機構報第133号

開発を終了した課題の評価

課 題 名 「高酸素運搬機能を有するパーフルオロカーボン乳剤製造システム」
研 究 者 神戸学院大学薬学部助教授 福島昭二
所 有 者 福島昭二(神戸学院大学薬学部助教授)
日本油脂株式会社
日本ビーイーイー株式会社
委託企業 日本ビーイーイー株式会社
開 発 費 182,222,037円
開発期間 平成12年3月~平成16年9月
評 価  本新技術は、赤血球の酸素運搬機能を代替えする人工酸素運搬体の1つであるパーフルオロカーボン(PFC)乳剤の製造システムに関するものである。
 これまでに、化学的に不活性で大量の酸素を溶解できるPFCを乳化処理した乳剤が酸素運搬体として試用された。しかし、従来の製剤では、不十分な乳化技術に由来する製造上の問題点が存在し、また製剤保存時の安定性に乏しく、さらに生体内投与後の血中滞留性が十分でないなど、解決あるいは改良すべき問題点が存在した。
 本新技術では、新規な乳化法である高圧ジェット流型乳化装置を導入し、高濃度のPFCの乳剤製造に最適な製造システムを開発した。また、血中滞留性の向上のためPEG化リン脂質を導入し、明らかな血中滞留性の向上を得た。さらには、新規な乳化補助剤を導入し、保存時の安定性を改善した。本技術により製造された乳剤は、高酸素運搬機能を持ち、生体適合性に優れ、安全性試験においても有望な結果を示した。
 本新技術による製造システムは、GMPに準拠した大量生産に移行可能であり、また、開発された製剤は、赤血球代替のみならず、虚血性疾患での酸素供給など、種々の応用が可能であり、今後の実用化が期待できる。
評 価 者
科学技術振興審議会 技術移転部会 委託開発事業評価委員会
委員長   高橋 清
委 員   井浦 幸雄、石谷 炯、井街 宏、木村 茂行、桐野 豊、小林 健、中川 威雄、西川 壽子、西澤 民夫、増田 善昭、八嶋 建明、吉村 進
評 価 日 平成16年11月1日