(資料4)

新規採択研究代表者・個人研究者および研究課題概要


個人型研究(さきがけタイプ)
戦略目標 「医療・情報産業における原子・分子レベルの現象に基づく精密製品設計・高度治療実現のための次世代統合シミュレーション技術の確立」
研究領域 : 「シミュレーション技術の革新と実用化基盤の構築」
研究総括 : 土居 範久(中央大学理工学部 教授)
氏名 所属機関 所属学部・
学科など
役職 研究課題名 研究課題概要
有田 正規 東京大学 大学院新領域創成科学研究科 助教授 分子スケール差を統合する代謝シミュレーション 本研究ではアミノ酸のような低分子化合物から、脂質、糖鎖、植物の二次代謝物などの中-高分子化合物まで、シームレスに代謝の流れを追跡できる電子代謝マップを作成します。本研究により、分子サイズの階層的なスケールの違いを一貫して取り扱える生体シミュレーションの基盤が構築され、次期バイオインフォマティクスの中核技術となることが期待できます。
大武 美保子 東京大学 大学院情報理工学系研究科 特任助手 神経系の双方向マルチスケールシミュレータの開発 急速に高齢化が進むわが国において、運動障害をもたらす神経疾患の診断、治療、および予防に役立つ技術の開発が急務となっています。本研究では全身のマクロな運動出力と神経系のミクロな内部状態を双方向に計算するシミュレータを開発します。本シミュレータでは解剖学や生理学の知見に基づいて、分子・細胞・組織・個体の4階層を有する詳細な神経系モデルを構築し、異なる階層における計算を並列に行います。その結果、薬物や運動など、様々な入力による神経系の内部状態変化、および運動出力の予測が可能になります。本研究は、運動神経疾患の診断、薬物や運動による治療への応用が期待できます。
手塚 建一 岐阜大学 大学院医学研究科 助教授 骨リモデリングシミュレーションで挑むテーラーメイド再生医療 骨は、造血、免疫、血中カルシウム濃度を維持しながら、力学的負荷に耐えるという重要な機能を持ちます。本研究は、骨の疾患によって変形した骨内部の力学状態と、異常な細胞の働きをコンピュータで再現し、患部を適切に治療する戦略を計算によって求める方法を探ります。シミュレーションをもとに設計した人工骨上で、間葉系幹細胞と造血幹細胞を培養する方法を開発し、骨再生医療の新しい方向性を見いだすことを目指します。
星野 忠次 千葉大学 大学院薬学研究院 助教授 計算機による特異的抗体設計法の確立 生体内では、外来の物質(抗原)に対し、これに適合し結合する分子(抗体)が選択されて免疫機能が発揮されます。つまり適合する抗体分子を選び出す仕組みが、生体内には存在しています。本研究では、コンピューターを駆使して人為的に適合分子を決定します。この計算技術の実現により、特定の疾患を抗体作用により治療する場合に、適切な抗体を確実に設計し産出できるようになります。特に癌治療に有効な極めて特異性の高い抗体の創製に役立つ技術として期待できます。
前園 涼 (独)物質・材料研究機構 計算材料科学研究センター 研究員 遷移金属イオンを含む生化学分子の電子論的精密計算 並列高速計算を使用した第一原理量子モンテカルロ法は、極微のエネルギーで駆動する生化学反応を解明するための高精度な電子シミュレーションとして期待される手法です。本研究では未整備基盤となっている遷移金属列元素芯の模型ポテンシャルの生成や改良を行うことで、ヘモグロビン、クロロフィル、ビタミンBなど遷移金属イオンを含む興味深い生化学活性物質群の高精度シミュレーションを可能とする基盤の構築を目指します。
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This page updated on September 21, 2004

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