戦略的創造研究推進事業(公募型研究)における平成17年度
新規採択研究代表者・研究者及び研究課題の決定について


○個人型研究(さきがけ)

戦略目標「新たな手法の開発等を通じた先端的な計測・分析機器の実現に向けた基盤技術の創出」
研究領域:「構造機能と計測分析」

氏名 機関名 所属部署名 役職名 研究課題名
粟辻 安浩 京都工芸繊維大学 工芸学部 助教授 フェムト秒時空間画像計測システムの創成
今西 未来 京都大学 化学研究所 助手 新規時計関連タンパク質の探索法の開発
河野 行雄 東京大学 大学院理学系研究科 助手 近接場THz光と電位の複合顕微鏡開発:電子輸送の新観察法
小寺 一平 北海道大学 電子科学研究所 研究員 ゲノムDNAの超迅速な塩基配列決定法
竹内 昌治 東京大学 生産技術研究所 助教授 リポソームアレイによる膜タンパク質の機能解析法
一二三 恵美 県立広島大学 生命環境学部 助教授 インフルエンザウイルスを計測・除去可能な「スーパー抗体酵素」
由井 宏治 東京理科大学 理学部 講師 電子増強振動分光法の開発と応用

五十音順に掲載

総評:研究総括 寺部 茂(兵庫県立大学大学院物質理学研究科 教授)

 本研究領域は昨年度に発足し、本年度は第2回目の募集にあたります。昨年度は応募者数が多く24件採択しました。従って、本年は数名程度の採択を前提として募集しました。一方、同じ戦略目標「新たな手法の開発等を通じた先端的な計測・分析機器の実現に向けた基盤技術の創出」のもとに、別のさきがけ研究領域「生命現象と計測分析」が発足したこともあり、応募者は134名と昨年と比較して少数でした。予想されたことではありますが、生命科学関係の提案が減少しました。13名のアドバイザーとともに書類選考を行い、とくに優れた研究提案16件に対して面接選考を行いました。専門分野に関わらず、本研究領域の目標である計測分析法の革新技術に発展する可能性のある研究提案であるかどうかに重点を置いて選考を進め、その結果、7件の提案を採択しました。
 昨年度の書類選考・面接選考で残念ながら採択に至らなかった応募者には、是非今年度も応募していただきその後の進展を知りたく思いましたが、実際には再応募者が少ないという結果に終わりました。本年度の採択予定件数が少ないことと、他に応募可能な研究領域があったことが理由と思われます。しかし、計測分析を指向した研究提案は是非この研究領域に提案していただきたかったと思います。昨年度と比較すると応募者数が4分の1近くまで減少したことは残念なことでありました。
 来年度は本研究領域の最後の募集となりますので、初年度のように多数の応募を期待します。とくに、広範囲にわたる計測分析の分野で、この2年間で採択課題のない研究分野が見られますので、そのような分野はある枠内で優先的に採択することも考えたいと思います。例として、質量分析、分離分析、電気化学分析、試料前処理などが挙げられます。質量分析は近年非常に重要な分析法となり、高性能で、高価な装置が多種市販されています。さきがけ研究で装置開発は困難であると想定されますが、新しい質量測定法の提案や新規な利用法の提案を期待しています。分離分析はこの2年間かなりの応募がありましたが、他の分野の研究提案に優るような独創的で将来の発展が期待される提案がほとんどなかったのは残念です。この分野の若手研究者の奮起を期待しています。電気化学分析はすでに確立された領域ではありますが、その特性をいかした局所分析のための独創的な分析法の開発を期待したいと思います。試料前処理は機器分析にとって必須であり、優れた前処理法の開発は新規分析法の開発と同等に重要であり、この分野でも革新的な提案を期待したいと思います。 もちろん、上記の分野以外のあらゆる分野での、独創的な計測分析法へと発展する可能性の高い意欲的な提案を期待します。