科学技術振興機構報 第167号

平成17年 4月 15日

東京都千代田区四番町5−3
科学技術振興機構(JST)
電話(03)5214-8404(総務部広報室)
URL http://www.jst.go.jp

個々人に最適なワクチン診断のための検査を行う大学発ベンチャー企業設立
−特異免疫機能の測定技術を開発−

 JST(理事長 沖村憲樹)では、平成11年度より大学等の研究成果をベンチャービジネスにつなげていくための起業化に向けた研究開発を行うプレベンチャー事業を実施してきました。
 この度、平成14年度より開始した研究開発課題「テーラーメイドワクチン診断装置」の研究開発チーム(リーダー:伊東恭悟 久留米大学医学部免疫学教室 教授、サブリーダー:出田光太郎)のメンバーが出資して、ベンチャー企業 株式会社イムノディア(代表取締役社長:七條茂樹、本社:福岡県久留米市、資本金:3,000万円)を平成17年4月1日に設立しました。
 癌や慢性ウイルス感染症の治療を目的とする特異的免疫療法※1※2は、21世紀の新しい治療法として大きな期待を集めていますが、個々人により異なる癌やウイルスに対する特異免疫機能の正確な測定法がないために実用化が困難でした。
 本チームは、抗ペプチド抗体のハイスループット測定技術とキラーT細胞測定技術により、微量の血液を用いて個々人の特異免疫機能を測定する技術を世界で初めて開発しました。
 特異免疫機能の増強が治癒や病態改善に必要とされている代表的疾病としては、癌や慢性感染症(エイズやC型肝炎ウイルス感染症、結核など)があります。一方、特異免疫機能の異常が疾病の原因となり、その是正が治癒や病態改善に必要とされている代表的疾病として、自己免疫疾患やアレルギー・アトピーが挙げられます。これらの疾病では、特異的免疫療法と呼ばれる、疾病に関与する特異免疫機能を調べて、その強化を図る治療法(ワクチン)の開発や是正を図る治療法(脱感作※3)が期待されています。本測定技術により、世界で初めて癌やウイルスの抗原ペプチドに対する個人特有な免疫機能を正確に測定・診断することができるようになり、的確なテーラーメイド型ペプチドワクチン※4療法が可能となります。
 同社は、テーラーメイド型ペプチドワクチン診断のための検査業務を行うと共に、慢性感染症やアレルギーに対する免疫診断キットの研究開発を行い、平成20年度には年間10億円の売上を目指します。
 今回の株式会社イムノディアの設立により、当事業によって設立したベンチャー企業数は31社となりました。

用語説明

※1)特異免疫機能: ウイルスや癌細胞と出会った後に成立する免疫力(抵抗性)であり、これらに対する生体防御の中心的役割を果たす。獲得免疫ともいう。
※2)特異的免疫療法: 特定の抗原に対する免疫応答のみを増強ないし抑制する治療法。
※3)脱感作: 抗原を体内に微量ずつ注入すること等により、アレルギー反応を減弱させる方法。
※4)テーラーメイド型ワクチン: 患者毎に異なる、個々人に最適なワクチン。

■企業概要
■事業概要
■開発した技術の概要

<本件お問い合わせ先>

独立行政法人 科学技術振興機構
産学連携事業本部 技術展開部 新規事業創出課
山岸(ヤマギシ)、粂田(クメタ)
TEL 03−5214−0016