資料4

新規採択研究代表者・研究者および研究課題概要


○個人型研究(さきがけ)

戦略目標「新たな手法の開発等を通じた先端的な計測・分析機器の実現に向けた基盤技術の創出」
5 研究領域:「構造機能と計測分析」
研究総括:寺部 茂(兵庫県立大学大学院物質理学研究科 教授)

氏名 所属機関 所属学部・
学科など
役職 研究課題名 研究課題概要
粟辻 安浩 京都工芸繊維大学 工芸学部 助教授 フェムト秒時空間画像計測システムの創成 最先端の自然科学では、フェムト秒領域で進展する超高速現象の解明や理解が重要課題となっています。本研究では、従来の方法では速すぎてできなかった、フェムト秒領域での超高速現象を動画像計測・可視化・解析できるシステムを創成します。現在、最も高性能な超高速度カメラでも撮影が不可能な、1万倍の速度を持つ超高速動画計測・評価が可能な時空間画像計測システムの実現を目指します。
今西 未来 京都大学 化学研究所 助手 新規時計関連タンパク質の探索法の開発 生物時計を制御する時計遺伝子の発現周期に影響を与える新規タンパク質は、生物時計のメカニズム解明だけではなく、様々な疾病の新薬開発の鍵をにぎります。本研究では、従来のアンチセンス法とは異なり、転写活性化ライブラリーを利用することが可能な、亜鉛フィンガーを用いた探索システムを構築します。時計遺伝子の発現パターン変化の計測精度の向上を目指し、亜鉛フィンガーを用いた時計摂動の調節と計測系を確立します。
河野 行雄 東京大学 大学院理学系研究科 助手 近接場THz光と電位の複合顕微鏡開発:電子輸送の新観察法 本研究の目的は、超高分解能を可能にする近接場THz光顕微鏡と電子の流れをマッピングする走査型電位計を組み合わせた全く新しい複合顕微鏡の構築を行うことです。本装置は、(1)主要なエネルギーがTHz帯に属している半導体量子構造・高温超伝導体といった最先端物質の新物性開拓に大きく貢献する、(2)THz光顕微鏡の各要素技術が、THz光技術を必要とする他分野にも寄与する、という波及効果が期待できます。
小寺 一平 北海道大学 電子科学研究所 研究員 ゲノムDNAの超迅速な塩基配列決定法 地球上の全ての生命体の遺伝情報はDNAによって担われてますが、DNAに含まれる遺伝情報は膨大であり、高等生命体の全遺伝情報を解読するのは大変困難です。本研究で用いる方法では、同時に非常に多くのDNA分子を短時間で観察することができ、従来のDNA解読方法と比較して飛躍的に高効率なDNAの解読が可能になります。このことは、医療や生命研究など様々な分野に大きな変革をもたらす可能性があります。
竹内 昌治 東京大学 生産技術研究所 助教授 リポソームアレイによる膜タンパク質の機能解析法 本研究では、次世代の治療、創薬法、あるいは超高感度生体イオンセンサーの実現に重要な役割を持つ膜タンパク質を含んだ、直径の等しいリポソームをアレイ状に基板に固定する技術を確立します。マイクロエレクトロフォーメーション法と脂質膜のパターニング法をマイクロ流体デバイス中で行うことで、単一径リポソームを作成し、所望の位置に固定します。これにより各種の膜タンパク質の機能を、一つ一つ効率的に解析することができるようになります。
一二三 恵美 県立広島大学 生命環境学部 助教授 インフルエンザウイルスを計測・除去可能な「スーパー抗体酵素」 「スーパー抗体酵素」は狙ったタンパク質を希望通り破壊できる特徴を有しています。本研究ではインフルエンザウイルスを標的とし、免疫工学、タンパク質工学、遺伝子工学的手法を駆使することにより、同ウイルスを特異的かつ容易に計測・除去できる性能をもつ「スーパー抗体酵素」を創製します。本研究の成果は同ウイルスを定量可能な計測機器開発へと結びつき、大気中の同ウイルスを正確に測定することで感染予防へとつながります。
由井 宏治 東京理科大学 理学部 講師 電子増強振動分光法の開発と応用 赤外吸収やラマン散乱など、分子の振動状態を測定する振動分光法は、分子の局所的な環境や構造情報を敏感に反映するため、反応追跡や構造決定の重要なツールです。一般に赤外吸収やラマン散乱の効率は、分子骨格を取り巻く電子の分布状態で分子固有に決まりますが、本研究で用いる新しい手法では、新たに電子を分子に付加することで分子の分極率を変化させ、赤外吸収やラマン散乱能を飛躍的に高めることできます。この手法により、細胞内といった局所環境における生体高分子など、極微少量のサンプルの構造解析や反応追跡に革新的な分光技術をもたらすことが期待できます。