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別紙1

国際科学技術共同研究推進事業(戦略的国際共同研究プログラム)
国際産学連携「日本-スウェーデン共同研究」平成28年度新規課題

  課題名
日本側研究代表者(所属) 日本側チーム 【学】
【産】
スウェーデン側研究代表者(所属) スウェーデン側チーム 【学】
【産】
<研究概要>
活力ある高齢社会の実現に向けた「国際連携型リビング・ラボ」の創設
秋山 弘子 特任教授
(東京大学 高齢社会総合研究機構)
【学】東京大学
【産】(株)三井住友銀行
マチルダ・サム 教授
(リナウス大学 デザイン学部)
【学】リナウス大学
【産】ヨハンベルクサイエンスパーク(株)
本研究は、活力ある高齢社会の実現に向けて、国際連携型リビング・ラボを自立的かつ実効的に創造、展開していくことを目的とする。 具体的には、日本側は鎌倉リビング・ラボ、スウェーデン側はスモーランドリビング・ラボが中心となり、高齢社会のためのイノベーション活動(共創活動)を行う。フェーズⅠでは双方の活動およびノウハウの統合化をはかり、国際連携型リビング・ラボの具体的な仕組みや環境(ICTプラットフォームなど)を双方で検証する。フェーズⅡでは、国際連携型リビング・ラボを本格的に展開し、国際的に対応できるリビング・ラボを構築する。 本共同研究を通じ、活力ある高齢社会の実現に向けた国際連携型リビング・ラボを構築し、日本とスウェーデンがアジアとヨーロッパの窓口となって高齢者市場を世界的に活性化することが期待される。
皮膚貼り付け型センサーによる高齢者健康状態の連続モニタリング
染谷 隆夫 教授
(東京大学 大学院工学研究科)
【学】東京大学 大学院
【産】NEC(株)
マグナス・バーグレン教授
(リンショーピング大学 理工学部)
【学】リンショーピング大学
【産】アッヴィ(株)ほか
本研究は、高齢者の健康状態を連続モニタリングできる独自のウェアラブルセンサーを低コストで製造する技術開発を行い、パッチ型センサーの有効性を高齢社会の実環境で実証することを目的とする。 具体的には、日本とスウェーデンで高齢者の健康状況を調査し、それぞれの国で最適なセンサーの形態を決定する。この仕様に基づき、日本側は体温、心電などを計測する物理センサーの開発と提供を行い、スウェーデン側はメタボリズム、水分補給などを計測する化学センサーの開発と提供を行う。それらのセンサープラットフォームを統合し、フェーズⅠでは被験者の協力を得た実験室レベルにおいて、フェーズⅡでは高齢社会の実環境において、開発したセンサープラットフォームの有効性と適用性を評価する。 本共同研究を通じ、日本とスウェーデンのセンシング技術と通信技術が融合し、健康状態のセンシングシステムが構築され、高齢者の生活の質(QOL)を高めることが期待される。
虚弱な高齢者の自立的な生活のための多用途グリッパーとビジョンシステムを備えたロボットの導入と普及
西條 美紀 教授
(東京工業大学 環境社会・理工学院)
【学】東京工業大学
【産】(株)リバネス
リンドバーグ・アンルィーズ マネージャー
(ベステック(株) 技術開発部)
【学】カールスタード大学
【産】ベステック(株)
本研究は、高齢者が自力で食事することを可能にし、かつ食事の栄養状態を評価するロボットを開発することを目的とする。 具体的には、フェーズⅠで日本側は、既存の食事介助ロボットの機能性の評価と多用途グリッパーを開発し、ユーザーのニーズに合わせた実働するモデル(プロトタイプ)を製作し、スウェーデン側はビジョンシステム(カメラなどによる画像処理システム)のユーザーテストを担当する。フェーズⅡでは静岡県掛川市などで実証試験を行い、開発したシステムに対するユーザーの受容性調査とそのフィードバックによる実機の開発を行う。 本共同研究を通じ、高齢者が自ら食事を摂り、かつ栄養管理を行うソリューションが普及し、高齢者の栄養状態を改善し、生活の質を高めることが期待される。
自立高齢者を増やすための革新的食品提供システム
松尾 浩一郎 教授
(藤田保健衛生大学 医学部)
【学】藤田保健衛生大学
【産】(株)フードケア
マッツ・スターディング 教授
(SPフードバイオサイエンス)
【学】SPフードバイオサイエンス
【産】フィンダス(株)
本研究は、高齢者が食思不振により、健康障害を起こしやすい状態(フレイルまたはプレフレイル)に陥ることを防ぐため、高齢者に向けた食品とその配送システムを開発することを目的とする。 具体的には、フェーズⅠにおいて、日本側は高齢者のニーズと要望に応じた噛み応えのある機能食品、噛みやすい機能食品を開発して高齢者の生理学的評価を行う。スウェーデン側は安全かつ快適に嚥下できる食品を開発し、高齢者の嗜好に適した味と香りを同定する。さらに適切なサイズのパッケージング、3Dプリンティング技術によっておいしく見える料理が提供できる仕組みを検討する。フェーズⅡでは、それらの食品パッケージを自宅に配送するシステムを評価する。 本共同研究を通じ、高齢者が自宅で機能的かつ栄養価の高い食品を摂取できるようになり、栄養改善や口腔機能の維持により要介護状態への移行を予防することが期待される。