参考3

平成17年度先端計測分析技術・機器開発事業 採択開発課題

機器開発プログラム:8件

領域特定型「単一細胞内の生体高分子、遺伝子、金属元素等全物質の定量的、網羅的分析」
開発課題名 チームリーダー
氏名
チームリーダー
所属・役職
開発概要
単一細胞内遺伝子発現プロフィール解析システム 安倍 真澄 独立行政法人放射線医学総合研究所
先端遺伝子発現解析センター
プロジェクトリーダー
HiCEP法は、マイクロアレー法とは原理の異なる遺伝子発現プロフィール技術であり、未知転写物や低発現転写物の網羅的・定量的観察を可能とし、また解析に先立ちシーケンス情報を必要としないため全真核生物の解析を可能とします。本開発では、HiCEP法を基にした単一細胞内における遺伝子発現プロフィール解析システムの構築を行います。これにより、疾患原因遺伝子の検索、モニタリングが必要な全ての分野の状況を一変させることが期待されます。
[注]HiCEP:High coverage gene expression profiling

領域特定型「ナノレベル領域における微量元素・点欠陥の化学状態及び分布状態の定量分析(ナノキャラクタリゼーション)」
開発課題名 チームリーダー
氏名
チームリーダー
所属・役職
開発概要
走査型陽電子顕微鏡 藤浪 眞紀 千葉大学
工学部
助教授
サブnmレベルの点欠陥から数nmのボイドといった空孔型欠陥のサイズ・量・化学状態に関して、三次元分布情報を提供する走査型陽電子顕微鏡を開発します。輝度増強光学システム、高効率減速材、パルス化バンチャーの多段化等による陽電子マイクロビームの発生法を確立し、それと走査型電子顕微鏡との融合により開発課題を達成します。また、陽電子データの空孔欠陥情報へのインターフェイスの開発や標準試料の整備等を行います。

領域非特定型
開発課題名 チームリーダー
氏名
チームリーダー
所属・役職
開発概要
生物発光リアルタイム測定システム 石浦 正寛 名古屋大学
遺伝子実験施設
教授
ゲノムプロジェクトの進展により膨大なゲノム情報が蓄積しつつあり、飛躍的に処理能力の高い解析法が待望されています。生きた細胞を用い、遺伝子発現を生物発光として連続的に自動測定する生物発光リアルタイム測定法は、極めて高い感度・精度・時間分解能で詳細な遺伝子発現を全自動で解析する強力な手法です。本開発では、この手法の高感度化、多色化、簡便化、汎用化を行い、さらに強力化・大規模化することにより、「世界最強の生物株の大規模モニタリング・スクリーニングシステム」を実現します。
オンサイト環境測定用マイクロガスクロマトシステム 内山 一美 首都大学東京
都市環境学部
助教授
ガスクロマトグラフの要素技術の超小型化によって、オンサイトで微量有害物質を測定するガスクロマトグラフ分析システムを開発します。本開発では、微量試料導入用マイクロチップ試料インジェクター、オンチップカラムユニット、また、検出システムとして電子捕獲検出ユニット・原子発光スペクトル検出ユニットの小型化・高感度化を達成します。これにより、世界初のオンサイト分析システムを実現します。
大気中・液中で動作する原子分解能分析顕微鏡 粉川 良平 株式会社島津製作所
分析計測事業部 X線/表面ビジネスユニット
プロダクトマネージャー
大気中や液中などの環境下において、金属、半導体、絶縁体、有機材料などの構造・機能物性評価が原子・分子スケールで可能な原子分解能分析顕微鏡を開発します。本開発では、熱ドリフトの影響を補正するアトムトラッキング技術や試料表面の特定位置の電子状態を分析するバイアス-フォースカーブ技術等の要素技術を開発し、原子・分子分解能での表面原子・分子の組成、電荷移動、結合状態などに関する知見を与える分析顕微鏡を実現します。
3次元化学状態解析硬X線光電子分光装置 小林 啓介 財団法人高輝度光科学研究センター
ナノテクノロジー支援プロジェクト推進室
室長(特別研究員)
ナノデバイス・ナノ材料の3次元化学結合状態を分析できる硬X線光電子分光装置を開発します。開発では、電子の脱出角依存性を試料の角度を変えることなく一度に測定できる広角度アクセプタンス対物レンズを使用します。さらに収束硬X線の試料上での2次元走査を加えて、3次元化学状態分析を実現します。高密度集積回路、磁気薄膜電子デバイス等新規ナノ材料の分析装置として活用されます。
高分解能眼底顕微鏡 東條 徹 株式会社トプコン
技術・品質グループ
次長
医療分野で使用される眼底カメラの高精度・高機能化を目指します。生体網膜上の視細胞を観察することはさまざまな要因から現状では困難です。本開発では、眼球の動きを把握できるセンサーと、完全トラッキング高分解能光学システムを新たに開発するとともに、補償光学系技術・分光分析技術を更に高精度化し、約2μmの視細胞を観察できる高分解能眼底顕微鏡を開発します。これにより、生体網膜組織の観察、網膜の活性化評価等を可能とし医療分野の発展に寄与します。
超LSI故障個所解析装置 二川 清 NECエレクトロニクス株式会社
基盤技術開発事業本部 テスト評価技術開発事業部
シニアプロフェッショナル
超LSIチップの故障個所を、大気中で非破壊・非接触・非電極で電子レベル解析を行う超LSI故障個所解析装置を開発します。開発では、レーザー光をLSIチップ裏面から照射し、表面付近のp-n接合近傍で発生する光電流による微弱な磁場をSQUID磁束計で検出し、光電流により励起されるテラヘルツ電磁波を検出器で検出する技術を開発します。レーザー光の照射位置とこれらの信号からLSIチップの故障個所解析を行う技術を確立します。

要素技術プログラム:10件

開発課題名 チームリーダー
氏名
チームリーダー
所属・役職
開発概要
AFM探針形状評価技術の開発 一村 信吾 独立行政法人産業技術総合研究所
計測フロンティア研究部門
部門長
原子間力顕微鏡(AFM)においては探針の先端形状のわずかな違いが測定結果(観察画像)に大きな影響を与えます。本開発では、先端形状評価用標準試料と評価技術の確立をめざします。化合物半導体成膜技術を応用して、5~100nmの凸凹周期構造と1nmレベルの孤立構造を持つ標準試料を開発し、探針形状の精密測定を可能にします。さらに標準試料による形状補正アルゴリズムを開発して、AFMにおけるナノ測定の定量化、標準化に貢献します。
誘導パラメトリック蛍光顕微法 伊東 一良 大阪大学
大学院工学研究科
教授
ふたつの超短光パルスを試料に集光し、パラメトリック蛍光を検出する誘導パラメトリック蛍光顕微法を開発します。広帯域ポンプ光パルスによる誘導パラメトリック蛍光分光映像法を開発し、DNA、タンパク質などの生体試料に適用できる分析技術を確立します。本技術によりタンパク質分子間の相互作用解析や生体物質の無染色イメージングが可能となり、バイオテクノロジー分野の研究、創薬分野の基礎研究等への利用が期待されます。
高感度・高密度バイオ光受容素子 井上 康則 東京理科大学
理工学部
教授
耐熱性ラン色細菌の光受容生体コンポーネント(PSI)を光電変換部に用いた高感度・高密度のバイオ光受容素子を開発します。ラン色細菌から熱安定性が高く、高感度のPSIを単離し、分子ワイヤー、金ナノ粒子、ナノゲート電界効果トランジスタと連結した超高感度のフォトンカウンティング素子を開発します。1個のフォトンで1個の電子が生じ、この電子を受容した金ナノ粒子の電気化学的ポテンシャルがデジタルに変化することを利用して、室温で単光子を検出するものです。
質量分析用超高感度粒子検出技術 大久保 雅隆 独立行政法人産業技術総合研究所
計測フロンティア研究部門
主任研究員
飛行時間型質量分析では、質量/電荷比によって粒子を時間軸上で分離します。しかし、たんぱく質等の粒子は飛行時間以外にも運動エネルギーといった異なる軸上の情報を持っており、これを高精度で計測できれば、高分子の断片化による疾患マーカーの検出やたんぱく質シーケンシングのような高度な解析を、複数の前駆高分子について同時に行うことができます。この計測を、高感度超伝導粒子検出器の開発により実現し、日本のプロテオミクス研究の飛躍的発展に貢献します。
生体計測用・超侵達度光断層撮影技術 大林 康二 北里大学
大学院医療系研究科
教授
近赤外光を用いて無侵襲的に生体の断層画像を超高速、高分解能で測定する光断層撮影技術を開発します。開発では、光源に高速で波長走査が可能な超周期構造回折格子型DBRレーザーを用い、試料光と参照光を干渉させます。干渉信号のフーリエ解析等の信号処理により光路差および反射率が求められ、光走査および波長走査により3次元断層画像が得られる技術を確立します。
高精度高安定pH計測用イオン液体塩橋の開発 垣内 隆 京都大学
大学院工学研究科
教授
本技術は新たな疎水性イオン液体を塩橋に用いることにより高精度高安定なpHメーターを実現するものです。従来のKClに替わる、有機系イオンコンプレックス化合物からなる疎水性イオン液体を開発し、低揮発性かつ優れた電気化学的特性を持つイオン液体の特性を活かし、メンテナンスフリーで安定したpH精密計測を可能とする技術を開発します。更に電極の微小化によるマイクロセンシングデバイスに道を開くことを目的とします。
細胞内蛋白質統合検出システム 片山 栄作 東京大学
医科学研究所
教授
細胞内で機能している蛋白質分子構築の立体構造を高分解能で検出するための構造解析法を開発し、生命科学者の夢、「1分子の構造生物学」の実現を目指します。既に構築した急速凍結レプリカ電子顕微鏡画像からの3次元再構成法を発展させ、さまざまな条件における生体試料の立体構造解析を可能にします。さらに高精度、多機能の特異的標識法などを組み合わせた統合検出システムにより、一般の研究者が通常の機器を用いて生体分子構築の高分解能構造情報を得ることが可能となります。
DNAエンコード技術による生体情報分析法 陶山 明 東京大学
大学院総合文化研究科
教授
ゲノムDNAが持つ分子情報のデジタル化により、ゲノムDNAの情報をコンピュータで解析することが可能となりました。本開発では、生命・医科学、創薬・医療を進める上で重要な、まだ依然としてデジタル化されずに残っている大量の生体情報を分析するための迅速で低コストな分析技術として、DNAエンコード技術を用いた生体情報分析法を開発します。これにより非常に簡便な装置で複雑な生体情報を低コストで分析することが可能となります。
ファンクショナル熱レンズ顕微鏡 渡慶次 学 マイクロ化学技研株式会社
代表取締役社長
非発光性試料の測定が可能な高感度熱レンズ顕微鏡の超小型化と多機能化のための基盤要素技術を開発します。本開発では、ロックインアンプの1チップ化によるシステム全体のモバイル化、多分岐ファイバによる多点同時分析化等を実現します。また、回折効果を考慮できる波動光学的解析法の開発により、ミクロ空間の熱レンズ測定設計法を確立し、ファンクショナル熱レンズ顕微鏡への展開を目指します。
スピン偏極電子源 中西 彊 名古屋大学
大学院理学研究科
教授
ナノ表面磁性構造の観察・評価に用いるスピン偏極表面電子顕微鏡に有用な高偏極度並びに高輝度・大電流をもった偏極電子源を開発します。高偏極度はGaAs-GaAsP歪み超格子結晶薄膜を円偏光レーザーで照射し特定のスピン状態にある価電子のみを伝導帯へ励起する方式を用いて実現します。さらに、レーザー光を結晶の背面から入射し偏極電子を前方の負の電子親和性表面から放出させる方式を確立して高輝度・大電流化をはかります。
合計:18件(「機器開発プログラム」8件、「要素技術プログラム」10件)