JST(理事長 濵口 道成)は、戦略的国際共同研究プログラム(SICORP)注1)「日本-スイス共同研究」において、スイス国立科学財団(SNSF)注2)と共同で「Research on Hydrogen as a renewable energy carrier:再生可能エネルギー媒体としての水素研究」分野に関する共同研究課題の募集および審査を行い、平成30年度新規課題として以下の3件を決定しました(別紙1)。
(1)「酸窒化物半導体-生物触媒を組み合わせた光触媒による太陽光による高効率水素製造」
日本:石原 達己 教授(九州大学 カーボンニュートラル・エネルギー国際研究所)スイス:トーマス・リパート 教授(ポールシェラー研究所 中性子・ミューオン研究部門)
本研究は、可視域まで広い光吸収を有する酸窒化物半導体とヒドロゲナーゼなど天然由来の生物触媒とレドックスメディエータを組み合わせた新概念触媒を創出し、太陽光より高効率に水素を製造できる触媒の開発を目指すものです。
(2)「再生可能エネルギー活用のための新規水素貯蔵合金の開発とその実用化を目指した設計指針の構築」
日本:佐藤 豊人 助教(東北大学 金属材料研究所)スイス:アンドレアス・ツッテル 教授(スイス連邦工科大学 ローザンヌ校)
本研究は、適度な条件下で水素吸蔵・放出を示し、高い水素密度が期待される新たなマグネシウム系水素貯蔵合金の開発とその実用化に向けた設計指針の構築を目指すものです。
(3)「光電気化学および太陽電池駆動水分解による水素燃料製造」
日本:杉山 正和 教授(東京大学 先端科学技術研究センター)スイス:マイケル・グレッツェル 教授(スイス連邦工科大学 ローザンヌ校)
本研究は、金属酸化物にIII-V族化合物半導体で培ったバンドエンジニアリング手法を応用した光電極の開発と、ペロブスカイトやIII-V族化合物半導体の多接合構造を応用した太陽電池駆動水電解システムを開発し、太陽光からの水素燃料製造の高効率・低コスト化を目指すものです。
今回の共同研究課題の募集では9件の応募があり、これら応募課題について日本人を含む評価委員が評価および審査を行いました(別紙2)。その結果をもとにJSTとSNSFが協議を行い、研究内容の優位性や共同研究の有効性などの観点から、両国がともに支援すべきと合意した3件を採択課題として決定しました。
研究実施期間は支援開始から約3年間です。JSTによる資金の額は、研究課題あたり総額1,800万円(上限、間接経費含む)を予定しています。