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参考1

選考の観点

探索加速型・大規模プロジェクト型共通の選考基準(事前評価基準)

(1)探索加速型・大規模プロジェクト型共通の「選考基準(事前評価基準)」は、以下の通りです。探索加速型および大規模プロジェクト型の選考には、1~5の全ての項目を満たしていることが必要です。

1.目標は明確で概念実証(POC)を目指すものか

概念実証(POC)を明確に定義し、客観的に成否の判断が可能な体裁で目標(及びマイルストーン)が設定されているか。またその目標は重点公募テーマ・技術テーマの趣旨に則しているか。

2.ハイインパクトかどうか

上記1で定義された概念実証(POC)達成の必要性、すなわちこれまでにない社会・経済的インパクト及びそれに対する社会・産業のニーズ等がエビデンスに基づいて具体的に検証されているか。

3.挑戦的かつリスクが理解されているか

概念実証(POC)達成のためのボトルネック(技術的課題と難易度、社会実装にあたっての課題と難易度)が明確に認識され、かつ、達成に向けたリスクが的確に理解されているか。

4.研究開発計画・構想が妥当か

上記3のボトルネックの解決のための方法、すなわち研究開発計画※が妥当であるか。また、研究終了後のビジョン(ビジネスモデル等)を見据えた活動を計画しているか。

  • ※「大規模プロジェクト型」では産業界の参画が具体性をもって計画されていること。
  • ※ 研究開発代表者(PL/PM)の資質は、研究開発構想の一環として、探索加速型・大規模プロジェクト型の選考基準の補足に従って評価する。

5.研究開発代表者の資質・実績が妥当か

本項目については、次項の「選考基準の補足」をご確認ください。

(2)項目1「重点公募テーマ・技術テーマの趣旨」については、重点公募テーマ・技術テーマごとの独自の選考の観点・方針や運営の方針なども設定しました。

(3)研究費の「不合理な重複」ないし「過度の集中」にあたるかどうかも、選考の要素としました。

<探索加速型(探索研究)の選考基準の補足>

(1)共通の選考基準を踏まえた、探索加速型(探索研究)の選考基準は以下の通りです。

1.目標は明確で概念実証(POC)を目指すものか

  • 目指す概念実証(POC)が可能な範囲で明確に定義され、それは重点公募テーマの核心を捉えていること。
  • 概念実証(POC)の成否の判断が可能な体裁で、社会・産業上のチャレンジングな目標、及び技術的にチャレンジングな目標(及びマイルストーン)が可能な範囲で具体的に説明され、重点公募テーマの核心を捉えていること。

2.ハイインパクトかどうか

  • 提案する概念実証(POC)の達成に対する社会・経済的インパクトが大きい(実現すれば我が国の将来の社会・産業に革新をもたらす)ことや、社会・産業ニーズがあることが、エビデンスに基づいて具体的に検証されている、または検証するためのプロセスが検討されていること。

3.挑戦的かつリスクが理解されているか

  • 提案する概念実証(POC)を達成するためのボトルネック(技術的課題と難易度、社会実装にあたっての課題と難易度)が明確に説明されている、または検証するためのプロセスが検討されていること。
  • 目標設定は、ボトルネック(技術的課題と難易度)をクリアするに足るものであって、国内外の研究開発動向に鑑み挑戦的で高いものであること(研究開発成果が、社会や企業・投資家等に「驚きを持って迎えられる」ことが期待されること)。
  • 提案する概念実証(POC)の達成に向けたリスクが的確に認識され、達成の可能性が合理的に示さている、またはそれらを検証するためのプロセスが検討されていること。

4.研究開発計画・構想が妥当か

  • 提案する概念実証(POC)を達成するための研究開発計画(実施体制・予算・ステージゲートの設定等)が構想されていること。
    - 上記においては、少なくとも探索研究の達成目標及び達成のため計画(実施体制・予算等)が具体的かつ妥当であること
  • 計画や手法、道程等に独創的な内容が含まれること。
  • 研究成果の展開(POCの先のコストや時間等を含むビジネスモデル、企業への引き渡し等)を見据えた活動の計画が検討されていること。

(2)本格研究の採択については、探索研究の事後評価に基づき選考を行うことになります。

(3)探索加速型における研究開発代表者は、運営統括の下で研究開発を推進する役割を担います。また、研究開発代表者は、代表者の補佐等との連携、他者への研究開発代表者の交代、所属機関からの支援等を総合的に取り扱うことで研究開発課題全体のマネジメントを実施することが期待されます。このような探索加速型における研究開発代表者の役割・責任等に鑑み、同代表者の資質・実績については、大規模プロジェクト型の選考基準の補足における「5.PMの資質・実績が妥当か」を参考にして評価することとしました。

(4)本格研究への移行審査においては、研究開発機関における研究開発支援方策や体制等の整備が求められます。この準備・検討状況について、探索研究の選考においても参考としました。

<大規模プロジェクト型の選考基準の補足>

(1)共通の選考基準を踏まえた、大規模プロジェクト型の選考基準は以下の通りです。

1.目標は明確で概念実証(POC)を目指すものか

  • 概念実証(POC)を目指した目標(及びマイルストーン)設定が明確にされていること。
  • 目標達成時に、実用化が可能かどうかを見極められるよう、企業等の他者に概念実証(POC)を具体的に証明・提示する研究開発計画であること。

2.ハイインパクトかどうか

  • 概念実証(POC)後の展開につなげていくビジョンや、我が国の将来の社会・産業に革新をもたらすアウトカムが描けており、合理的なものであること。
  • 目標及び描くアウトカムが実現すれば我が国の将来の社会・産業に大きな革新をもたらす(ハイインパクトな)ものであること。
    - インパクトは、可能な限り、エビデンスに基づいて具体的に示されることが望ましい。

3.挑戦的かつリスクが理解されているか

  • 目標設定は、ボトルネック(技術的課題と難易度)をクリアするに足る、挑戦的で高いものであること(研究開発成果が、企業や投資家等に「驚きを持って迎えられる」ことが期待されるか)。
  • 目標達成に向けたリスクが的確に認識されていること。
  • リスクを踏まえた、目標達成の可能性が合理的に示されていること。

4.研究開発計画・構想が妥当か

  • 目標達成を目指した妥当な研究開発計画(研究開発体制及びステージゲートの設定を含む)であること。
  • 我が国のトップレベルの研究開発力及び知識を結集できること。また、優れた公開成果(論文等)も期待できること。
  • 概念実証(POC)後の展開につなげていくビジョンを基に、企業連携、ベンチャー起業または他事業への研究開発の継承及び研究開発を継続できる人材育成などの出口等につながる取組を計画していること。
  • 産業界の参画が具体性をもって計画されていること。

5.PMの資質・実績が妥当か

  • 卓越した構想力、知見、企画力及びマネジメント能力。
  • 技術テーマに関する専門的知見や理解力。国内外のニーズや研究開発動向の把握能力。
  • 幅広い技術や市場動向の俯瞰力。複眼的な視点での事業化構想力。
  • 研究者はもとより、関係者全てとの十分なコミュニケーション能力。目標達成に向けたリーダーシップ性。
  • 産学官の専門家とのネットワークと技術情報収集力。
  • ハイインパクトなイノベーションを成し遂げようとする意欲。
  • 自らの研究開発構想について、対外的にわかりやすく説明する力。