機構報第173号

開発を終了した課題の評価

課 題 名 「超精密薄膜チップ抵抗器」
研 究 者 秋田県高度技術研究所 所長 大内一弘
所 有 者 秋田県
アルファ・エレクトロニクス株式会社
委託企業 アルファ・エレクトロニクス株式会社
開 発 費 284,810,000円
開発期間 平成14年2月~平成17年1月
評 価  本新技術は、抵抗体にニクロム系合金を用い、薄膜スパッタ技術と最適な熱処理管理および薄膜抵抗パターンの微細加工技術と抵抗値に影響を与えないパッケージ方法により、高精度で長期の経時温度特性に優れた小型・高抵抗のチップ抵抗器の製造を可能とした技術である。
 本開発では、極薄膜の抵抗体の精度向上のため、アルミナ基板の表面がガラスコーティングされた平滑度の高いグレーズ基板を採用し、抵抗体にはニクロム系(NiCr+数%の添加元素)合金ターゲットを用いて成膜した。成膜条件の最適化により安定した温度特性と熱処理温度の最適化により温度係数が最小となる条件を確立した。また、微細パターンの露光条件の確立とドライエッチング法(イオンミリング法)により1MΩのパターンを得た。さらに、抵抗パターンの中に予め調整用パターンを組み込み、このパターンをレーザトリミングすることで高精度な抵抗値を得た。また、熱処理した抵抗体を安定化処理して抵抗体表面に酸化膜を形成し、抵抗体に応力を与えない端部電極や保護層を形成することで、広い温度範囲で経時変化を抑えることができた。
 本新技術により、小型・高抵抗で使用温度範囲の拡大と抵抗値変化の低減が可能となり、高精度・高信頼性が求められる産業用高精度電子機器、使用環境の厳しい航空宇宙の分野および車載用電子機器等への利用が期待される。
評 価 者
科学技術振興審議会 技術移転部会 委託開発事業評価委員会
委員長   高橋 清
委 員   井浦 幸雄、石谷 炯、井街 宏、木村 茂行、桐野 豊、小林 健、中川威雄、西川 壽子、西澤 民夫、増田 善昭、八嶋 建明、吉村 進
評 価 日 平成17年3月18日