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別紙

ベルモント・フォーラムCRA(国際共同研究)
「気候予測可能性と地域間連関」新規課題 一覧

共同研究課題
()内は略称
海外研究代表者/所属・役職 共同研究課題概要
日本側研究代表者/所属・役職
季節~10年規模の地域間連関が気候予測の改善へ向けて持つ潜在的可能性
(InterDec)
ダニエラ・マテイ(コンソーシアム研究代表者) (ドイツ)マックス・プランク気象研究所 地球システム・海洋研究部門 研究員 ノエル・キーンリサイド (ノルウェー)ベルゲン大学 地球物理研究所 教授 トーベン・ケーニッグ (スウェーデン)スウェーデン気象・水文研究所 ロスビーセンター 研究リーダー フレデリック・ビタール (イギリス)欧州中期予報センター 主席研究員 タオ・ワン (中国)中国科学院大気物理研究所 ナンセン・朱研究センター 准教授) 最近注目されている10年規模の自然気候変動は、人為起源の地球温暖化に重畳し、温暖化の加速・減速をもたらすほか、社会的影響の大きい異常気象・気候変動の地域的な発現を左右する可能性があるものの、そのメカニズムや予測可能性には未解明な点が多い。本研究課題では、ユーラシアと4つの隣接海洋に焦点を当て、欧州・中国・日本の研究チームが相互補完的にこれら多様な変動を包括的に扱い、季節~経年変動の予測可能性にかかわる大気を通じた遠隔影響と、数年~10年規模変動とその多地域間連関をもたらす海洋変動の役割の解明へ向けた本質的理解を目指す。 こうして得られたユーラシア各地の異常気象・気候変動の予測精度向上に資する新知見は、各国の防災・減災対策や気候サービス産業、「フューチャー・アース」の活動に生かされることが期待される。
中村 尚 東京大学 先端科学技術研究センター 副所長/教授(ほかの日本側メンバー:浮田 甚郎 新潟大学 自然科学系 教授)
全球でみられるテレコネクションとその役割および階層的大気モデル群による再現
(GOTHAM)
レスリー・グレイ(コンソーシアム研究代表者) (イギリス)オックスフォード大学、国立大気科学センター 教授 ボー・ウー (中国)中国科学院大気物理学研究所 準研究員 フランソア・ロット (フランス)ラプラス研究所 ディム・カウマウ (ドイツ)ポツダム気候影響研究所 主任研究員 クリシュナン・ラガヴァン (インド)インド熱帯気象研究所 理事 世界中の極端気象現象は各地でランダムに生じるだけでなく、遠隔で生じる世界中のさまざまな現象と連関(テレコネクション)していると考えられている。一方で、こうした現象のメカニズムの理解は断片的であり、季節~10年規模予測は発展途上の課題となっている。本研究課題は、階層的大気モデル群や先進的な統計解析ツールなどを併用しつつ、特にアジアモンスーン地域を含む中心に、気候変動に対して脆弱な地域を対象にして、全球で生じているテレコネクションと対象地域の極端気象現象との関係の解析を実施することにより、季節~10年規模予測の改善に資する成果を得ることを目的とする。 熱帯対流圏と成層圏の相互作用とその予測可能性調査を担当する日本チームのほか、英、中、仏、独、印、あわせて6か国の研究チームが相互補完的に取り組むこと、さらに数値予報センターとの連携体制を築くことにより、研究成果のスムーズな実用化が期待されるとともに、世界各地の季節~10年規模予測の改善につながり、脆弱な地域の防災・減災や経済発展にも役立つことが期待される。
渡辺 真吾 海洋研究開発機構 シームレス環境予測研究分野 分野長