科学技術振興機構報 第121号
平成16年10月29日
東京都千代田区四番町5−3
独立行政法人 科学技術振興機構
電話(03)5214-8404(総務部広報室)
URL http://www.jst.go.jp

プレベンチャー事業で「タンパク質の徐放性製剤」を開発

タンパク質徐放性製剤の研究及び
医薬品メーカーへの技術導出を業とする大学発ベンチャー企業設立

 独立行政法人 科学技術振興機構(理事長 沖村憲樹)では、平成11年度より大学等の研究成果をベンチャービジネスに結びつけていくための起業化に向けた研究開発を行うプレベンチャー事業を実施してきました。
 この度、平成13年度より開始した研究開発課題「タンパク質の徐放性製剤」の研究開発チーム(リーダー:藤井隆雄、サブリーダー:小川泰亮 聖マリアンナ医科大学難病治療研究センター 客員教授)のメンバーが出資して、ベンチャー企業 ガレニサーチ株式会社(代表取締役:小川泰亮、本社:川崎市、資本金:1150万円)を平成16年10月1日に設立しました。
 現在、薬理効果のあるタンパク質は数多く見出されており、今後もヒト遺伝子解明を通じて益々多くのタンパク質の発見が期待されていますが、一般にタンパク医薬品は不安定であり、注射しても比較的短時間で生体内から消失してしまうため、多くの場合、治療効果を得るには、連日の注射が必要になり、患者に対する身体的および医療費負担が大きく実用的とはいえません。
 本チームは、独立行政法人 物質・材料研究機構 生体材料研究センター(センター長 田中順三)にて見出された、生分解性を有する特殊な材料をベースにして、添加物などについて検討を進め、タンパク質徐放性製剤を開発し、内封するタンパク質としてヒト成長ホルモンを、2週間以上にわたり一定速度で放出し、かつ投与直後の初期過剰放出が充分抑制できることを、ラットおよびサルでの実験にて確認しました。ヒト成長ホルモンは現在小人症の子供たちに連日注射投与がなされており、本技術に基づく新規注射剤により、注射頻度を減らすことが可能となり患者のQOL向上に大きく貢献するものと期待されます。また、通常に比べて極く細い注射針で投与が可能なので、患者の痛み、恐怖心が軽減されます。
 同社では、まずは国内製剤市場600億円(全世界では2千数百億円)のヒト成長ホルモンについて、大手医薬品メーカーとの提携を当面の課題とします。さらに年間売上が数千億円に達するタンパク質医薬品も数多くあるので、第二弾、第三弾として他のタンパク質への適用についても検討を進め、幅広い医療分野で貢献していきたいと考えています。大手医薬品メーカーと提携することにより、研究活動を進めるに充分な一時金あるいはロイヤリティ収入を得ることができ、さらに研究規模を大きくした会社に成長させ、世の中に貢献していきたいと考えています。
 中期的には2008年頃に一時金の売上を約5億円以上とすることを目指しています。

 今回のガレニサーチ株式会社設立により、当事業によって設立したベンチャー企業数は23社となりました。
 なお、本件についてのお問い合わせは、企業化開発事業本部 技術展開部 新規事業創出室(電話03−5214−0016)の斉藤 隆行までご連絡下さい。
■企業概要
■成長ホルモン欠如ラットを用いた徐放剤の効果
■物質・材料研究機構にて見出された生分解性材料の電顕写真および拡大電顕写真
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