1)概要
統合化推進プログラム(以降、本プログラムという)は、研究データの統合的な活用を図るため、わが国の生命科学研究等によって産出された研究データを広く収集するデータベースを対象とし、より多くの多様な研究者にとってより価値のあるものへと発展させる研究開発を推進します。具体的には、研究データの収集・標準化・品質管理・公開・共有・安定運用に関する体制の構築や、他に開発されているデータベースとの連携・統合化とそれに必要な技術開発、研究効率化のためのインターフェース設計・開発、ツール開発などを含みます。これらの研究開発の実施に当たっては、データ提供者、データ利用者(学協会をはじめとした研究者コミュニティ、食品業界、製薬業界などの産業コミュニティなどを含む)との緊密な連携・協業を必須とします。
本プログラムの実施により、生命科学に関わる研究者が、目的とする科学的知見を容易に閲覧・参照できるのみならず、単独の研究からは得ることのできない関連分野の有用情報を発見し、また公開データを用いた大規模解析によって新たな知見を見いだすことが容易な情報基盤の確立を目指します。食糧、環境、エネルギー問題、健康、医療等にソリューションを提供する、科学技術イノベーションの創出の基盤として貢献することを期待します。
2)募集対象となる研究開発提案
以下「対象とするデータベース」の条件a)~i)を全て満たすデータベースについて、より多くの多様な研究者にとってより価値のあるものへと発展させる研究開発を対象とします。具体的には、研究データの収集・標準化・品質管理・公開・共有・安定運用に関する体制の構築や、他に開発されているデータベースとの連携・統合化とそれに必要な技術開発、研究効率化のためのインターフェース設計・開発、ツール開発などを含みます。これらの研究・開発の実施にあたっては、データ提供者、データ利用者(学協会をはじめとした研究者コミュニティ、食品業界、製薬業界などの産業コミュニティなどを含む)との緊密な連携・協業を必須とします。
ただし、「対象とするデータベース」の条件c)~i)については、応募時点で満たされていない場合でも、当初3年以内で全ての条件を満たすための研究開発を終了し、その後、前段落に記載した研究開発を実施するものであれば応募可能です。
なお、研究開発課題が研究開発を行うデータベース(主なデータベース)は基本的に1つとします。互いに独立して運用される2つ以上のデータベースを研究開発対象とすることはできません。ただし、主なデータベースに有機的に連携しているデータベースについては、主なデータベースの価値を直接的に高めるための最低限な維持・更新や研究開発を行うのであれば、研究開発対象とすることが可能です。
<対象とするデータベース>
- a)次のいずれかに該当するデータベース。
(1)生命科学分野のうち基盤的であって基礎・応用問わず多方面の研究開発への影響をもたらしうる研究分野(今年度は特にプロテオーム分野、メタボローム分野)のデータを対象とするデータベース
(2)目的指向性の高い(今年度は特に有用物質生産分野、育種分野に資する)データベース
(3)近年急進的に発展しつつある研究分野のデータを対象とするデータベース
- b)次のいずれかに該当するデータベースである。
・ 国際的に中核的な立場にある生命科学系データベース
・ 我が国として独自に整備すべき生命科学系データベース - c)搭載・公開する研究データは、原則として網羅性がある。搭載する範囲を限定する場合、限定する範囲がデータベースの目的に照らして適切である。
- d)研究データは、品質が明確な基準に基づいて検証され、必要に応じて標準化、改訂、増補などがなされた上で搭載・公開される。
- e)データの形式や構造、オントロジー、ID、メタデータ等は、生命科学分野や隣接分野のデータと連結されて統合的に利用されることを前提として開発され、また整備されている。また、NBDCとNBDCの共同研究機関が開発を進める統合化技術(※)と互換性を有する。
※研究データのRDF化については、「DBCLS RDF化ガイドライン」を参照。
DBCLS RDF化ガイドライン:
http://wiki.lifesciencedb.jp/mw/RDFizingDatabaseGuideline - f)データベースの利用許諾条件として、CC BY-SA、CC BY、またはCC 0を採用する。すなわち、利用者が了解を得ることなしに、営利目的も含め、データを改変した上で再配布すること等を可能とする。ただし、ヒト試料を用いた研究など等の成果として産生され、かつ倫理的な配慮を要するデータを取り扱う場合、前文の条件に関わらず、適切なアクセス制限のレベルを設定し、データの利用に先立ってその可否を審査する。
-
g)研究開発対象のデータベースの利用状況を測るための指標が、データベースを構築する目的に応じて適切に設定されており、今後さらなる利用の拡がりが期待できる。
指標の例:データ搭載対象とする主な研究分野の規模に比べた利用者数。利用者の研究分野などの多様性。目的とする研究分野における論文発表数、知的財産権の出願数、共同研究の実施数。 - h)関連する国内外の研究組織(研究機関、学会等)と密に連携して開発・運用がなされている。
- i)(主なデータベース以外のデータベースを開発対象とする場合)ファイル形式、オントロジー、ID、インターフェースなどについて相互に有機的な連携がなされている。
3)選考の観点
以下の5つの観点に基づき、選考を行います。
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a)提案内容はNBDCの方針およびプログラムの趣旨に合致しているか。
・ 提案内容は、より多くの多様な研究者にとってより価値のあるものへと発展させる研究開発か。
・ 提案内容の実施によって、わが国の生命科学の研究に科学技術イノベーションをもたらしうることが期待できるか。
・ 開発対象のデータベースは、応募時点で対象とするデータベースの条件a)~i)を全て満たしているか。c)~i)以外の条件を応募時点で満たしていない場合、現状と、研究開発の開始から3年以内に満たすための実施計画は具体的か。
・ 対象外となる研究開発内容を含んでいないか。 など
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b)ねらい・達成目標は適切か。
・ 達成目標は、実施計画の規模に見合うものであって、進捗を把握するために充分な具体性があるか(中間評価の対象となる課題については、中間評価時までの目標も含む)。 など
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c)実施計画は具体的かつ適切か。
・ 実施計画は、ねらいや目標を達成するために適切かつ具体的か。
・ データ提供者、利用者と緊密に連携・協業するための具体的かつ実現可能性のある計画がなされているか。
・ 予算計画は、研究開発計画の実施にあたって必要十分であって、費目ごと・目的ごとに適切に配分されているか。 など
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d)最適な実施体制、システム構成か。
・ 研究代表者は、研究開発課題全体の責務を担うことができるか。
・ 研究チームは、研究代表者となる研究開発提案者の研究開発構想を実現する上で最適な体制か。
・ 研究参加者に、データベースを構築・運用・公開、研究・開発した実績のある者が含まれるか。
・ データベースのシステム構成は、研究・開発の実施にあたって効率的か。 など
- e)期間終了後の将来展望は明確かつ適切か。
4)研究開発期間
最長5年(2018年4月1日~2023年3月31日)。
5)研究開発費の規模
1件あたり3,500万円程度/年以内。