本新技術の背景、内容、効果は次の通りです。

(背景) 樹脂成形用金型の低コスト化と製作期間および成形サイクルの短縮化が求められています。

 従来の金型は、鋳物または鋼材ブロックを切削加工にて造形し製作するのが一般的です。鋳物の場合は鋳型製作に時間を要し、鋼材ブロックから削り出す場合は、加工に多くの時間とコストがかかるなどの問題があります。さらに、樹脂成形用金型としては、成形品を冷却するための「熱交換器」としての機能が成形サイクルに大きな影響を与えていますが、現状の金型では冷却水路形成の自由度が低く、成形サイクルの短縮化が困難です。

(内容) 冷却効果の高い銅板を積層し、形状部と冷却水路を一体とした成形用金型を製作しました。

 本新技術は、製品の三次元CADデータから金型構成および冷却水路等のデータを作成します。このデータを水平方向に薄切りにして薄板一枚ごとの大きさや形状を示すスライスデータを作成します。積層材には冷却効果の高い銅板を用い、スライスデータを基に冷却水路部、積層用ガイド穴をレーザにて加工した後、外周をシャーリング切断し、基準ピンにより位置精度を確保しながら積層します。銅板の結合には、各積層材の間にハンダ箔を挟み、真空加熱炉にて加熱・加圧して積層ブロックを形成し、形状部は機械加工により製作します。また、左右の金型の合わせ面は、強度と樹脂の喰いきりのため鋼材を積層します。これにより、冷却効果の高いブロー成形用金型が製作できました。

(効果) 金型製作および樹脂成形の生産性向上により成形コストの削減が図れます。

 本新技術による樹脂成形用金型では、金型製作期間の短縮、成形サイクル短縮による生産性の向上など成形費を含めた金型のトータルコストの削減が図れることから、自動車、電気機器用部品等の樹脂成形用金型への利用が期待できます。

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