資料4

新規採択研究代表者・研究者および研究課題概要


○チーム型研究(CREST)

戦略目標「新たな手法の開発等を通じた先端的な計測・分析機器の実現に向けた基盤技術の創出」
6 研究領域:「物質現象の解明と応用に資する新しい計測・分析基盤技術」
研究総括:田中 通義(東北大学 名誉教授、多元物質科学研究所 研究顧問)

氏名 所属機関 所属学部・
学科など
役職 研究課題名 研究課題概要
瀬戸 誠 京都大学 原子炉実験所 助教授 物質科学のための放射光核共鳴散乱法の研究 近年、SPring-8等の大型放射光施設が利用可能となり、性質の優れたX線が利用可能になってきました。本研究では、優れた性質を有しながら充分に活用できなかった原子核の共鳴励起過程と放射光とを最大限に活用することで先進的分光法を開発し、これまで不可能であった、物質中におけるそれぞれの元素やサイトについての詳細な研究を、複合極限環境下、ナノ構造体、超微量物質といった重要な研究対象において実現します。
高橋 隆 東北大学 大学院理学研究科 教授 バルク敏感スピン分解超高分解能光電子分光装置の開発 光電子分光法は外部光電効果を利用して物質の電子状態を直接測定できる強力な実験手段ですが、表面敏感性や電子スピン測定の困難といった問題を持っています。開発する「バルク敏感スピン分解超高分解能光電子分光装置」は、物質固有のバルク電子状態を高分解能でスピンまで分解して測定できるもので、高温超伝導体やカーボンナノチューブをはじめとする新機能物質の物性理解に大きく貢献することが期待されます。
竹腰 清乃理 京都大学 大学院理学研究科 助教授 材料開発に資する高感度多核固体NMR法の開発 固体NMR法は、原子レベルの局所構造とそのダイナミクスに関する情報が得られ実材料の構造解析に有用な手段ですが、検出感度が低いことや、測定対象の核種が水素(1H)や炭素の同位体(13C)など双極子核にほぼ限定されているという問題がありました。本研究では、検出系の冷却やコイルの微小化によって高感度化を図ると共に、四極子核に対する全く新しい発想に基づく高分解能測定法を開発し、先端材料の開発に貢献することを目指します。
内藤 康秀 光産業創成大学院大学 光医療・健康分野 助教授 超高分解能高速イメージング質量分析技術(質量顕微鏡)の構築 イメージング質量分析は、半導体物理や生命科学など幅広い研究分野で現象解明の重要な手段となる、「どんな物質が試料上のどこに在るか」を調べる計測技術です。本研究では、試料表面中の微小領域をレーザー照射によって「剥ぎ取り」、表面を構成する様々な物質(イオン)を質量に基づいて分離し、刻々と飛来するイオンの像を連続的に「撮影」する装置を開発し、物質の微細な分布状態を迅速に計測するイメージング質量を実現します。
福谷 克之 東京大学 生産技術研究所 助教授 水素のナノスケール顕微鏡 水素は質量が軽く原子サイズも小さいため、容易に固体中に進入して固体の電気的・力学的性質を大きく変えることがあります。また、質量が軽いことを反映して、水素は量子的に広がって存在すると考えられています。本研究では、固体中の水素の挙動を明らかにするために、新たにマイクロビーム共鳴核反応を開発し、実環境下においてナノスケールで固体中水素の3次元分布測定を可能にします。また、核反応のドップラー効果を利用して表面吸着水素の波動関数観察を実現します。