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参考1

平成27年度 募集の概要

1.事業の目的

戦略的創造研究推進事業(社会技術研究開発)は、社会の具体的な問題の解決を通して、社会的・公共的価値の創出を目指す事業です。社会問題の解決に取り組む関与者と研究者が協働するためのネットワークを構築し、競争的環境下で自然科学と人文・社会科学の知識を活用した研究開発を推進して、現実社会の具体的な問題解決に資する成果を得るとともに、得られた成果の社会への活用・展開を図ります。

2.研究開発領域・プログラムの概要

① 「持続可能な多世代共創社会のデザイン」の概要

近年、日本は人口減少、少子高齢化、エネルギー問題、経済の停滞と財政赤字など厳しい状況に直面しており、これに加え、地球規模の気候変動などに伴う環境面の課題についても対応がせまられています。特に都市・地域では、高度成長期に増加した人口が高齢化の急激な進展と少子化により減少に転じた結果、人口・社会構造が大きく変化してきています。経済、インフラなどの機能の維持や都市・地域に暮らす人々の生活水準、生活の質を含めた持続可能性が今後ますます重要な課題となることが予想され、社会全体として複合的、多元的な課題の解決が必要とされています。これと同時に、特に2011年3月の東日本大震災以降、物質的・量的豊かさだけではなく、人々の多様性や創造性を認め、人や自然とのつながりや助け合い、絆といった心の豊かさや、環境や文化・伝統的価値の保全・再生などに新たな価値を見出す流れが強くなっています。

また、国連などにおける持続可能な発展の議論においては、環境の持続可能性を基盤とした社会と経済の持続可能性の各側面をバランス良く統合する一貫したアプローチの重要性が強調され、well−being(個人の豊かさ、生活の質、福祉など)の視点が注目されています。OECD(経済協力開発機構)の社会発展政策においてもポスト成長期の社会目標としてwell−beingが打ち出されており、国際的にも目指すべき成熟社会の在り方が提示されています。

成熟社会へと移行しつつある日本においても都市・地域の持続可能性を考える際に、このような視点を考慮した取り組みが必要といえます。今後予想される社会的な課題を見据え、多世代・多様な人々のwell−beingを実現し、都市・地域社会を環境、社会、経済などの多面的な側面から持続可能とする、先見性のある取り組みが求められています。

そこで本領域では、子供から高齢者まで多世代・多様な人々が活躍するとともに、将来世代も見据えた都市・地域を、世代を超えて共にデザインしていく研究開発を推進します。RISTEXがこれまで取り組んできた複数分野の知見や、多様なステークホルダーとの協働による研究開発を進めるためのノウハウを活かしてマネジメントを実施します。

② 「研究開発成果実装支援プログラム」

研究開発成果実装支援プログラムは社会技術研究開発センターに固有のプログラムです。研究の成果が実用化され定着するまでには研究・開発・実証・普及の4段階があります。産業のための研究開発では成果による便益があると考えられれば、個別の企業がリスクを負担して研究から普及までのすべての段階を一貫して実行します。

一方、社会のための研究開発は実現すれば極めて効果的であると思われるものであっても、研究開発の段階に留まっています。その理由は研究開発の成果が社会に便益をもたらすかを実証するリスクを誰が負担するかが不明確だからです。そのため研究開発の成果は実用化されることなく知の倉庫で眠り続け、いつしか忘れ去られてしまうものが少なくないのです。

実証・普及は受益者の負担であるという考えから一歩踏み出し、実証段階を支援することによって研究開発から実用化までをシームレスにつなぎ、研究開発の成果をできるだけ早く社会に届ける装置として考え出されたものが研究開発成果実装支援プログラムです。