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参考

先端的低炭素化技術開発(ALCA)の概要

1.ALCAの目的

温室効果ガスの排出量削減を中長期にわたって継続的かつ着実に進めていくために、文部科学省が策定する研究開発戦略の下、新たな科学的・技術的知見に基づいて温室効果ガス排出量削減に大きな可能性を有する技術を創出するための研究開発を推進し、グリーン・イノベーションの創出につながる研究開発成果を得ることを目的とする。

2.ALCAの概要

今後(中長期:2030年~2050年)温室効果ガスの排出量を大幅に削減し、明るく豊かな低炭素社会の実現に大きく貢献する先進的技術を創出するための挑戦的な研究開発を推進する。

将来の見通しが明確な技術の展開ではなく、新たに構築されるべき体系的な学理(サイエンス)に裏付けされた新原理探究とその応用などのチャレンジな研究開発による、ブレークスルーの実現や既存の概念を大転換する『ゲームチェンジング・テクノロジー』の創出を目指す。

JSTは、本事業運営の責任者である事業統括(PD)および研究開発課題の進捗管理責任者である運営総括(PO)を配置し、円滑かつ効率的な事業運営の推進に努める。

事業の実施にあたっては、事業統括(PD)が委員長を務め、運営総括(PO)および外部の有識者・専門家が委員を務める先端的低炭素化技術開発事業推進委員会(以下、「推進委員会」)で、公募の対象となる技術領域の設定や採択候補課題の選考、研究開発課題の予算の全体調整など、事業の推進に必要となる事項について審議、決定する。

3.ALCAのマネージメントの特徴

① ゲームチェンジング・テクノロジーの創出

低炭素社会を実現するための全く新しい概念や科学に基づいた革新的な技術の創出を 目指します。ALCAでは従来の化石燃料に基づいたゲームを変革するという期待を込めてこの革新的技術を『ゲームチェンジング・テクノロジー』と呼ぶ。『ゲームチェンジング・テクノロジー』の創出によって温室効果ガス排出量の大幅な削減に貢献するという強い意識の下、ALCAは運営されている。

② ステージゲート評価による選択と集中

ALCAはゲームチェンジングな挑戦的課題を積極的に採択するが、ALCA研究期間中に“ステージゲート評価”を行い、研究開発の継続/中止について厳密な評価が行われる。サイエンスとしての観点のみならず、ALCAの趣旨である「低炭素社会への貢献可能性」という観点からも評価されます。採択時には比較的少額の課題を多数採択し(スモールスタート)、ステージゲート評価を経て通過した課題は重点化によって研究規模が拡大することになります。革新技術領域では、当初5ヵ年度のALCAステージゲートを通過し、さらに後半5ヵ年度に向けたステージゲートをさらに通過した課題は研究規模を拡大した形で後半5ヵ年度のALCA研究を推進することとなる(ただし、特別重点技術領域「ホワイトバイオテクノロジーによる次世代化成品創出」は5ヵ年度プロジェクト)。このようなステージゲート評価による選択と集中によって、2030年の社会実装に向けた研究開発の加速を図る。なお、集中を行う一方で新規課題の採択も並行して行うことでALCA課題の新陳代謝も促進する。