JST(理事長 濵口 道成)は、国際科学技術共同研究推進事業(戦略的国際共同研究プログラム:SICORP)注1)「日本-フランス共同研究」において、フランス国立研究機構(ANR)注2) と共同で「分子技術」分野に関する共同研究課題の募集および審査を行い、平成27年度新規課題として以下の4件を決定しました(別紙1)。
(1)「分子集積場によるキラルハイブリッドナノ構造体を用いた光学活性ソフト材料の開発」
(研究代表者:熊本大学 大学院自然科学研究科 教授 伊原 博隆、フランス国立科学研究センター 膜およびナノ構造体に関する化学生物研究所 研究部長 レイコ・オダ)本研究は、低分子の集積・配向により形成されるらせん状会合体の増幅キラリティを活用し、円偏光発光現象を中心とした、次世代光シグナルを高効率かつチューナブルに発生する光学材料の開発を目指すものです。
(2)「配列制御高分子による革新材料の創出」
(研究代表者:京都大学 大学院工学研究科 准教授 大内 誠、フランス国立科学研究センター ソフトマター化学研究室 研究ディレクター フランソワ・トゥーニヤック)本共同研究は、配列が制御されたセグメントを精密に高分子鎖に導入し、高分子鎖の自己組織化構造や結晶構造を制御することで、従来の高分子材料を凌駕する革新材料の創出を目指すものです。
(3)「触媒のための新規2次元および3次元メソスケール構造形成に向けた分子制御ハイブリッドナノビルディングブロックの自己集合」
(研究代表者:早稲田大学 理工学術院 教授 黒田 一幸、モンペリエ国立高等化学学校 シャルル・ジェラール研究所 CNRS主任研究員 ミシェル・ウォン・チ・マン)本研究は、シロキサン(Si-O-Si)骨格からなるナノビルディングブロックの分子設計と集積により分子レベルで精緻に設計されたハイブリッドナノ構造体を合成し、高機能触媒、高選択性分離膜、薬剤キャリアなどへの応用を目指すものです。
(4)「分子設計に基づく生体適応型高耐久性3次元グルコースバイオ燃料電池の創出」
(研究代表者:岡山大学 異分野融合先端研究コア 准教授 仁科 勇太、ジョセフ・フーリエ大学 グルノーブル分子化学科 研究員 ミッシェル・ホルジンジャー)本研究は、バイオ燃料電池の電極を分子レベルでデザインすることで、高い生体適用性と長寿命性を目指すものです。
今回の共同研究課題の募集には24件の応募があり、これら応募課題について日本およびフランスの専門家が評価を行いました(別紙2)。その結果をもとにJSTとANRが慎重に審査・協議を行い、研究アプローチや独創性、チームの相乗効果や研究成果が与える影響などさまざまな観点から、両国がともに支援すべきと合意した4件を支援課題として決定しました。
研究期間は支援開始から3年間を予定しています。