[用語説明]

注1:金属クラスター
数個から数百個の金属原子から形成される集団。通常、ナノメートル単位の大きさで、バルク金属には見られない性質を示す。また、クラスターのサイズによっても特性が大きく異なり、微小金属クラスターは凝集しやすく不安定である。
注2:(金属の)価数
金属の電子状態を表す数の一種。金属原子が電子を1つ失うと1価、2つ失うと2価、1つも失っていない場合が0価である。
注3:独自のマイクロカプセル化技術
マイクロカプセルは、金属が高分子で包み込まれて球状となっており、通常数ミクロンから1ミリメートル程度の大きさである。小林プロジェクトではポリスチレンを用いた金属触媒のマイクロカプセル化技術を開発しており、高い触媒活性を維持しつつ、回収・再使用も可能である。
注4:ミセル
界面活性剤などの両親媒性物質を水などの極性溶媒に溶かした場合に、特定条件下で自己組織化して形成される安定な構造体。本研究では、マイクロカプセルの外側が親水性となったミセルの形で存在している。

(注4図)
注5:パラジウム触媒反応
パラジウム触媒の作用で進行する化学反応。実用的な触媒として化成品、医薬品などの合成に頻繁に用いられる。水素添加反応・鈴木-宮浦反応・Heck反応など多くの反応が知られている。
注6:両親媒性
親水性部分と疎水性部分を併せ持つこと。ここで用いた高分子は疎水性側鎖と親水性側鎖が主鎖に対して分離した構造をもつ。
注7:Heck(ヘック)反応
 現代有機合成化学における最も実用的なパラジウム触媒反応の一つ。
注8:触媒回転数
一つの触媒が反応系内で何回触媒作用を行ったかを示す数。