科学技術振興機構報 第159号

平成17年 3月14日

東京都千代田区四番町5−3
科学技術振興機構(JST)
電話(03)5214-8404(総務部広報室)
URL http://www.jst.go.jp

高精度、高速、安価な測長器の製造・販売を行う大学発ベンチャー企業設立

−液晶電気光学効果を利用した精密測長器と3次元マイクロ光学スキャナーを開発−

 JST(理事長:沖村憲樹)では、平成11年度より大学等の研究成果をベンチャービジネスに結びつけていくための起業化に向けた研究開発を行うプレベンチャー事業を実施してきました。
 この度、平成13年度より開始した研究開発課題「液晶による位置制御用精密測長器」の研究開発チーム(リーダー:吉野勝美 大阪大学大学院工学研究科 教授、サブリーダー:大薗敏雄)のメンバーが出資して、ベンチャー企業1株式会社 大阪光科学技術研究所(取締役会長:吉野勝美、代表取締役社長:小林潤也、本社:京都府京都市、資本金:1,000万円)を平成17年1月5日に、2株式会社 大阪電子科学技術研究所(取締役会長:吉野勝美、代表取締役社長:大薗敏雄、本社:滋賀県滋賀郡志賀町、資本金:1,000万円)を1月6日に、それぞれ設立しました。

 近年、情報機器の進歩に伴う半導体チップの高密度化、記憶媒体の大容量化により構成部品の超微細化が進み、ナノメートル単位の測長・加工技術が重要な要素技術として要望されています。しかし、従来の測長器は複雑で特殊な光学系を用いるため高額で、取り付け・保守管理に高い熟練度が要求されるため用途は限られていました。また、そのような複雑で特殊な光学系を駆使した高価な計測装置を用いても、数十ナノメートル精度の測長は、例えば振動や電気ノイズ等の周辺環境の影響により難しいのが現状です。
 本チームは、液晶電気光学効果により光の直進性と透過強度が低電圧で制御できることを応用し、光センサの出力からナノメートル単位の移動量を検出できる高精度精密測長器(分解能±0.5nm、再現性精度±20nm)の開発に成功しました。
 本測長器は、特殊な光学系を必要としないため低価格化が可能となり、取り付けも簡便で、振動や電気ノイズ等の周辺環境の影響にも強く、また、液晶電気光学効果を利用した本測長器の特長である、目標を直接指示できる機能を有するため、高速測長が可能です。
 さらに、応用製品として、ナノメートルオーダー計測の3次元マイクロ光学スキャナーを開発しました。高さ計測を高速化することで3次元データ収集時間を短縮でき、短時間で3次元微細構造を計測・解析することが可能となります。精密3次元計測の需要は、エレクトロニクスや精密機械、材料、バイオ分野等において着実に高まってきていますが、本製品は汎用機としての普及が期待されます。
 両社は液晶を、ディスプレイ等ではなく精密測長技術に利用し、新産業創出を使命として事業を展開していきます。ナノメートルオーダー測長器の市場としては、年間200億円、成長率も40%程度に達しています。株式会社 大阪電子科学技術研究所は本プログラムで開発した精密測長器をはじめとする精密位置制御機器の製造・販売を中心として3年後に1.8億円の売り上げを、株式会社 大阪光科学技術研究所は3次元マイクロ光学スキャナーをはじめとする精密光学計測機器の製造・販売を中心として3年後に2.1億円の売り上げを目指します。
 今回の株式会社 大阪光科学技術研究所及び株式会社 大阪電子科学技術研究所の設立により、当事業によって設立したベンチャー企業数は30社となりました。

計測原理(サーボ機構、光センサ、液晶スケールの構成)
設立企業(二社)比較表
株式会社大阪電子科学技術研究所【企業概要】【事業形態】【製品例】
株式会社大阪光科学技術研究所【企業概要】【事業形態】【製品例】

<本件お問い合わせ先>
独立行政法人 科学技術振興機構
企業化開発事業本部 技術展開部 新規事業創出室
斉藤 隆行(電話03−5214−0016)