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別紙1

戦略的創造研究推進事業 ACCEL
平成27年度第1期新規課題 概要

【研究開発課題1】

課題名:「近接場結合集積技術による革新的情報処理システムの実現と応用展開」
研究代表者: 黒田 忠広(慶應義塾大学 教授)
プログラムマネージャー : 河村 誠一郎

戦略的創造研究推進事業 チーム型研究(CREST)では、磁界結合を用いたチップ間無線通信技術である「ThruChip Interface(TCI)」と、電磁界結合を用いた非接触コネクタ技術である「Transmission Line Coupler(TLC)」を独自に開発し、従来技術では果たせなかったデータ転送の1/1000低電力化とモジュール間無線実装に成功しました。

ACCELでは、TCIを用いてシステムLSIとメモリLSIを3次元に積層し、TLCを用いてストレージやセンサーの周辺モジュールを無線接続することで、省電力で高性能なデータ処理を実現する革新的な情報処理集積システムの研究開発とその応用展開を目指します。

PMとして、本技術および周辺技術に対する広範な知見と、産学官のさまざまな機関との連携とマネジメント経験を持つ河村 誠一郎氏を配置し、技術的成立性の証明・提示(POC)を目指した出口指向の戦略的な研究マネジメントを推進します。

<目指すビジョンの図>

図1

【研究開発課題2】

課題名:「元素間融合を基軸とする物質開発と応用展開」
研究代表者: 北川 宏(京都大学 教授)
プログラムマネージャー : 岡部 晃博

戦略的創造研究推進事業 チーム型研究(CREST)では、状態密度注1)の制御によって合金材料を設計する「状態密度エンジニアリング」という新しい概念を打ち出し、バルク状態では相分離して混ざり合わない金属の組合せを独自のプロセスで固溶化注2)することで、新規ナノ合金材料を開発することに成功しました。また、固溶化することによって元の物質にはない、あるいは元の物質を上回る特性を発現することも見いだしています。

ACCELでは、物性を理論予測することによりこの新概念での構造設計の確度を高め、望ましい物性の新規ナノ合金材料を創出できることを実証します。また、これら新規ナノ合金材料の量産化技術を確立し、試作サンプルを提供することで企業との協業に導くことを目指します。

PMとして、触媒の研究者として企業での研究開発に従事され、現在も開発責任者を務めるとともに、産学プロジェクトでの経験が豊富な岡部 晃博氏を配置し、技術的成立性の証明・提示(POC)を目指した出口指向の戦略的な研究マネジメントを推進します。

注1)状態密度
あるエネルギー範囲に存在している、電子が入ることができるエネルギー準位の密度。全ての物質は構成元素や構造に由来する固有の状態密度を持ち、各エネルギー準位に入ることができる電子の数が決まっている。
注2)固溶化
2種類以上の元素が互いに無秩序に混じり合い、全体が原子レベルで均一な状態の固相となること。

<目指すビジョンの図>

図4