科学技術振興機構報 第150号

平成17年 2月 8日

東京都千代田区四番町5−3
科学技術振興機構(JST)
電話(03)5214-8404(総務部広報室)
URL http://www.jst.go.jp

神経疾患、加齢による大脳機能障害、虚血性脳神経疾患、虚血性心疾患、
これらの予防・治療薬を開発・支援する大学発ベンチャー企業設立

−アポトーシス抑制遺伝子を活性化する低分子化合物のスクリーニング技術を開発−

 JST(理事長 沖村憲樹)では、平成11年度より大学等の研究成果をベンチャービジネスに結びつけていくための起業化に向けた研究開発を行うプレベンチャー事業を実施してきました。
 この度、平成11年度より開始した研究開発課題「脳・神経変性抑制因子を利用した神経変性疾患の予防・治療技術」の研究開発チーム(リーダー:酒井治美、サブリーダー:池田穰衛 東海大学総合医学研究所 教授)のメンバー等が出資して、ベンチャー企業 株式会社ニュージェン・ファーマ(代表取締役:池田穰衛、本社:東京都千代田区、資本金:1300万円)を平成17年2月8日に設立しました。
 日本をはじめ、北米、ヨーロッパ諸国では生活環境の変化と社会の高齢化によって脳・神経疾患ならびに循環器障害の多発が顕在化しています。なかでも壮年期に発症する神経疾患や虚血性心疾患の増加は大きな社会問題です。
 筋萎縮性側索硬化症(ALS)・パーキンソン病・加齢による大脳機能障害(アルツハイマー、老年性記憶障害等)における脳神経細胞死、脳梗塞などの虚血性脳機能障害の予後に起きる脳神経細胞死、さらに心筋梗塞や狭心症の治療予後に派生する心筋細胞死には、酸化ストレスによる細胞死(アポトーシス)が大きく関わっていることが明らかになってきました。従って、酸化ストレスによるアポトーシスを抑制する方法が見つかれば、これら疾患の予防・治療薬の開発につながります。
 本チームは、池田穰衛教授とオタワ大学・東オンタリオ小児病院 Robert Korneluk教授、Alex MacKenzie教授らがJST創造科学技術推進事業にて単離・同定に成功し、JST国際共同研究事業において機能解析を行った酸化ストレスによるアポトーシスを選択的に抑制する遺伝子(NAIP遺伝子(*))について、それを活性化する低分子化合物の高効率スクリーニングシステム(NAIP-ELISA)を開発し、さらにそれを用いて約30種の低分子化合物を同定し、ALSモデルマウスの延命、虚血性心筋壊死の抑制などに有意な効果があることを見出しました。
 株式会社ニュージェン・ファーマは、今後2年間で臨床試験に持ち込み、4年目までに初期の臨床効果の報告をすることを目標にしています。さらに2010年を目途に国内外での商品化を計画しています。また、それまでの間には、製薬企業、臨床検査会社との開発提携を結び、契約一時金の収入を得る計画です。
 今回の株式会社ニュージェン・ファーマ設立により、当事業によって設立したベンチャー企業数は28社となりました。

(*)NAIP:Neuronal Apoptosis Inhibitory Protein

NAIP創薬の適応症の範囲
〜酸化ストレスによるアポトーシスが分子背景となっている神経・筋疾患〜


■企業概要
■株式会社ニュージェンファーマ事業展開のモデル

<本件お問い合わせ先>

独立行政法人 科学技術振興機構
企業化開発事業本部 技術展開部 新規事業創出室
斉藤 隆行(電話03−5214−0016)