別紙1

平成17年度採択課題及び概要一覧


課題名 チームリーダー名 所属機関 課題概要
1 高校生と連携した科学コミュニケーションモデルの開発 伊藤 悦朗 北海道大学
創成科学
共同研究機構
生物学に関し遺伝子レベルから個体レベルまで包括的に理解してもらうために、研究者と一般国民の間に高校生を仲介させる手法を開発する。
研究者が高校生と指導教諭の協力を得て、ミツバチの8の字ダンスによる脳内の遺伝子発現量変化を学習できる教材を作成する。次に、高校生による高校生のための模擬授業を企画する。さらに高校生から一般国民に最新の研究成果を分かり易く語るシステムを作り上げる。
2 科学技術インタープリターを活用した授業モデルの開発 大島 まり 東京大学
生産技術研究所
科学技術に対する双方向コミュニケーションを円滑にするために、研究者、教育委員会、日本科学未来館との連携を通して、中学生・高校生や理科の教員を対象とした授業のモデルや教材を開発する。
効果的なワークシートやアンケートを作成し、ホームページと合わせて研究者の情報発信に対するモニタリング・フィードバックの系統的な改善システムを構築して、授業や教材の改善を図っていく。
3 退職理科教員・実験キット・実験小屋を活用した子ども体験学習支援モデルの開発 大辻 永 茨城大学
教育学部
アウトリーチにおいて重要と考える3条件「人、もの、場」を取り入れたモデルを開発する。
研究者と子どもとの間に、退職理科教員をプロモーターとして配し、コミュニケーションを図る。退職理科教員は、実験キットを介して子どもたちと交流しながら、受け手が何を知らないかを瞬時に察知することが可能である。その際、実験小屋を家庭に設置し、光通信によるTV会議システムを用いて研究者と退職理科教員と子どもの双方向の交流を行う。
4 地元の研究者が解説する科学館巡回展示手法の開発 梶田 隆章 東京大学
宇宙線研究所
研究成果の情報発信に関して効果的に行うため、科学館と連携した巡回展示手法の開発を行う。
具体的には、研究者が準備した素材を各地の科学館で巡回展示し、説明も研究者自身が行う。特徴は、研究者側の準備が少なく一度で済み、科学館側の費用も極力おさえることができるため、効率よく大きな効果が得られることである。また、研究者の素顔を見せることで、研究への情熱や研究内容の面白さを直接伝えることが出来る。
5 コミュニケーション能力を有する若手研究者育成のためのインターンシップモデルの開発 日下部 治 東京工業大学
理工学研究科
アウトリーチ活動を担う若手研究者を養成するために、教育カリキュラムの開発を行う。
若手研究者(博士後期課程の学生等)を新聞社等に派遣し、実務実習(インターンシップ)を経験させる。次に、サイエンスカフェで一般市民との対話を通じた実践活動を行う。さらに、これら一連の活動を評価し、理工系の大学院における対話型科学コミュニケーションカリキュラムのモデルとして提示する。
6 新品種農産物理解のための消費者モニター参加型モデルの開発 河野 恵伸 農業・生物系特定産業技術研究機構
中央農業総合研究センター
農産物の新品種開発研究を消費者に理解してもらうために、研究者が直接消費者と接する手法を開発する。
まず、新品種の特徴とその背景となる研究内容や研究プロセスに関する情報をインターネット上で消費者へ提供する。その後、新品種を家庭で使用して理解をしてもらう。次に、研究員が家庭へ出向いて新品種の特徴や利用方法を説明し、理解を深めてもらう。さらに、方法ごとに消費者の研究活動に対する理解度を測定し、費用対効果を含めて比較分析を行う。
7 科学コミュニケーション能力育成プログラムの開発 小林 傳司 大阪大学
コミュニケーションデザイン・センター
若手研究者にアウトリーチ活動の重要性を理解させ、社会から「信頼される専門家」として育成するため、科学コミュニケーション能力育成プログラムを開発する。
課題を把握させる入門講義、異分野の交流により自らの専門分野の特性を把握させる演習を行う。次に、市民対話を組み込んだ演習、さらには個々人のアウトリーチ活動の実践支援やNPOと協力したコミュニケーション・ネットワークの構築を目指しながら、科学技術コミュニケーション能力の開発を図る。
8 岐阜県の地質を題材とした自然誌野外教育手法の開発 束田 和弘 名古屋大学
博物館
正しい自然観を備えた自然誌ファンの養成をめざして、科学館と連携し野外観察手法を取り入れたモデル開発を行う。
岐阜県には日本最古の岩石・鉱物・化石や環太平洋造山帯を特徴づける教科書的な地質露頭が数多く存在する。名古屋市科学館と連携し、「巨大な野外地質博物館」と呼ぶことができる岐阜県の地質露頭を題材にする。「自然の中でモノを見て考える」ことに重点を置いて、自然離れ・モノ離れ・理科離れした若者向けに自然誌セミナーを実施する。
9 落石等実体験型科学展示手法の開発 納口 恭明 防災科学技術研究所
雪氷防災研究部門
科学技術にまったく無関心な層を主な対象に、「つかみ」(興味を惹くための導入手法)を意識した実体験型の科学展示手法の開発を行う。
身近にある自然災害現象として、落石などの斜面災害現象を素材とする。実物大の迫力とミニチュアの不思議さを「つかみ」として、イベントに使える大小さまざまなスケールの模擬実験のモデルを確立する。
10 全国の科学館と連携した天体現象のライブ配信モデルの開発 日江井 榮二郎 自然科学機構
国立天文台
太陽物理プラズマ研究部
全国の科学館と協力・連携し、研究者が遠隔地で起こる自然現象を題材としたアウトリーチ活動を行うための手法を開発する。
具体的には、2006年3月29日、エジプトからトルコを通る帯状地域で観測される皆既日食現象を取り上げ、現場からの映像を高速ネットワークを通じて科学館にライブ配信する。さらに、科学館において研究者と市民とが共に映像を見て、科学的な内容を話し合う仕組みを構築する。
11 学生のアイデアを活かした最先端科学電子紙芝居の開発 美宅 成樹 名古屋大学
大学院
工学研究科
不特定多数の一般の人に向けて科学的なメッセージを送るために、インターネット上で動画コンテンツ<科学電子紙芝居ワールド>を作成する。
学部学生のアイディアで「ゲノム」を題材に紙芝居を描き、これを基に大学院生、ポスドクが中心となってキャラクターを動かす形で電子紙芝居化する。研究の素人である学生とプロである大学院生・ポスドクの協力によるコンテンツ作りと同時に、将来アウトリーチ活動に取り組む研究者の育成を図る。
12 教育用テキスト開発のための欧米における動向調査 室伏 きみ子 お茶の水女子大学
理学部
研究者の初等・中等教育現場でのアウトリーチ活動の活性化・支援のため、学校現場に即した系統的なアウトリーチ活動を推進している欧米の優れたシステムやカリキュラムを調査する。その成果をもとに、日本において理想的なテキスト、システムを開発・考案して、研究者等に提供する。このことにより、研究者と現場の教員による共同のカリキュラム作成のシステム化をめざす。