JST(理事長 濵口 道成)は、国際科学技術共同研究推進事業(戦略的国際共同研究プログラム:SICORP)注1)「日本-イスラエル共同研究」において、イスラエル科学技術省(MOST)注2)と共同で「レジリエントな社会のためのICT」分野に関する共同研究課題の募集注3)および審査を行い、平成30年度新規課題として以下の3件を決定しました(別紙1)。
(1)「先進ICTを用いた淡水生態系復元力の監視」
研究代表者:立命館大学 総合科学技術研究機構 上席研究員 熊谷 道夫イスラエル海洋湖沼学研究所 キネレット湖沼学研究室 教授 イリア・オストロフスキィ
本研究は、生命を根源から支える基本要素である淡水資源を対象とし、ICTを用いた水環境監視を構築することにより既存の技術ではなし得なかった迅速監視手法を開発し、想定される環境リスクの低減を目指すものです。
(2)「観光客の流動パターンの把握と避難経路情報の提供」
研究代表者:京都大学 大学院工学研究科 准教授 ヤン・ディャク・シュマッカーバーイラン大学 経営管理学部 上級講師 ユーバル・ハダス
本研究は、多くの観光客が存在する観光地エリアを対象とし、Wi-FiセンサーやBluetoothセンサーなどを活用した観光客の位置的・時間的な流動パターンの把握および予測と避難情報提供に関する実験を行い、非常時における観光客の安全な避難実現を目指すものです。
(3)「低機能ロボット群による環境外乱に頑健で継続的な自律的組織化システム構築手法」
研究代表者:奈良先端科学技術大学院大学 先端科学技術研究科 准教授 大下 福仁ネゲブ・ベングリオン大学 計算機科学研究科 教授 シュロミ・ドレフ
本研究は、多数の低機能ロボットが、例えば被災地域といった外乱の多い環境でも安定的に作業を実行するための機能とアルゴリズムを確立することで、高価な高機能ロボットに匹敵する機能を、安価な低機能ロボット群で実現するシステムの構築を目指すものです。
今回の共同研究課題の募集には11件の応募があり、これら応募課題について日本およびイスラエルの専門家が評価を行いました。その結果をもとにJSTとMOSTが慎重に審査・協議を行い、研究アプローチや独創性、チームの相乗効果や研究成果が与える影響などさまざまな観点から、両国が合意した3件を採択課題として決定しました(別紙2)。
研究実施期間は約3年間、JSTによる資金支援額は研究課題当たり、総額2,340万円(上限)を予定しています。