資料4

新規採択研究代表者・研究者および研究課題概要


○チーム型研究(CREST)

○戦略目標「次世代高精度・高分解能シミュレーション技術の開発」
3 研究領域:「マルチスケール・マルチフィジックス現象の統合シミュレーション」
研究総括:矢川 元基(東洋大学工学部 教授/日本原子力研究所計算科学技術推進センター センター長)

氏名 所属機関 所属学部・
学科など
役職 研究課題名 研究課題概要
尾形 修司 名古屋工業大学 大学院工学研究科 教授 ナノ・メゾ・マイクロの複雑固液界面の大規模数値解析 排気ガス触媒コンバーターやMEMS等に見られる、複雑(多孔質、微細加工、応力集中)固体と液体/気体との間の、ナノメートルからマイクロメートル規模のワイドレンジな動的界面現象への直接的応用を目指し、流体計算法から電子状態計算法までの様々な計算手法を適切に組み合わせたハイブリッドコードを開発します。大規模グリッド計算環境での長時間連続稼働のために、計算ノード故障に対するハイブリッドコードの耐久性を高めます。
押山 淳 筑波大学 大学院数理物質科学研究科 教授 計算量子科学によるナノアーキテクチャ構築 本研究においては、計算物質科学・生命科学・計算機工学の研究者による融合的共同により、現存の量子論的シミュレーション手法を質的に革新し、それを飛躍的に高速化することにより、1万~10万原子群のナノ・バイオ物質に対する量子論的シミュレーション技法を確立します。それによりナノ・アーキテクチャの構築〔原子構造・電子状態・ナノ形状・機能発現機構の解明と、新機能を有するナノ・バイオ構造体の提唱〕を行います。
佐藤 正樹 独立行政法人海洋研究開発機構 地球環境フロンティア研究センター サブリーダー 全球雲解像大気モデルの熱帯気象予測への実利用化に関する研究 地球シミュレータの性能を十分に生かすことにより、地球全体の大気を3.5kmの水平メッシュで解像する「全球雲解像モデル」による計算が可能になりました。これにより、従来の気象予測の精度向上のための障害となっていた熱帯域の水平スケール数㎞の雲降水システムを容易に計算できるようになりました。本研究では、全球雲解像モデルを実際に気象予測に利用するための科学的・技術的課題を克服し、次世代を担う数値予測技術の創成に挑戦します。
高田 俊和 日本電気株式会社 基礎・環境研究所 主席研究員 QM(MRSCI+DFT)/MM法による生体電子伝達メカニズムの理論的研究 エネルギー・環境問題の克服に向けて、生体に学ぶものづくりが提唱され始めています。生体で起きている精緻な化学現象をヒントに、安全で効率的な物資生産の技術を構築するのが、その狙いです。ここでは、生体の電子伝達メカニズムの解明に資するための、生体分子シミュレーション手法とプログラムを開発します。太陽エネルギーの将来的活用を目指して、光合成初期過程における電荷分離プロセスの高効率なエネルギー変換の謎を探ります。
高橋 桂子 独立行政法人海洋研究開発機構 地球シミュレータセンター グループリーダー 災害予測シミュレーションの高度化 台風や集中豪雨などの災害をさらに精度よく予測するために、地球シミュレータを駆使した高速予測シミュレーションコードを開発します。本コードは、マルチスケール・マルチフィジックスの視点から、全球から都市までを総合的に扱えることと、大気と海洋の相互作用を取り入れた大気・海洋結合コードであることが特徴です。非常に先進的な計算手法や、新しい実験値、観測値も積極的に導入したユニークな予測コードの構築を行います。
天能 精一郎 名古屋大学 大学院情報科学研究科 助教授 生体系の高精度計算に適した階層的量子化学計算システムの構築 高精度分子軌道理論から出発して、量子力学的階層構造(QM/QM)と分子力学的階層構造(QM/MM)を併せ持つ生体系のための計算手法をボトムアップ的に構築します。また、低スケーリングと新規波動関数研究に裏付けられた高精度で機動力あふれるシミュレーション技術と、それに伴う新規物性の開拓により、生体環境下の電子状態、動力学、物性検証までの分野横断的研究を可能とする次世代の科学技術の基盤を提供します。
平尾 公彦 東京大学 大学院工学系研究科 教授 ナノバイオ系のシミュレーションとダイナミクス 本研究では理論化学の対象をミクロからナノに展開し、分子計算プログラム・パッケージUTChemを開発し、ナノバイオ系のシミュレーションとダイナミクスを実現します。新しい電子状態理論やダイナミクス理論の開発、アルゴリズム、ソフトウエアの開発をもとに、数千原子系を扱える分子理論の構築とその実用化を目指しています。本研究により理論予測から実験へというナノバイオ系の新しい学問の流れを世界に向けて発信します。
松浦 充宏 東京大学 大学院理学系研究科 教授 観測・計算を融合した階層連結地震・津波災害予測システム プレートの沈み込み帯に位置する我が国の地震・津波災害の軽減に資するために、プレート運動による地殻応力の蓄積を経て大地震が発生し、地震波が構造物を揺らし、津波が海岸部を襲うまでの一連の過程を「地球シミュレータ」上で再現・予測する観測・計算融合の階層連結型高精度シミュレーションシステムを世界に先駆けて開発します。