別紙1

研究成果活用プラザにおける事業化のための育成研究 平成16年度採択課題一覧

(敬称略)
番号 プラザ 課題名 提案者 概要
研究者(○:代表研究者) 共同研究企業
1 北海道 キラル触媒プロセスの開発 北海道大学大学院工学研究科 教授 ○ 宮浦 憲夫 三菱レイヨン(株) 宮浦教授は、新たにロジウム触媒と配位子からなる独創的な触媒系を開発し、従来困難であった高純度で多様性を有するキラル化合物の合成を可能にした。本研究では当面、キラル医薬品として有望な高血圧抑制剤と薬物依存性のない鎮痛剤の事業化を目標とするが、その過程で市場でのニーズの大きい多種類のキラル化合物を製造する触媒系とプロセスの開発を行う。
北海道大学大学院薬学研究科 教授 橋本 俊一
北海道大学大学院工学研究科 教授 大熊 毅
2 北海道 伝統医学とバイオメディカル技術による生活改善食品の開発 北見工業大学国際交流センター 教授・センター長 ○ 山岸 喬 (株)はるにれバイオ研究所 山岸教授は、食品成分の構造決定、機能の解析を行う科学的解析手法を用いて、漢方など伝承の薬物や北海道伝承の北方系植物等から新規に単離した成分の機能性や安全性を評価し、信頼性の高い高齢者、介護向けの消臭、整腸効果のある健康食品、更にはポリフェノールの作用(高コレステロール血症、高脂血症などの生活習慣病に有効)をも加味した機能性健康食品、医薬品等を開発する。また、ペットや家畜などの消臭、整腸等の動物用食材の開発を進める。
(株)カイゲン
大塚食品(株)
3 宮城 45nm世代IC多層配線におけるバリア層自己形成プロセスの開発 東北大学大学院工学研究科 教授 ○ 小池 淳一 (株)東芝 45nm世代の超高性能集積回路(IC)には、IC配線内部の高電気抵抗バリア層を5nm以下の厚さにし、低抵抗・高信頼性を併せ持つ多層Cu配線を形成する必要がある。現在のバリア層形成技術は90nm世代に必要な性能も達成出来ていない。これを解決する為にCu-Mn合金を利用したバリア層自己形成プロセスを開発する。このプロセスを低誘電率絶縁層からなる最先端の多層配線構造に適用し、45nm世代以降のIC配線形成技術の実用化を目指す。
三菱マテリアル(株)
4 宮城 高効率常温磁気冷凍材料の実用化 東北大学大学院工学研究科 助教授 ○ 藤田 麻哉 (株)東芝 現在冷凍技術の主流である気体冷凍の代替を目指し、外部磁場変化により磁性体の磁気エントロピーや温度が変化する「磁気熱量効果」を利用した磁気冷凍技術の確立を目指す。 
具体的には、水素吸収による常温域近傍の広い温度範囲に動作温度設定が可能で、永久磁石により印加可能な低磁場で、大きな磁気熱量効果を示すメタ磁性物質である
La(FeSi)13Hyを用いて、「高効率・クリーン・安全・ノンフロン」という特長を持った新規磁気冷凍システムの実現を目指す。
東北大学大学院工学研究科 教授 深道 和明
東北大学大学院工学研究科 日本学術振興会特別研究員 藤枝 俊
5 宮城 超広帯域バイオフォトニクス光源の開発 東北大学未来科学技術共同研究センター 教授 ○ 横山 弘之 (株)応用光電研究室 小型半導体超短光パルスレーザーを用いて、独自の非線形光デバイスによる高効率波長変換により、100kWレベルの高出力と波長変換(390~1550nm)を実現する安価・小型・動作安定性のある光パルス発生装置を開発する。1光子および多光子レーザ顕微鏡や、多光子効果ナノ加工などバイオメディカル分野への応用が期待出来る。
東京農工大学大学院共生科学技術研究部 助教授 三沢 和彦
6 石川 包接能化合物固定化技術の開発とその加工プロセスの実用化 石川県工業試験場繊維生活部 主任研究員 ○ 山本 孝 根上工業(株) 光重合反応等を用いて包接能を持つシクロデキストリンの層を合成繊維などの高分子材料表面にナノレベルで形成・固定する技術を確立し、優れた吸着・徐放性能や耐久性を活かした『高機能ナノ構造高分子材料』を開発する。                                                                   また、超高圧技術を用いて効果的な機能性成分の保持方法や徐放の制御技術を検討し、包接能を最大限に発揮する技術の確立も図る。                                                   開発した材料は、例えば、環境(空気、水)を浄化するためのフィルター、薬用成分を長期間徐放する創傷被覆保護材、スキンケア加工繊維製品など、近年需要が増大傾向にある健康や快適環境といった生活の質(Quality of Life)の改善に関わる製品として展開し、事業化を目指す。
福井大学工学部生物応用化学科 助手 久田 研次 小松精練(株)
7 石川 ペンシル型走査型プローブ顕微鏡の開発 北陸先端科学技術大学院大学材料科学研究科 助教授 ○ 富取 正彦 フジ・インバック(株) 超高分解能走査型電子顕微鏡(SEM)の試料ステージ中に収まるペンシル型走査型プローブ顕微鏡(SPM)を開発してSEMと複合化し、ナノスケールの分解能をもつ2つの顕微鏡の能力を活用して個々の原子・分子を観察しながら操作・組立てができる装置を創製する。
なお、装置構造の共通性から本ペンシル型SPMは若干の設計変更のみで透過型電子顕微鏡や収束イオンビーム装置との複合化も可能である。
本育成研究では、このペンシル型SPMを『表面観察・評価装置』としてはもとより『ボトムアップ型ナノテクノロジー・ツール』として広く利用できるようにし、電子工業、バイオ・医療系への応用も視野に入れ、事業化を目指す。
北陸先端科学技術大学院大学 材料科学研究科 助手 新井 豊子
8 東海 強磁場カソードスパッタ装置による光学多層薄膜製造技術の研究開発 名古屋大学大学院工学研究科 教授   ○ 水谷 宇一郎 (株)イムラ材料開発研究所 本研究では、超伝導永久磁石を用いたカソードスパッタ装置により、基板とターゲット間を大幅に離すことが可能となり、従来技術の1/2以下の拡散層0.7nm以下の原子拡散の少ないクリアで高い反射率をもつ光学多層膜の作成技術を可能とする。本技術を極端紫外線(EUV)リソグラフ用集光ミラーに用いることにより、ますます超高密度化するLSI微細パターン製造技術が実現できる。
名古屋大学大学院工学研究科 助教授   生田 博志 (株)ニコン
9 東海 スーパーコンティニューム発生を用いた可視域ファイバ光源の開発 東京大学先端科学技術研究センター 助教授   ○ 多久島 裕一 サンテック(株) 本研究では、同期ファイバレーザと波長変換技術、スーパーコンティニューム技術を用いたスペクトル広帯域化技術により、医療用、通信用等の検査用機器に必要な可視光から近赤外までの超広帯域光源の開発を行う。
こうした光源を用いた機器は、医療化学分析、光計測・光情報検査機器、光医療診断計測機器など多くの分野で飛躍的性能向上が期待される。
10 京都 染色体研究のブレークスルーを促進する電気浸透式スライドガラスの開発 京都大学医学研究科先端領域融合医学研究機構 プロジェクトリーダー特任助教授 ○ 加畑 博幸 日本板硝子(株) マイクロ加工技術を駆使して糸鞠構造を持つ染色体DNAを電気浸透流で伸張・展開し、DNAの構造-動態-機能の解析を容易にできる電気浸透式スライドガラスおよび周辺技術を開発する。複雑に絡み合ったDNAを解きほぐし、ファイバー化して顕微鏡観察することより、糸鞠の内部に秘められた未知の遺伝機能が見出され、医学や生物学の分野に新たな発展が期待される。 
京都大学医学研究科 研究員 蓮井 千恵子
京都大学医学研究科 研究補佐員 上田 めぐみ
11 京都 パラレル・ナノライティングシステムの開発とナノデバイス創成への応用 立命館大学理工学部マイクロ機械システム工学科 助教授 ○ 磯野 吉正 (株)ユニソク MEMSアクチュエータにより駆動可能なマルチプローブアレーと、それを利用したパラレル・ナノ描画システムを新開発し、安価で容易なナノデバイス試作技術を実現する。また、ナノ描画システムに、単分子薄膜マスク技術とマイクロマシーニング技術を組み合わせて、新規なナノデバイスの開発を目指す。本提案の技術開発により、EBをはじめとする高価な露光装置を必要としない、ナノ微細加工技術の確立が期待できる。
兵庫県立大学工学研究科 助手 生津 資大
12 大阪 細菌感染防止を実現する界面融和型経皮デバイスの開発 国立循環器病センター研究所生体工学部  室長 ○ 古薗 勉 (株)井元製作所 生体と長期に密着し体外からの細菌感染を防止する経皮デバイスの開発を目的とする。具体的製品として、本技術を用いて製造した経皮ボタンを装着した中心静脈カテーテルの開発を目指す。本技術の有効性発現のメカニズムは、機械的物性に優れた高分子基材(カテーテル素材)と、生体との優れた密着性を有する無機材料を利用していることに由来する。これにより、皮膚との密着性が向上し体外からの細菌の侵入を防ぐことが出来る。
国立循環器病センター・心臓血管内科 医長 京谷 晋吾
独立行政法人物質・材料研究機構・生体材料研究センター センター長 田中 順三
13 大阪 ナノインプリント法による高性能病理検査チップ開発
(高速,高感度肺癌臨床病理検査用マイクロチップの開発)
大阪府立大学大学院工学研究科  教授 ○ 平井 義彦 大日本製薬(株) 世界初の肺癌抗原検出用材料による高性能臨床病理検査マイクロチップを開発する。世界で初めて開発したナノインプリント法による多層3次元マイクロ・ナノ流路作製技術応用し、検体より癌抗原を分離する前処理部分と、世界に先駆けて開発する高効率抗体固定化樹脂からなるナノ構造を利用した高感度検知部分を一体型したマイクロチップを開発し、従来手法と比べて高速(100倍)、高感度(1,000倍)を達成し事業化を図る。
大阪府立大学大学院工学研究科  教授 関 実
大阪府立大学大学院工学研究科  助教授 八尾 俊男 神戸バイオロボテックス(株)
大阪府立大学大学院農学生命科学研究科 助手 塚本 康浩
大阪府立大学大学院工学研究科 助教授 川田 博昭 王子計測機器(株)
大阪府立産業技術総合研究所 研究員 福田 宏輝
14 大阪 がん-ホウ素中性子捕捉療法に最適化された10B-ホウ素クラスター化合物の創製 大阪府立大学大学院農学生命科学研究科 教授 ○ 切畑 光統 (株)バイオリサーチ 癌にだけ損傷を与え、健常細胞には影響を与えない放射線治療のひとつ、癌中性子捕捉療法(Boron Neutron Capture Therapy: BNCT)に用いる10Bホウ素薬剤を事業化ターゲットとする。
BNCTにおいて臨床実績のある10B-BSH(ウンデカボロンチオール)の高品質・大量合成法を確立する。
新規製剤としてデンドリマーに10B-BSHを導入したBNCTに有効な10B-サブナノデバイス製剤を開発する。
京都大学原子炉実験所付属原子炉医療基礎研究施設 教授 小野 公二
大阪大学歯学部 助手 加藤 逸郎
大阪医科大学 助教授 宮武 伸一 ステラケミファ(株)
川崎医科大学 助教授 平塚 純一
神戸学院大学薬学部 教授 福森 義信
15 広島 ニワトリモノクローナル抗体を利用した簡易検査薬の開発 広島大学 大学院生物圏科学研究科 教授 ○ 松田 治男 湧永製薬(株) ヒトと進化的にかけ離れているニワトリを用いて、ヒトとの類縁性のためマウスを用いては得ることのできなかったモノクローナル抗体を調製・大量製造する方法を開発し、それを利用した簡易検査薬の実用化を目指す。
大日本製薬(株)
16 広島 医療用光ファイバー型局在プラズモン共鳴バイオセンサーの開発 広島大学医歯薬学総合研究科 教授 ○ 秀 道広 トーヨーエイテック(株) 腎透析の際に使用する薬剤により引き起こされ、患者が数分で死に至りうる重篤な急性アレルギー性ショック症状の発生を、加工された極微細金粒子及び近接場光という特殊な光を用いて高速度でモニターする技術を確立し、診断装置の開発を目指す。さらに、この技術を応用し、生体内の細胞機能を監視、評価する技術の確立を目指す。
広島大学大学院先端物質科学  教授 高萩 隆行 湧永製薬(株)
広島大学病院皮膚科 助手 平郡 隆明
17 福岡 次世代LSIテスト設計自動化システムの研究開発 九州工業大学情報工学研究科情報創成専攻 助教授 ○ 温 暁青 (株)システム・ジェイディー 大型集積回路(LSI)内の如何なる複雑な故障をも精確に表現できるX故障モデルから派生する、故障検出技術と故障診断技術を世界に先駆けて確立することを目指す。本研究ではLSIのテスト設計自動化システムを初めて国産化するという目標を達成する。
九州工業大学情報工学部 教授 梶原 誠司
18 福岡 ゲノム創薬のための革新的遺伝子ノックダウン法の開発 近畿大学産業理工学部生物環境化学科 教授 ○ 藤井 政幸 (株)ジーンネット ゲノム医療、ゲノム創薬を実現するために必要不可欠である遺伝子機能の解明において、特定の遺伝子発現を抑制(ノックダウン)する手法の開発を目指す。本研究では、既存の技術の欠点であるノックダウン効率の低さ、細胞毒性、高コスト等を克服するために、siRNA分子に種々の機能を持つ生体分子を独自の技術にて結合したコンジュゲートsiRNAを設計することによって、革新的ノックダウン法を開発する。
独立行政法人産業技術総合研究所 主任研究員 大庭 秀樹