機構報第1153号：出資型新事業創出支援プログラム（ＳＵＣＣＥＳＳ）における株式会社ファンペップへの出資決定について

ＪＳＴ（理事長　濵口道成）は、出資型新事業創出支援プログラム（ＳＵＣＣＥＳＳ）において、株式会社ファンペップ（本社：東京都渋谷区、代表取締役社長　平井昭光、以下「ファンペップ社」という）からの第三者割当増資^注１）の引き受けを実施致しました。

ファンペップ社は、大阪大学大学院医学系研究科の機能性ペプチドに関する研究開発成果の実用化を目指すベンチャー企業で、平成２１年のＪＳＴ地域イノベーション創出総合支援事業・シーズ発掘支援における「新規抗菌性ペプチドを用いた創傷治癒剤の開発」（代表研究者：大阪大学　助教（当時）　中神啓徳）による研究開発成果の実用化を、現在の主たるパイプラインとしています。

具体的には、大阪大学大学院の基礎研究により同定された血管内皮細胞の増殖作用を有し、抗菌作用も示すペプチドAG30のアミノ酸配列を改変することでその機能を強化し、褥瘡や難治性皮膚潰瘍の治療薬とすることを目指しています。高齢化が進み、医療現場では創部の感染は重要な課題であるため、創傷治癒作用と抗菌作用を併せ持つユニークな特長を有する機能性ペプチドを医療現場へ活かすことが期待されます。

ＳＵＣＣＥＳＳでは今後も、ＪＳＴの研究開発成果を実用化しようとするイノベーティブなベンチャー企業に対して、成長資金の供給や関係機関のネットワークを活用したサポートを提供することにより、実用化を通じた先端技術の社会への還元を進めていきます。

ホームページＵＲＬ：https://www.jst.go.jp/entre/

平成２６年４月より、ＪＳＴでは「出資型新事業創出支援プログラム」（略称：ＳＵＣＣＥＳＳ　SUｐｐｏｒｔ　Pｒｏｇｒａｍ　ｏｆ　Ｃａｐｉｔａｌ　Ｃｏｎｔｒｉｂｕｔｉｏｎ　ｔｏ　Ｅａｒｌｙ－Ｓｔａｇｅ　CｏｍｐａｎｉｅS）を開始しました。本事業は、ＪＳＴの研究開発成果の実用化を目指すベンチャー企業に対しＪＳＴが出資並びに人的及び技術的援助を行うことでその創出及び成長を促進し、当該ベンチャー企業が行う事業活動を通じてＪＳＴの研究開発成果の実用化・社会還元を促進することを目的とした事業です。出資を通じてＪＳＴがベンチャー企業の株主になることで、民間の資金を誘引する「呼び水効果」を狙っています。

＜企業概要＞

企業名	株式会社ファンペップ
設立日	平成25年10月11日
本社所在地	東京都渋谷区
代表取締役	平井昭光
事業内容	ペプチド医薬品、医療機器等の開発、製造及び販売

＜事業展開＞

同社は大阪大学大学院医学系研究科での研究開発の成果として創出された機能性ペプチドの実用化を行う大学発バイオベンチャーです。医薬品のみならず、化粧品から医療機器等まで、広範な分野への事業展開を計画しています。

■ 現在開発中のパイプラインについて

大阪大学大学院医学系研究科は、大阪大学大学院での基礎研究により同定した血管内皮細胞の増殖作用を有する抗菌ペプチド（AG30）のアミノ酸配列を改変することでその機能を強化し、AG30/5Cを創出しました。さらに大阪大学大学院を含む研究グループにて、最適化検討を行い、SR-0379を開発化合物とし、ファンペップ社はこれを、褥瘡を含む難治性皮膚潰瘍の治療薬とすべく、塩野義製薬株式会社と共に実用化に取り組んでいます。高齢化が進み、医療現場では創部の感染は重要な課題であるため、創傷治癒作用と抗菌作用を併せ持つユニークな特長を有する機能性ペプチドを医療現場へ活かすことが期待されます。