科学技術振興機構報 第134号

平成16年11月30日

東京都千代田区四番町5−3
科学技術振興機構(JST)
電話(03)5214-8404(総務部広報室)
URL http://www.jst.go.jp

プレベンチャー事業で血液凝固因子生産型バイオリアクターの基本技術を開発

−血液凝固因子生産型バイオリアクターの研究及び 肝細胞培養関連材料を販売する大学発ベンチャー企業設立−

 JST(理事長 沖村憲樹)では、平成11年度より大学等の研究成果をベンチャービジネスに結びつけていくための起業化に向けた研究開発を行うプレベンチャー事業を実施してきました。
 この度、平成13年度より開始した研究開発課題「血液凝固因子生産型バイオリアクター」の研究開発チーム(リーダー:赤池敏宏 東京工業大学大学院生命理工学研究科 教授、サブリーダー:太田宗宏)のメンバーが出資して、ベンチャー企業 有限会社ヒット(取締役:太田宗宏、本社:横浜市、資本金:300万円)を平成16年10月14日に設立しました。
 手術時の止血、先天性の疾患の治療に用いられている血液製剤や血漿タンパク質は日本赤十字の献血事業により賄われていますが高価であり、供給も不安定です。従って、バイオリアクターによる安価で、ウイルスの感染の心配の無い安全な血液凝固因子製剤が供給されれば、大きな市場が見込まれます。また本研究開発の派生技術としての肝細胞培養方法は、人工肝臓の開発の基礎であり、劇症肝炎の治療で行われる生体肝移植でのドナー不足問題を解決する上で、医学的に非常に大きな効果が期待されます。
 本チームは、糖鎖高分子ポリマー基材を用いた肝細胞培養法を基に、肝細胞に対して様々な培養マトリックスや培養方法を工夫して細胞の機能を向上させ、バイオリアクターの基本技術を開発しました。マウス肝細胞を用いたバイオリアクターで血液凝固因子をはじめとするタンパク質の生産に成功しました。
 しかし、製品化に向けて、さらにヒト肝細胞や不死化肝細胞を用いた研究開発を実施する必要があります。そのため、事業化の第一段階として肝細胞培養技術を含めた肝細胞培養関連材料の大学・病院・企業などへの実績紹介と販売を行います。さらに第二段階としてこれらの肝細胞を培養した場合の肝細胞の機能化により得られる薬物代謝機能に着目した肝細胞チップの事業化、また、ES細胞増殖システムによる事業化、そして最終的にヒト血液凝固因子製剤の開発についても更なる検討を進めて行きたいと考えています。
 肝細胞培養関連材料の販売で平成20年度までに1億円の年間売上を目指します。

 今回の有限会社ヒット設立により、当事業によって設立したベンチャー企業数は25社となりました。
 なお、本件についてのお問い合わせは、企業化開発事業本部 技術展開部 新規事業創出室(電話03−5214−0016)の斉藤 隆行までご連絡下さい。

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