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別紙

ネパール地震関連「国際緊急共同研究・調査支援プログラム
(J−RAPID)」採択課題一覧

研究交流課題 日本側
研究代表者
所属・役職 研究交流課題概要
ネパール側
研究代表者
余震及び微動観測によるカトマンズ盆地の地震動被害メカニズムの解明 纐纈 一起 東京大学
地震研究所 教授
本研究は、カトマンズ盆地において余震観測および微動観測を行うとともに大被害地域での建物被害を調査して、地震動と建物被害の関係性を明らかにし、地震動被害メカニズムを解明することを目的とする。 具体的には、1)地震動および常時微動の観測データとネパール側から提供される地質情報によるカトマンズ盆地の構造モデルの構築、2)モデルによるネパール地震の本震時の地震動の特性の再現、3)建物被害調査に基づいた地震動と建物被害の関係性の解明、4)これらを総合してカトマンズ盆地の地震動被害メカニズムの考察、を行う。 本研究で明らかにされる地震動被害メカニズムは、カトマンズ盆地における将来の地震災害に備えるためのリスク評価の精度を格段に高めることが期待される。
ソマ ナト サプコタ ネパール産業省
鉱山地質局 副局長
小型UAVを用いた2015年4月ネパール地震の被害マッピング 井上 公 防災科学技術研究所 総括主任研究員 本研究は、ネパール地震によるカトマンズ盆地および周辺山地における建物などの被害を、小型固定翼UAV(Unmanned Aerial Vehicle:無人航空機)を用いて系統的・広域・詳細にマッピングし、1)国および地方行政機関による被害の評価と、復興のためのリスク評価と都市計画への活用、2)より詳細な建物被害分布の分析、3)衛星写真とUAVによる迅速な災害把握手法の高度化、を行うことを目的とする。 調査は国・地方の行政機関の事業の一環として、UAVの飛行許可を得て実施し、日本側はUAVの運用およびマッピング技術をネパール側に提供・移転し、得られたデータを共有して研究に活用するという形態をとる。 本研究により、1)国および地方の行政機関へのデータの提供による被害評価、および復興計画策定のためのリスク評価・土地利用計画への反映、2)建物被害分布と地形・地盤などとの関連性および被害原因の究明、3)衛星画像による即時被害推定手法の検定と改良、4)山岳地・建物密集地におけるUAV運用技術の改良と移転、5)UAV運用と3Dモデリング技術の移転による即時被害把握能力の向上、などが期待できる。
ラメッシュ グラガイン ネパール地震工学協会 (NSET) 副理事長
ネパール大地震による山地斜面災害の現状把握と復興計画策定のための斜面災害評価図の作成 千木良 雅弘 京都大学
防災研究所 教授
本研究は、1)ネパール地震による地すべり(崩壊を含む)、亀裂、および天然ダムの形成について分布の実態を明らかにし、その原因を考察すること、2)斜面の地表変位の範囲と量を検出し、地質・地形・地下水条件の調査と評価に基づいて今後の斜面災害危険個所を抽出すること、を目的とする。 具体的には、1)デジタル3D地形データなどによる地すべり、亀裂、天然ダムの抽出、2)SAR(合成開口レーダー)画像解析データと現地調査による完全な崩壊に到らなかった地表変位の範囲と量の検出・図示、3)総合地球環境学研究所の降水データベース(APHRODITE)を用いた地震前の降水量分布の推定、4)主要地すべり地、不安定斜面、天然ダムの調査、地質、地形的、および先行降水量の面からの斜面変状の分布の分析、5)地質・地形的特徴による準定量評価、FEM(有限要素法)による地震応答解析、を行う。 本研究により、ネパール地震による斜面変状の性状や分布の実態が明らかになり、今後の斜面災害の危険個所が抽出されるとともに、得られた知見は地震時地すべりの発生場予測の方法論構築に反映される。また、ネパール行政機関などによる集落移転適地検討や道路防災対策計画などへの反映も期待される。
ビシュヌ ダンゴル トリブバン大学
地質学部 教授
ネパール・ランタン谷における雪氷土砂災害の調査 藤田 耕史 名古屋大学
環境学研究科 准教授
ネパール地震に伴う雪氷混じりの土石流によって、カトマンズ北方にあるランタン村がほぼ壊滅する事態となった。本研究は、現地調査によって雪崩の発生源の特定と崩壊量、流下経路、堆積範囲を推定し、これらの情報を元にした雪崩の数値シミュレーションを行うことで、流域のハザードマップを作成し、村の復興に資する資料を提供することを目的とする。 具体的には、震災前、震災直後のデジタル標高データ(DEM)を作成し、これにUAVを用いた現地調査によるモンスーン後のDEMを加え、発生源の特定と、雪氷量と土石量の堆積分布を明らかにする。並行して雪崩シミュレーションを行い、雪氷土砂の堆積範囲や堆積量などで検証をした上で、流域の雪崩ハザードマップを作成する。 本研究によって、ランタン村に雪崩ハザードマップが提供されるだけではなく、雪崩ハザードマップを作成するために必要な一連の手法が確立されネパール側へ技術移転することで、ランタン谷以外においても同様のハザードマップを作成することが可能となる。
リジャン バクタ カヤスタ カトマンズ大学
理学部 准教授
ネパール大地震による農山村地域の被災状況に関する実地調査とGISデータベースの作成 三原 真智人 東京農業大学
地域環境科学部 教授
本研究は、現地調査などでGISデータベース(地形図、居住図、地質図、土壌図データなど)を作成し、1)住居や建造物に加え農地農業用施設の被害状況を把握・分析し、2)災害リスクを考慮した土地利用分類を行い、3)災害へのレジリエンスの高い再定住地をネパール政府に提案するとともに、4)持続可能な農村土地利用方式を提言すること、を目的とする。 具体的には、被災した農村域の現地調査による被害状況を把握・分析するとともに、ネパール各省庁から提供されるGISデータに加え、リモートセンシングに基づき高分解能な数値標高モデル(DEM)を作成し、新規のGISデータベースを構築する。これらに基づき災害リスクを考慮した上で居住地、森林域、保全区域、湿地などに土地利用分類を進める。 本研究により、避難住民の再定住地と持続可能な農村土地利用方式がネパール政府に提言され、今後の災害による二次、三次被害リスクが軽減または回避されることが期待される。
ビム プラサド シュレスサ カトマンズ大学
工学部 教授