別紙 2

委託開発事業の採択課題の内容

課 題 名 半導体レーザー高感度ガス分析装置
新技術の代表研究者 東海大学 理学部 教授 山口 滋
委 託 企 業 東京窯業株式会社
新技術の内容:
 本技術は、オンサイト・オンタイムで環境ガスの定量分析を可能とする高感度ガス分析装置に関するものである。従来のガス分析手法は、測定対象のガスを採取した後、濃縮などの前処理を施す必要があり、測定結果を得るまでに数時間あるいは数日を必要とした。また、装置が大型であり、オンサイトでの計測は困難であった。
 本技術では、低出力の可視光型半導体レーザーと2枚の鏡で構成する外部複合共振器との組合せにより高輝度のレーザー光を作り、それを被検ガスに照射することで得られる散乱光を計測し定量分析を行う。大きな電源ユニットを必要としない低出力レーザーの採用や単純な光学機器構成により、装置の小型・軽量化が達成できる。
 本技術によるガス分析装置は、可搬型でありかつ連続測定を可能とする特徴を有していることから、各種環境アセスメントへの広範な利用が期待できる。
課 題 名 歯科インプラント手術用骨上ステント
新技術の代表研究者 大阪大学 大学院 歯学研究科 助教授 荘村 泰治
委 託 企 業 和田精密歯研株式会社
新技術の内容:
 本技術は、歯科インプラント手術時に顎骨上に固定し、骨穿孔用ドリルを最適な穿孔位置に導くためのステントに関するものである。顎部の3次元コンピューター断層撮影データに基づき、触力覚感知デバイスを用いて骨密度や人工歯根植立後の顎骨強度を考慮して決定した穿孔位置にドリルをガイドするように設計し、溶融積層法等により迅速に成型する。従来のステントは、歯肉形状に基づいて作製されるため、歯肉を剥いで顎骨上に固定する際にずれが生じ不安定になり、骨穿孔の位置精度に限界があった。
 本技術では、神経管や顎骨の立体的形状と位置を認識し、さらに患者の顎骨形状にフィットするステントが製造できるので、最適な位置に精度よく穿孔することが可能となる。
 本技術による骨上ステントおよび歯科インプラント手術シミュレーションは、歯科インプラント手術の安全性を向上させるとともに、教育用、および患者への説明用の支援ツールとして歯科医院で広く利用されることが期待される。
課 題 名 キトサンスポンジ止血剤
新技術の代表研究者 関西大学 工学部 教授 戸倉 清一
委 託 企 業 甲陽ケミカル株式会社
新技術の内容:
 本技術は、甲殻類の外骨格等の成分であるキトサンを用いた生体適合性に優れた外科用止血剤に関するものである。外科手術などに使用されている止血剤は、人の血液から得られるフィブリン糊、牛のコラーゲン繊維等が主に使われているため、ウイルス性肝炎やアレルギー、そして特に、最近ではBSE等の感染が懸念されている。
 本技術では、生体親和性が高く生分解性を持つキトサンを製造工程で溶液を急速に冷やし、その状態のまま凍結乾燥させることにより、構造全層に渡って均一なポアーを持つ多孔質の良質なスポンジの作成を可能にした。
 本技術によるスポンジは外科用止血剤として要求される、迅速な止血性、血液吸着性、高い湿潤特性を持っており、人・動物由来の物質を用いていない安全で新しい医療材料となることが期待される。
課 題 名 ウォーターミスト厨房用自動消火ユニット
新技術の代表研究者 弘前大学 理工学部 教授 伊藤 昭彦
委 託 企 業 株式会社初田製作所
新技術の内容:
 本技術は、飲食店等の厨房に設置する自動消火装置の消火剤を噴霧させるユニットに関するものである。従来の消火剤は炭酸カリウムを主成分とする強アルカリ性の液体であり、使用された後の消火剤の処分が環境へ与える影響が大きい。
 本技術では、従来の消火剤に代り、水と不活性ガスとを微細流としたウォーターミストを用いる。このウォーターミストは特殊技術によって、消火に最も適したミスト状態で噴霧させることにより、従来の消火剤と同等以上の性能を発揮させる。
 本技術によるウォーターミスト厨房用自動消火ユニットは、人体および環境への影響を最小限に抑えることができ、厨房以外でも化学薬品との接触を嫌う各種工場や実験室等、幅広い分野への適用が期待される。
課 題 名 スパッタリング法によるアパタイト薄膜人工歯根
新技術の代表研究者 東京電機大学 理工学部 教授 福井 康裕
委 託 企 業 株式会社国際アパタイト研究所
新技術の内容:
 本技術は、スパッタリング法によりアパタイト薄膜を表面に均一にコーティングし、骨結合性に優れた人工歯根の製造に関するものである。人工歯根の骨結合性を高めるために、チタン上に生体親和性の高いアパタイトをコーティングすることが望まれている。しかしアパタイトの力学的強度は必ずしも高くないので、薄く均一にコーティングする必要があったが、複雑な形状の表面にアパタイトを10μm以下の厚さで均一で効率よくコーティングする技術は難しかった。
 本技術ではスパッタ装置内で複数の人工歯根を一定の角度をもって回転させながら、効率的にアパタイトをコーティングし、さらにアパタイトの分解により生成する不純物を、アルカリ水溶液に浸漬することで除去、再結晶化することで安定した1~2μmの薄膜を形成できる。
 本技術により製造された人工歯根はアパタイト膜厚が薄く、かつアパタイト密度が高いため、早期に顎骨との強固な結合力が得られ、治療期間の大幅な短縮が期待できる。
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This page updated on September 17, 2004

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