JSTトッププレス一覧科学技術振興機構報 第1189号 > 別紙1
別紙1

国際科学技術共同研究推進事業(戦略的国際共同研究プログラム)
「日本-中国共同研究」平成28年度新規課題採択 一覧

課題名 日本側
研究代表者
所属機関・役職 研究概要
中国側
研究代表者
下水からの高効率エネルギー回収を可能にする膜を用いた革新的下水処理技術の開発 木村 克輝 北海道大学 大学院工学研究科 准教授 本研究では、嫌気性メンブレンバイオリアクター(MBR)の最大の弱点となっている膜ファウリング問題を最新の分離膜使用と微生物状態の把握に基づいた適切な運転条件の設定により克服し、都市下水からのエネルギー回収を高効率で達成できる新たな水処理技術として提示する。日本側ではファウリング膜およびファウリング成分の詳細な分析を、中国側ではバイオリアクター内微生物群集構造解析および微生物懸濁液ろ過性の評価を行う。
シア・ホワン 清華大学 環境学院 教授
下水汚泥と食品廃棄物の共同処理による高度資源回収プロセスのための基盤技術開発とパイロット実証 宝田 恭之 群馬大学 大学院理工学府 教授 下水汚泥および食品廃棄物からのバイオチャー、バイオガス、バイオプラスチックの効率的生産のための基盤技術の確立と、パイロットプラントによるフィージビリティスタディを行う。中国側は、各要素技術の確立およびパイロットプラントによる実証を行う。日本側は、基礎的研究を通じて、各要素技術確立のための支援を行う。これらにより、都市湿潤バイオマスの効率的なリサイクルプロセスを確立する。
イン・ワン 中国科学院 都市環境研究所 教授
上水の安全性を確保するためのハイスル-プット性毒性評価システムの構築 中西 剛 岐阜薬科大学 薬学部 准教授 本研究は、中国と日本の主要都市における上水の品質を確保することを目的に、高感度でハイスループットな毒性評価システムの構築を目指す。主な研究内容は、内分泌かく乱作用を持つ化学物質の受容体蛋白質を用いたアフィニティーカラムの作製、未知化学物質の高感度分析を可能とする質量分析システムの開発、および生体における化学物質の影響を迅速かつ高感度で検討するためのイメージングシステムの構築である。これらの技術を統括し、最終的には中国と日本の大都市における上水のリスク評価を試みる。
ジエンイン・フー 北京大学 教授
先端発酵と精製技術を用いた生ごみの清潔処理によるバイオガス生成の実証研究 李 玉友 東北大学 工学研究科 教授 本研究は都市生ごみの清潔処理とバイオエネルギーの回収を目指した先端発酵技術とバイオガス精製技術を組合せた新しいシステムを開発する。日本側は(1)二相循環式先端発酵システムおよび(2)発酵微生物群集のデザインと制御に関する基礎的研究を行い、中国側は(3)新しい吸着材料の改良によるバイオガス精製ユニットの改良および(4)生ごみ処理の実証プラント試験を行う。これにより、生ごみの高効率的バイオガス生成システムを確立する。
ジュンフ・ジョウ 浙江大学 エネルギー工学院 教授
有害物質分解システムに向けた高性能紫外線レーザーダイオードの研究 天野 浩 名古屋大学 未来材料・システム研究所 未来エレクトロニクス集積研究センター 教授 本研究では、環境有害物質処理のニーズに応じて、高出力の紫外線レーザーダイオード(UV-LD)の要素技術の開発を行う。日本側は窒化アルミニウム基板(AlN)の高品質化およびUV-LDの作製を行い、中国側は物性評価、UV検知器の作製、素子の集積およびシステムの試作を行う。これにより、AlN基板作製技術、新規素子の製造、集積化を基盤技術として、それをICT監視システムとして結合した環境保全インフラに発展させる技術を確立する。
ユウホワイ・リウ 鄭州大学 産業技術研究所 情報工学科電子情報工学専攻 教授
非カーボン金属酸化物担体-二元金属ナノクラスター相互作用を利用した新しい燃料電池複合触媒 石原 顕光 横浜国立大学 先端科学高等研究院 特任教員(教授) 本研究では、固体高分子形燃料電池の本格普及を加速する電極触媒の開発を行う。日本側は触媒担体として非貴金属酸化物担体の開発を行う。中国側は触媒として構造制御された二元金属ナノクラスターの開発を行う。両者が共同で二元金属ナノクラスターと非貴金属酸化物の強い相互作用を発現する担持法を開発し、高活性かつ高耐久な新しい複合触媒を実現する。これにより2025年までに実用化に供する触媒合成技術を確立する。
ユアン・ワン 北京大学 化学・分子工程学院 教授
大型バス用燃料電池の水管理と低温起動性に関する研究 近久 武美 北海道大学 大学院工学研究院 教授 本研究は固体高分子形燃料電池内における水輸送および凍結現象を解明し、バス用燃料電池の水管理および低温起動技術の開発を目的とする。日本側は主に燃料電池内の水輸送・凍結現象の解明と適正なパージ手法の提案を行い、中国側は主に電池内の自己加熱技術と燃料電池設計用数値解析モデルの開発を行う。本研究により、鍵となる触媒層・ガス拡散層の最適構造が明らかとなるほか、日中の主要な研究者間の協調関係を築く。
ジエンボー・ジャン 清華大学 教授
スポンジシティ建設に向けた再生マテリアルを含むコンクリートの多様な利用技術の開発とその実践 野口 貴文 東京大学 大学院  大学院工学系研究科/建築学専攻 教授 本研究では、コンクリート廃棄物・産業副産物を再生利用した透水性コンクリート構造物に関する技術開発・指針作成・施策立案を行う。日本側は、廃棄物・産業副産物起源骨材の再生利用に関する技術・システム、およびスポンジシティ建設用再生コンクリートに関する技術・システムの開発を行う。中国側は、廃棄物・産業副産物の省エネ化・無公害化再生利用技術、および廃棄物・産業副産物起源骨材の製造技術の開発を行う。
ジエンジュアン・シャオ 同済大学 土木工程学院/建築工程系 教授
水素エネルギーを活用した都市における再生可能エネルギーの電力および熱としての有効利用 秋葉 悦男 九州大学 大学院工学研究院 教授 本研究では、二次エネルギーである水素を活用して都市へ再生可能エネルギーを導入するための技術開発を行う。日本側はエネルギー貯蔵媒体として現在注目される水素貯蔵材料の開発とそれを活用したシステムの検討を行う。中国側は水素を製造するための電気分解装置、水素貯蔵技術および利用技術として燃料電池の研究を行う。これにより、再生可能エネルギーを都市へ導入するための科学の裏付けを持つ最適技術を確立する。
ピン・チェン 中国科学院 大連化学物理研究所 教授
集光型太陽光システムとその排熱利用潜顕熱分離空調の研究開発 党 超鋲 東京大学 大学院新領域創成科学研究科 准教授 本研究は、高集光倍率太陽光発電システムとその排熱を利用する潜顕熱分離空調の研究開発を行う。
具体的には、日本側は小規模な高集光倍率太陽光発電システムと排熱利用デシカント空調の開発を行い、中国側は中規模な集光発電システムと排熱利用吸着冷凍機、蓄熱システムの開発および実証実験を行う。
本研究より、太陽エネルギーの高効率な有効利用と快適な住居空間の提供に向けた革新的なアプローチの確立が期待される。
ユヤン・ジャン 中国科学院 工程熱物理研究所 研究員