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研究開発課題の概要

 全方位ビジョンを用いた医療技術の開発
 
 本研究開発では、全方位ビジョンとその映像処理技術を利用した新しい医療技術の構築を目指し、臨床試験段階前までの装置開発を行う。本装置は、大がかりな撮影機材が不要であり、高齢化社会における在宅医療現場での利用も期待される。
 
 
 ポリリン酸の組織自己再生促進効果を利用した歯周病治療用医療用具の開発
 
 虫歯が克服され現在では歯を失う主たる原因は歯周病である。本研究開発では一度破壊された歯周組織を再生するポリリン酸を利用した製剤の臨床試験を実施し実用化を図る。歯科医が簡単に治療を実践でき、早期治療の機会増大が期待できる。
 
 
 神経変性疾患と虚血性疾患治療薬の開発
 
 パーキンソン病やアルツハイマー病等の神経変性疾患や動脈硬化に伴う虚血性疾患を引き起こす要因の「細胞の死」を抑制する薬剤開発。本研究開発ではペプチド薬の動物実験系での薬効評価および薬剤としての最適化を行う。未だ治療方法がないこれら疾患の画期的治療薬の提供が期待できる。
 
 
 光固定化法によるマイクロアレイ型バイオチップ
 
 バイオチップの利用において今後様々な生体分子の固定化が必要となる。本研究開発では、抗体やアレルゲンとなる様々な生体分子を同一の方法で固定できる光固定化法を用いて、多種類の物質(サイトカインや抗体等)を同時に分析できるマイクロアレイ型のバイオチップを作成する。本技術はバイオチップのハードウェア技術の基盤となることが期待できる。
 
 
 超高精細、軽量、低消費電力、長寿命、カラーマイクロディスプレイの開発
 
 SVGA(800×600画素)を越えるマイクロディスプレイは現在、LCDや有機ELを用いた方式に限定され、いずれの方式も消費電力・寿命等に問題がある。本研究開発では、これら問題を解決するカソードルミネッセンス方式のデバイスを用いてマイクロディスプレイの開発を行う。本デバイスは、マイクロディスプレイのみならず携帯電話やノート型PCへの搭載等、幅広い利用が期待できる。
 
 
 無線LAN国際標準IEEE802.11bおよび11gに準拠した高性能受信チップの研究開発
 
 従来の無線LANでは、受信検出のために整合フィルタを通した出力信号には大きなサイドローブが発生してしまう。本研究開発では受信信号に対して独自の前処理をした後に整合フィルタを用い、サイドローブの無い範囲を作り耐雑音性に優れた無線LANシステム実現する。次世代移動通信、測定機器、医療・介護機器などへの利用も期待される。
 
 
 情報機器用超薄型IC電源の開発
 
 既存のモバイル機器の電源は、コイルやトランスを使用しているため、小型化の限界、電磁ノイズ発生が問題である。本研究開発では電磁部品を使わずキャパシタとICスイッチのみ(スイッチトキャパシタ方式)で電源回路を構成するIC電源を試作する。本技術は、電源も含めたシステムオンチップ化という新たな展開も期待できる。
 
 
 多次元流体計測システムの研究開発
 
 医学、工学、理学など多分野において複雑経路での流体挙動を効率的に多次元計測したいというニーズが高い。本研究開発では、三次元CADデータから製作される計測モデルを用いて、流体挙動を効率的に多次元計測する高精度かつユーザフレンドリな流体計測システムを開発する。血流診断、エンジン吸排気ポート設計など多岐分野での利用が期待される。
 
 
 インテリジェント微粒子材料の創製技術の開発
 
 ナノサイズの機能性高分子微粒子は、電子画像形成材料や酵素・抗体の固定化担体として先端工業分野においてニーズの高い材料である。本研究開発では実験室規模で実績のある製造技術(シード分散重合法、相分離を利用した自己組織化法)をスケールアップし、異形・特異構造微粒子や中空・カプセル微粒子の製造を実用化する。これら微粒子は塗工剤顔料、光学素子、抗菌剤などへの利用が期待される。
 
 
10  超精密ナノ加工計測装置の開発
 
 様々な分野で利用されるマイクロ光学素子は半導体プロセスの適用が限られ、その製造技術の確立が大きな課題となっている。本研究開発では、光放射圧を応用したナノ3次元位置検出プローブと超精密加工機の組み合わせにより、総合精度10nm以上の超精密ナノ加工計測装置を試作する。本技術は、加工および計測装置産業のみならず、そのアプリケーションである金型産業や精密光学素子産業などの技術力向上にも寄与すると期待される。
 
 
11  単分散ミクロスフェア高速製造装置の研究開発
 
 粒子特性が単分散である金属やセラミックスの粒子を工業的に製造できる装置は国内外において市販されていない。本研究開発では、金属やセラミックスの単分散ミクロスフェアを、粒子サイズや粒度分布を用途に応じ自由に変えて連続的に製造する装置を、LPガス燃焼や排ガスのリサイクルを適用して低コストで実現する。リチウム電池用正極材料をはじめとして、様々な材料での各種機能性粉体が製造可能であり、それらは球状かつ単分散という粒子特性を持つため、新規な機能発現も期待できる。
 
 
12  「家庭用有機物資源化装置(オーガニックシステム)」の研究開発
 
 既存の単独処理浄化槽による家庭の雑排水処理は浄化効率が悪く、自然環境や貯水池の富栄養化、水質悪化をもたらしている。本研究開発では、し尿をおが屑で分解し肥料に利用するバイオトイレと、雑排水を沈殿処理し放流できる団粒槽からなるシステムを実用化する。市町村との連携をとり本システムの整備・管理を実施していくことにより、国内に約700万ある単独処理浄化槽の改善が図られることが期待される。
 
 
13  電気抵抗式地下埋設物探査計の開発
 
 地雷除去や遺跡発掘等、地下の埋設物探査は地中レーダー探査法が用いられているが、地質スケールの小さい対象物を高精度に検知できないなどの問題がある。本研究開発では直流電気探査の原理を利用して従来の地中レーダ探査に比べ、安全かつ高精度の探査を可能とする携帯型の探査計を実用化する。本電気探査計は、ダム等の漏水検査、産業廃棄物の土壌汚染調査など社会基盤分野における工学的診断・安全面における貢献も期待できる。
 
 
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This page updated on November 11, 2003

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