用透明ZnO電極膜事業、透明ZnO発熱体事業、高品質ターゲット事業及びZnO薄膜作製に特化したスパッタ装置化事業等の事業化を目指す。
岩手 H18 酸化亜鉛系半導体発光デバイスの開発 岩手大学工学部電気電子工学科 教授 柏葉 安兵衛 岩手大学 シチズン東北株式会社 3 研究者らは、ZnO単結晶基板上に量産性に優れたプラズマアシスト反応性蒸着法を用いてp型ZnO層を成膜してダイオードを作製し、紫外線~青色発光に成功した。この成果を元に、LEDの製品化に向けて発光効率の向上(倍加)を図るため、p型ZnO薄膜の評価、成膜技術、接合界面技術など、実用化に向けた研究を行う。
岩手 H18 高品質As-grownMgB2膜を利用した高感度磁気センサ及び高周波フィルタ素子の開発 岩手大学大学院工学研究科フロンティア材料機能工学専攻 教授 吉澤 正人 岩手大学
岩手県工業技術センター
山形大学工学部
株式会社岩手情報システム
有限会社ライトム
3 高い超伝導転移温度と優れた表面平坦性を有する高品質MgB膜の開発成果をシーズに、本研究では、優れた感度を有し、冷凍機の使用により簡便な取り扱いが可能な高感度磁気センサ・超伝導量子干渉素子(SQUID)と、急峻なカットオフ特性を有し、現状のフィルタより小型・高集積なフィルタ素子の開発を行う。
新潟 H18 金型の型彫りおよび鏡面仕上げ加工のための超音波振動援用研削スピンドルの実用化 長岡技術科学大学工学部機械系 教授 田辺 郁男 長岡技術科学大学
長野工業高等専門学校
新潟県工業技術総合研究所
サンアローモバイルデバイス株式会社
ユニオンツール株式会社
3 回転工具を超音波振動させることで、一般的には不可能な「機械加工による鋼系材の鏡面仕上げ」の可能性を見いだし、さらに油静圧軸受によって回転案内された超音波振動援用スピンドル、定圧送り案内および工具機上成型手法をシステム化した技術を提案。1超音波援用加工によって、切れ刃として優れたダイヤモンド工具を用いて、金型の最終仕上げを自動化手法の提案、2超音波援用加工に適した工作機械および高精度超音波スピンドルの新規開発、3高精度な鏡面を得るための「振れまわりゼロ」を目指した機上工具成型・電着システムの開発
新潟 H17 有機物被覆複合ナノ粒子量産用パルス細線放電装置開発 長岡技術科学大学極限エネルギー密度工学研究センター 教授
(センター長)
新原 晧一 長岡技術科学大学
新潟県工業技術総合研究所
ナミックス株式会社
マコー株式会社
3 新しい高エネルギー変換効率ナノ粒子作製法であるパルス細線放電装置の開発と、これを活用した有機物被覆複合ナノ粒子作製。有機物/無機物界面の分子結合を評価・最適化することにより、積層セラミックスコンデンサー用導電ペースト粒子やナノ加工用ウエットブラスト粒子など、既存の方法で量産・市販できなかった次世代電子部品作製用の基盤材料生産法確立を目指す。
パルス細線放電法によるナノ粒子量産用連続細線供給装置、高繰り返しパルス電源、有機物ミスト/蒸気発生装置および静電捕集装置を新規設計し、2.5Hzで放電可能で360g/hのナノ粒子生産能力を有する装置を開発する。これを用い、有機物ミスト/蒸気中で有機物被覆酸化物および金属ナノ粒子量産法確立を行う。
有機物被覆ナノ粒子を溶媒中に分散し、これを導電ペースト用高焼結性金属粒子やウエットブラスト用高硬度粒子として製品化する。パルス細線放電法で作製しにくい直径10nm以下の粒子は、ガス中蒸発装置による開発を併用する。これらにより、従来技術では困難であった1.0×0.5mm(1005)サイズで10μFの大容量積層セラミックコンデンサーやnmレベルのウエットブラスト加工技術実現を目指す。
新潟 H17 ナノメートル領域までの表面粗さ測定を向上させる標準面実量器の製作 長岡技術科学大学工学部機械系 助教授 明田川 正人 長岡技術科学大学
新潟県工業技術総合研究所
株式会社第一測範製作所
八海クリエイツ株式会社
3 様々な表面粗さ測定機の不確かさを検証するためのナノメートル領域までの標準面実量器の製作を行う。近年、表面性状が製品の品質や機能を左右する重要な要素となり、空間的な広がりを持つ表面性状の評価が重要になっている。さらにその振幅や波長もナノメートル領域までの評価が求められている。これらの面領域の測定には3次元表面凹凸形状測定器が用いられるが、面領域の評価方法、測定器の校正方法などは現在ISOで審議されている段階である。その中で測定器を校正する手段として実量器の提案が行われているが、粗さ測定器のための粗さ用標準実量器に準ずる形状は含まれていない。しかし測定原理の差異などから発生する各測定機間での実測値の挙動を同定するためにも、この種の実量器は必要不可欠である。
そこでナノメートル領域までの広領域の表面凹凸形状測定機の標準面実量器を製作する。マイクロメートル領域の三次元加工には超精密ナノ加工技術を、100ナノメートル領域の三次元加工にはMEMS技術を適用する。
新潟 H18 ナノ加工技術を応用した超高速クロック素子の開発 新潟大学地域共同研究センター 助教授 川崎 一正 新潟大学
東京工業大学精密工学研究所
新潟県工業技術総合研究所
シンコー電気株式会社 3 激増している情報データを超高速に処理するには、短距離間においても現状の電気信号処理に替わって光通信回路が主となり、それに伴い多量の高速光学クロックが必要になり、量産に適した面発光レーザ素子が期待されている。ここでは、面発光素子と非球面反射面とで共振系を構成する超高速クロック素子の開発を目的としている。
これに対して、研究者らは、これまでに、球面や非球面のマイクロディンプルアレイを精密加工する加工技術・計測技術を先導し蓄積してきている。また一方で、ナノスライダやピコスライダと呼ばれるミクロな磁気ヘッドやマイクロセンサーなどの量産を通して、0.1μm以下の超精密な位置決め・成形加工・切断・接合・組立に関する技術やノウハウの蓄積を図ってきている。
これまでに蓄積してきたこれら要素技術を駆使して、次世代の40GHz対応の超高速面発光素子の実現を図る。
高知 H17 天然資源(枇杷種子由来エキス・室戸海洋深層水)を利用した健康飲料品の開発 高知大学医学部附属病院薬剤部 教授 西岡 豊 高知大学 株式会社小谷穀粉
株式会社OSK室戸マリンフーズ
3 21世紀の疾患・生活習慣病に対する予防・治療法が模索され、腎臓、肝臓に係わる生活習慣病やリュウマチ、花粉症などに有効な手だてが求められている。これらの疾患に顕著な予防・治療作用を示す枇杷種子エキスと、LDLコレステロール低下作用のある高硬度海洋深層水とを組合せることで、本研究では先ず、これらの疾患に対する予防効果のある飲料品(一部特保飲料品)を開発する。
高知 H18 固体発光性色素を活用した農園芸用波長変換被覆資材の開発 高知大学理学部物質科学科 教授 吉田 勝平 高知大学 東洋ケミカル株式会社 3 独特の分子設計法で、特定波長域の光を吸収し有効な波長域の光に変換する固体発光性色素を開発し、それを透明樹脂フィルムに組込んだ新しい発光性機能材料を開発する。特に施設園芸において、太陽光や人工光の波長分布を簡便に調整することで、植物の光合成の促進や成長制御を可能とする新規な波長変換用被覆資材を開発する。農業用フィルム以外への応用もある。
高知 H17 無電極マイクロ波放電を用いた無水銀紫外光源 高知工科大学工学部電子・光システム工学科 教授 八田 章光 高知工科大学
愛媛大学
株式会社アドテックプラズマテクノロジー 3 環境にやさしい水銀フリーな新規な光源を実用化する。電極を用いないマイクロ波放電により長尺のラインプラズマを発生し、水銀蒸気に依らない分子ガスの特徴的な発光を利用して、各種用途に適した波長の紫外線が得られる。今後は発光効率の高い、長寿命な紫外光源および紫外線照射装置を開発する。消毒用紫外線ランプのほか一般の蛍光灯に代わる可能性を持っている。
高知 H18 柚子搾汁後残滓のエココンシャスな精油抽出・処理技術の開発 高知大学農学部生物資源科学科 教授 沢村 正義 高知大学
高知工科大学
高知工業高等専門学校
株式会社エコロギー四万十
四電エンジニアリング株式会社
株式会社四電技術コンサルタント
3 食品、香粧品、香水、アロマテラピーなどへの利用に関心が寄せられている柚子の精油に着目した。エココンシャスの観点から、超音波を印加しつつ減圧水蒸気蒸留を行う方法を用いて柚子搾汁後の果皮残滓に残存する精油を効率的に回収する技術を確立する。また、その後に続く果皮残滓の効率的な堆肥化・浄水システムを構築する。
宮崎 H17 光ファイバーセンサーの開発 宮崎大学工学部電気電子工学科 助教授 横谷 篤至 宮崎大学 株式会社東横エルメス
株式会社東亜エルメス
3 一本の光ファイバーに作製した数百個のFBG(Fiber Bragg Grating)センサーと、可動部の無い小型波長計を組み合わせた、構造物の歪み計測システムの開発を行う。各FBGセンサーからの信号は、測定器内の光源からFBG素子に到達し反射して再び戻ってくるまでの時間で判別する(OTDR方式)。風力発電施設のブレード、自動車、新幹線や航空機等の構造物の静的・動的な歪み計測に用いる事が考えられる。従来のひずみゲージを用いた電気式歪みセンサーと比べて高精度、高信頼性、安価であるという特徴を持っており、新たな応用分野の開拓、展開につながる。
宮崎 H18 ゴーヤ種子由来抗Hレクチンを用いた血液検査試薬の開発と新規医薬品への応用 宮崎大学農学部生物環境科学科 助教授 明石 良 宮崎大学 富士化学株式会社
宮崎沖電気株式会社
3 ゴーヤ種子からタンパク質を抽出した結果、極めて実用性の高いレクチンを見出すことができた。レクチンは、糖に親和性を有するタンパク質の総称であり、極めて糖特異の高いものもあることから、医薬品として注目されている。一方、生体内にある糖鎖は、器官形成、老化、感染、炎症、生態防御、癌化、癌転移、組織変性、再生、細胞死などさまざまな現象に関与していることから、このような働きをもつ糖鎖を認識し生命現象に深く関与しているレクチンを医療、薬学、生化学などの分野において積極的に活用を勧めている。本申請は、ゴーヤ種子由来のレクチンが極めて高い抗H活性(ヒト赤血球の凝集能力)を持つことが判明したことから、第一にその性能を利用して犯罪捜査面での血液検査試薬としての製品開発と実用化を行う。第二に、ゴーヤ種子が天然原料であり品種間、収穫時期などによりレクチンの性質や収量が異なるため、細胞培養系を用いて安定的に供給できる技術を開発する。第三に、ゴーヤ種子由来レクチン遺伝子のクローニングとマウスを用いて生化学特性について詳細に調べ、新規医薬品として可能性を探索する。
宮崎 H18 主要花き類の花色遺伝子型による花色育種法の開発 鹿児島大学農学部生物生産学科 助教授 橋本 文雄 鹿児島大学 サントリーフラワーズ株式会社 3 従来、花色遺伝はメンデルの遺伝の法則に従うとされていたことに対し、複対立遺伝の法則に従うことを発見し、新規花色作出の技術として確立した。従来のメンデリズムでは説明できなかった花色遺伝について、今回の「花色遺伝型交配法」と称する方法をもちいることで説明可能となり、また、目標とする花色をほぼ9割以上の確率で作出することができるようになった。類似製品との差別化(機能、コストなど):これまでにない花色を作出することができる技術である。また従来、新規花色の育種には少なくとも十年の歳月を要すると言われていた。しかし、本法を用いることで、目標とする花色は半年~一年で作出可能となり、育種年限の大幅な短縮に成功した。さらにまた、育種年限の短縮によるコスト削減と流行に即時対応が可能となったことによるコストの削減ができる。
宮崎 H17 SPG膜を利用したナノバブル生成装置の開発とその実用化プロセスへの応用 宮崎工業技術センター材料開発部 主任研究員 久木崎 雅人 宮崎県工業技術センター
宮崎大学
清本鐵工株式会社
株式会社キヨモトテックイチ
吉玉精鍍株式会社
3 本研究は、南九州に豊富な火山灰シラスを主原料にして宮崎県工業技術センターが開発した多孔質ガラス(Shirasu Porous Glass ; SPG)膜を用いた単分散ナノバブル/マイクロバブル生成技術を活用して、(i)高効率ナノバブルガス溶解装置、(ii) 単分散マイクロバブル泡沫分離装置、(iii) UV 照射型 COD 成分分解装置、(iv) 無気泡ガス溶解型オゾン水製造装置の製品化を目指す。これらの製品は、食品、環境、医薬、および化学等に分野の広範なガス溶解プロセスや気液反応プロセス、並びに汚水や上水処理、殺菌などの用途を想定している。これら4つの装置は、これまで市販されているマイクロバブル生成技術を用いた装置よりも、はるかに高性能、高効率でコストパフォーマンスに優れた装置であり、競合する気泡生成装置との機能的、価格的な差別化が十分図れ、商品としての十分な競争力があると予想される。