JST(理事長:沖村憲樹)では、平成11年度より大学等の研究成果をベンチャービジネスにつなげていくための起業化に向けた研究開発を行うプレベンチャー事業を実施してきました。
この度、平成13年度より開始した研究開発課題「高性能組込マイクロプロセッサ」の研究開発チーム(リーダー:松本尚 情報・システム研究機構 助教授、サブリーダー:梅沢徹哉)は、プロセッサ内蔵キャッシュメモリを活用して周辺回路と効率良く協調動作する機構の開発に成功し、世界に先駆けて、ギガビットクラスのネットワークに対応する低価格高性能システムLSIの実現を可能にしました。研究開発チームは、開発成果を活用したシステムLSIの受託開発ならびにオリジナルシステムLSIの製造販売を事業目的にして、チームメンバーと協力支援者らの共同出資による大学発ベンチャー企業、株式会社 エス・オー・シー(取締役社長 梅澤 徹哉、本社:東京都台東区、資本金1000万円)を平成16年10月1日に設立しました。
このチームが開発した技術を使用することにより、高速ネットワークに接続されるエッジサーバ、ホームサーバ、ブロードバンドルータ、情報家電機器を、高価なネットワークプロセッサを使用すること無しに、低コストの製品として開発することが可能です。また、ギガビットネットワークの家庭への普及に伴って、高性能ブロードバンドルータや高性能情報家電機器は、一般ユーザの居間に設置される機会が増えます。従来技術ではこれらの機器の内部に電力消費の大きなLSIを複数使用する必要がありましたが、本システムLSIを利用することにより、低消費電力で冷却ファンの無い静かな機器を開発できます。
起業化初期の2~3年間では、主としてシステムLSIの受託開発業務によって年商3~5千万円程度が見通され、大量生産機器へのシステムLSIの採用がなされれば、回路の使用権料によって年商2~3億円規模までの成長が見込まれます。
今回の株式会社 エス・オー・シー設立により、当事業によって創設したベンチャー企業数は24社となりました。なお、本件についてのお問い合わせは、企業化開発事業本部 技術展開部 新規事業創出室(電話03-5214-0016)の斉藤 隆行までご連絡下さい。 |
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