別紙3

平成17年度採択課題の提案内容に関する評価結果

課題名:「環境に調和した地域産業創出プロジェクト」
地域名:群馬県


<事業概要>

 本地域が有する先端的な「バイオマスの低温ガス化技術」や「汚水からの有用物質回収・水環境保全技術」をキーテクノロジーとして活用し、家畜排せつ物からの低温ガス化・エネルギー変換、有用資源回収サイクルの確立などの次世代産業を創成することを目的として、以下の研究開発を行う。
 (1)家畜排せつ物の低温ガス化・高効率エネルギー変換技術の開発
 (2)家畜排せつ物からの有用物質回収及び環境改善技術の開発

<事業の推進に関して>

 首都圏の水瓶である水源の浄化及び畜産と観光という2つの産業の両立という課題を抱える群馬県において、地元大学の独自性のある技術シーズをもとに、課題解決のための目標と対象を明確に絞った実施体制が構築されている。また、家畜排せつ物の処理技術は、化学工業などの他産業や、他地域への波及効果も期待できる。

<研究開発に関して>

 家畜排せつ物に伴う物質バランスと公害に焦点を合わせた研究開発目標は妥当であると評価できる。触媒による低温ガス化技術は独自性、新規性があり、また、汚水浄化時におけるリン回収技術にも独自性が認められる。

<成果移転に関して>

 低温ガス化技術の実用化の段階で多くの知的財産が生み出されることが期待できる。また、家畜排せつ物以外のバイオマスのエネルギー利用や、製造工程における有機物の燃焼除去プロセスなどへの応用展開も期待できる。

<地域による支援に関して>

 首都圏の近隣で畜産業と観光業を両立させるために、家畜排せつ物の適正な処理が必要という緊急性の高い課題であり、県の熱意は高いと認められる。また、県立群馬産業技術センター及び群馬県畜産試験場等の研究機関を通した支援も期待できる。

群馬県より提案のあった事業概要(PDFファイル)

課題名:「古都奈良の新世紀植物機能活用技術の開発」
地域名:奈良県


<事業概要>

 奈良県特産の植物素材の機能性を活かす実用化技術の開発を行い、新技術・新製品の創出を目指す。具体的には、吉野クズの骨粗鬆症予防機能や大和マナの抗炎症機能の活用技術の開発、トウキ、シャクヤクといった優良大和生薬品種の鑑定技術及び増殖技術の開発、および大和茶のメタボリックプロファイリングを利用した最適栽培・加工技術の開発を行い、農業-製造業-観光業まで連携して奈良ブランドの確立と全国展開を図ることを目的として、以下の研究開発を行う。
 (1)吉野クズ・大和マナの機能性評価及び活用技術の開発
 (2)優良大和生薬品種の鑑定技術及び増殖技術の開発
 (3)大和茶のメタボリックプロファイリングを利用した最適栽培・加工技術の開発

<事業の推進に関して>

 地域の特産品に的を絞った研究で、地域にある大学等の研究組織と企業が一体となって取組む姿勢が見られる。また、企業化戦略がサブテーマごとに具体的に計画されており、経済効果まで検討されている点も評価できる。さらに、植物育種技術における基盤形成も期待される。

<研究開発に関して>

 人的に行われる品質・性能評価と、化学的な分析結果とを総合的に評価する方向性は妥当であり、企業化への寄与が期待されるとともに、複雑な組成を有する食品および生薬の機能性評価のパイロット研究としても評価できる。農業及び食品分野における地域の研究ポテンシャルは高く、今後優位性のある技術になることが期待される。

<成果移転に関して>

 具体的なサブテーマを分担するなど、参画企業の積極的な姿勢が見られ、大和ブランドの向上による地域産業への貢献が期待できる。

<地域による支援に関して>

 県が地域クラスター協議会を設立し、植物由来の製品のブランド化や、農業と製造業、飲食・観光等の他の産業との連携を主体的に推進する熱意が認められ、十分な支援が得られると期待できる。

奈良県より提案のあった事業概要(PDFファイル)