山元 公寿 (ヤマモト キミヒサ)53歳
(東京工業大学 資源化学研究所 教授)
昭和60年 | 早稲田大学 理工学部応用化学科 卒業 |
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平成 元年 | 早稲田大学 理工学部 助手 |
平成 2年 | 早稲田大学 大学院理工学研究科 博士課程修了、工学博士 |
平成 4年 | 早稲田大学 理工学総合研究センター 助教授 |
平成 9年 | 慶應義塾大学 理工学部 助教授 |
平成14年 | 慶應義塾大学 理工学部 教授 |
平成22年 | 東京工業大学 資源化学研究所 教授(現職) |
平成 8年 | 日本化学会 進歩賞 |
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平成17年 | 高分子学会 Wiley賞 |
平成20年 | 日本化学会 学術賞 |
平成24年 | 文部科学大臣賞 科学技術分野 科学技術賞(研究部門) |
平成26年 | Distinguished Award 2014 for Novel Materials and Synthesis by IUPAC & NMS |
アトムハイブリッド
二次元機能性原子・分子薄膜による革新的部素材・デバイスの創製と応用展開
ナノ粒子は、極めて重要な素材として工業的に幅広く利用されており、現在も世界的に激しい研究開発競争が繰り広げられています。さらに近年、ナノ粒子よりも小さいサブナノサイズの粒子には、構成元素の原子数や配合比を精密に制御することで原子数ごとに特性が大きく変化して、元来の構成元素とは全く異なる特性を持つ物質、いわゆる「超原子」となることが期待され、新たな関心を集めています。しかし、周期表の中には金属元素が90種類以上存在し、組み合わせは無限にあるにも関わらず、異種金属原子の原子数を決めて集積・配合したり、さらには、有機合成のように自由度高く分子を組み立てたりする方法はいまだ実現されていません。種類豊富な金属元素を原料に、原子単位で精密にハイブリッドする方法こそが、全く知られていない新物質の誕生につながります。
このような背景のもと、本研究領域では、研究総括がこれまで世界に先駆けて独自に開発してきた精密に金属を集積する手法をさらに発展させ、未開拓の物質群であるサブナノサイズで原子数の制御されたサブナノ金属粒子および、異なる複数の元素を原子単位で精密に配合したサブナノヘテロ金属粒子を創製し、新しい次世代機能材料を生み出すことを目指します。
具体的には、ポテンシャル勾配を持つ高分子構造体を利用し、同一もしくは異種の元素を原子数単位で精密に配合したサブナノ粒子の合成法(アトムハイブリッド法)を確立することで、「超原子」の創製に挑戦します。さらに、この方法により誕生した新規サブナノ粒子の化学・電磁特性などを解明し、革新的な次世代機能を追求します。
本研究領域を通じて創製されたサブナノ粒子の特性と原子数や元素種との相関を解明し、新物質群の位置付けを明確にすることで、未来化学の礎となるサイエンスの創出に資する新しい次世代マテリアルライブラリーの作成に挑みます。また、ナノ粒子が多くの分野で基幹材料として利用されている現状から、本研究領域で誕生する新物質のサブナノ粒子は波及範囲も極めて広く、次世代ナノテク材料・プロセシングに大きなインパクトを与えて飛躍的な拡大と進化をもたらすと期待されます。