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総評

先端計測技術評価委員長 小林 俊一

 本事業も昨年度発足してからすでに2年目に入り、昨年に引き続き2回目の募集・選考を実施いたしました。
 今年度は、昨年度と比較して十分な予算が確保できない中、「機器開発プログラム」においては、「単一細胞内の生体高分子、遺伝子、金属元素等全物質の定量的、網羅的分析」並びに「ナノレベル領域における微量元素・点欠陥の化学状態及び分布状態の定量分析(ナノキャラクタリゼーション)」の二つの開発領域を設定し開発課題を公募しました。さらに、これらの開発領域に含まれない開発課題については「領域非特定型」として公募しました。また、「要素技術プログラム」では、昨年同様、開発領域は設けず、新規性のある独創的な計測分析技術・手法に関する開発課題を広く公募しました。
 今年度においては、大学、独立行政法人、国公立試験研究機関、民間企業等から合計280件という多数の応募がありました。このうち書類選考により特に優れていると判断された39件について面接を実施し、最終的に18件の課題を採択しました。昨年と比べ応募数は減少しましたが結果として15倍を超える倍率になりました。優れた提案が多かったにもかかわらず、予算の制限上十分な採択数を確保できなかったことはとても残念です。
 採択課題の内訳は、構造分析関係が8件、質量分析関係が1件、光検出器関係が3件、生体計測分析関係が4件、環境微量物質分析関係が1件、電気化学分析が1件でした。今年度は企業の研究者をチームリーダーとする課題が結果的に多く採択されたことが特徴的でした。採択に至らなかった提案の中には、昨年と同様に基本原理の検証または機器開発へ向けた予備的な実験・検討が不足しているもの、最先端の機器開発を志向していないもの、開発推進上予想される問題点についての検討が不十分なもの、開発目標は示されているものの既存手法に対する優位性が示されていないものなど、本事業として推進するにふさわしくないと思われるものもいくつか含まれていたことは指摘しておくべきでしょう。

 採択になった計画が我が国の科学技術の礎として花開くことを、またそれが世界の科学技術の発展にも大いに貢献することを衷心より期待します。