【用語解説】

 元々、すい臓の発生・形態形成に関与することが知られていた遺伝子であり、転写因子と呼ばれる蛋白質をコードしている。ヒトではこの遺伝子の異常により、糖尿病や運動失調を示す病気が引き起こされることが報告されている。

 発生途上の中枢神経系は脳室を取り囲む管状構造をしているが、その最も脳室側(内側)で一層の神経前駆細胞(神経上皮細胞とも呼ばれる)から構成されているのが脳室帯である。神経前駆細胞は盛んに増殖を繰り返し、神経細胞を次々と生み出す神経細胞の親細胞である。小脳の脳室帯からは、興奮性神経細胞(大型小脳核神経細胞)と種々の抑制性神経細胞(プルキンエ細胞、ゴルジ細胞、バスケット細胞、星状細胞、小型小脳核神経細胞)の両者が生み出される。

 遺伝子導入マウスあるいは形質転換マウスともいう。外来遺伝子をマウスの発生初期(受精卵)に導入し、導入した遺伝子はマウス個体を形成するすべての細胞(生殖細胞も含む)の同一染色体上の位置に組み込まれ、次世代にも遺伝する。

 比較的遠縁の系統のマウス同士を交配し、その子孫の遺伝子マーカーを調べる事によって、突然変異体の原因となっている遺伝子の存在する可能性があるゲノム領域を狭めて原因遺伝子を同定するための遺伝学的な解析手法。

 発生途上のある細胞が、将来どのような細胞へと分化していくのかをたどる解析方法。本研究では、小脳の脳室帯においてPtf1a遺伝子を発現している細胞から、将来どのような細胞が生み出されているのかを調べた。その結果、Ptf1a遺伝子を発現している細胞から、小脳における全ての種類の抑制性神経細胞が生み出されているということが明らかになった。