機構報第185号
開発を終了した課題の評価
課 題 名 | 「デカボランイオンビーム発生装置」 | ||||||
所 有 者 | 山田公 松尾二郎 富士通株式会社 独立行政法人科学技術振興機構 | ||||||
研 究 者 | 京都大学 名誉教授 山田公 京都大学大学院工学研究科 助教授 松尾二郎 | ||||||
委託企業 | 日新イオン機器株式会社 | ||||||
開 発 費 | 69,056,381円 | ||||||
開発期間 | 平成14年2月~平成17年2月 | ||||||
評 価 |
本新技術は、超微細半導体素子の製造プロセスにおいて、性能に悪影響を与えるリーク電流が生じにくい極浅接合を形成するためのデカボランイオンビーム発生装置に関するものである。 集積回路の素子中のp型半導体層を形成する方法の一つとして、ホウ素をイオン化し電位差で加速して半導体ウエハ表面の浅い領域に注入する方法がある。この方法を用いて、集積度を上げかつ素子を小型化するためには、加速電位差を低くしてイオンビームを低速化することで注入層をより浅くする必要があった。しかし、電位差が低いとイオンを十分引き出すことができず、注入効率が低下することや、ホウ素イオンは軽いためイオンビームが低速度になるとイオン間反発力によりイオンビームの広がりを均一にして注入することが困難となるといった問題があった。 本新技術によって、ホウ素10原子からなるデカボラン(B10H14)蒸気をイオン化して加速することにより、極浅p型不純物層の形成が可能となった。この方法では、1イオンあたり10個のホウ素を含むため低いイオン電流値であってもホウ素注入効率が高く、また、質量が大きいためイオン間の反発力による広がりも小さいため、収束したビームとして注入することができる。 本新技術は、半導体の微細なp型層形成に必要な技術となりうることから、集積回路の高集積化、高速化、低消費電力化に寄与することが期待される。 | ||||||
評 価 者 |
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評 価 日 | 平成17年5月25日 |