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科学技術振興機構報 第1093号

平成27年3月26日

東京都千代田区四番町5番地3
科学技術振興機構(JST)

e-ASIA共同研究プログラム
平成26年度採択「感染症」分野における新規課題採択について

JST(理事長 中村 道治)は、e-ASIA共同研究プログラム(略称:e-ASIA JRP)注1)第3回公募において、9カ国10機関注2)による「感染症分野」で共同研究課題の募集を行い、新規課題として1件を決定し、平成27年2月19日に科学技術振興機構報 第1084号として公表しました(URL:https://www.jst.go.jp/pr/info/info1084/index.html)。このたびさらに3件の新規課題を決定しました。

(1)共同研究課題名:「アジアにおける節足動物媒介新興感染症制御手法構築のための総合研究」

日本側研究代表者 前田 健 教授(山口大学 共同獣医学部)
米国側研究代表者 海老原 秀喜 室長(米国立衛生研究所国立アレルギー・感染症研究所 ウイルス学研究部・分子ウイルス学・病原体-宿主相互作用研究室)
インドネシア側研究代表者 スリハディ・アグンプリヨノ 学部長(ボゴール農業大学 獣医学部)
タイ側研究代表者 オラウット・レルカムムアイチョーク 学部長(カセサート大学 獣医科学部)
フィリピン側研究代表者 エマニュエル・バルタザーレ 教授(中央ミンダナオ大学 獣医学部)

本研究は、日本・フィリピン・インドネシア・タイにおけるダニや蚊が運ぶ感染症を包括的に調査することによって、アジアにおける感染症の対策・施策に貢献することを目的とする。

(2)共同研究課題名:「メコン川流域における肝吸虫患者のQOL維持とがん予防に資する革新的診断システムの開発と普及」

日本側研究代表者 成松 久 招聘研究員(産業技術総合研究所 糖鎖創薬技術研究センター)
タイ側研究代表者 ソピット・ワンカーン 教授(コンケン大学 医学部)
ラオス側研究代表者 ボウンソム・サモントリ 教授(保健科学大学 基礎科学部)

本研究は、日本のお家芸である糖鎖科学に基づく診断薬開発プラットフォームを活用し、タイ・ラオスで1,000万人以上いるといわれる肝吸虫感染患者の胆管がん予防のための診断システムを現地研究者と共同開発し、供給することを目指します。

(3)共同研究課題名:「マラリアワクチン候補分子トランスアミダーゼ様分子のヒトマラリアでの抗原性および遺伝子多様性の解析」

日本側研究代表者 平山 謙二 教授(長崎大学 熱帯医学研究所)
ミャンマー側研究代表者 ティンモン・フレイン センター長(医学研究センター)
フィリピン側研究代表者 マリオ・ジズ 分野主任(熱帯医学研究所 免疫学分野)

本研究は、日本のワクチン開発研究力とフィリピンおよびミャンマーのフィールド研究力を連結することにより、アジア地域で流行するマラリア制圧のためのワクチン開発を目指すものです。

今回の共同研究課題の募集では22件の応募がありました。なお、本課題は平成27年度に設立が予定されている日本医療研究開発機構(AMED)注3)に承継され、支援が実施される予定です。

注1) e-ASIA共同研究プログラム(e-ASIA JRP)
東アジア地域において、科学技術分野における研究交流を加速することにより、研究開発力を強化するとともに、環境、防災、感染症など、東アジア諸国が共通して抱える課題の解決を目指すものです。
本プログラムはその一環として、メンバー国のうち3ヵ国以上により実施される共同研究を支援することを目的とした事業です。参加国が合意した分野において共同研究を実施することを通じて、地域課題の解決や経済発展、人材育成に寄与していきます。
URL:http://www.the-easia.org/jrp/
注2) 第3回公募「感染症分野」参加機関 一覧(JSTを除く)
  • カンボジア保健省(MOH)
    カンボジアの保健医療を管轄する省。病院、医療関係者の活動に加え、医療に関連する産業、NGOなども管轄している。
  • インドネシア研究・技術・高等教育省
    インドネシアの科学技術振興、高等教育を所管する省。1962年創立。科学技術研究政策の立案、施行を戦略的に実行しているほか、国家資産の管理も行っている。
  • ラオス保健省(MOH)
    ラオスの保健医療政策を統括している省。MOHのもと、センター、研究所、中央病院、大学、公衆衛生学校、製薬工場が中央直轄機関として機能している。
  • ミャンマー科学技術省(MOST)
    ミャンマーの経済力につながる科学技術の発展を設立目的として、1996年に設立された。科学技術の研究と人材の育成が主要業務とし、安定した産業成長に不可欠な知的財産保護への協力にも各団体との会合などを通して力を入れている。ミャンマー科学技術研究部、技術と職業育成部、先端科学技術部、原子力部、技術促進統合部及び物質科学と物質工学研究部によって構成されている。
  • ニュージーランド保健研究会議(HRC)
    健康省が所管する国立の研究ファンディング機関で、1990年に設立された。予算はビジネス・イノベーション・雇用省からも配分されており、同省との緊密な連携の下、国際的視点から重要とみなされる幅広い保健医療関連分野の研究の支援を行っている。
    URL:http://www.hrc.govt.nz/
  • フィリピン科学技術省(DOST)
    フィリピンの科学技術振興を担当する包括的な省。技術立国を目指し、国の発展に資する科学技術政策の策定、実行、研究開発への民間セクターの誘導などを実施している。
    URL:http://www.dost.gov.ph/
  • タイ国家科学技術開発庁(NSTDA)
    科学技術環境省が所管する庁で、1991年に設立された。タイの科学技術の産業利用を図るための包括的な組織であり、公的機関および民間の両方の産業技術開発を、資金、研究者、施設、情報など多面的に支援している。
    URL:http://www.nstda.or.th/eng/
  • アメリカ国立アレルギー・感染症研究所(NIAID)
    アメリカ国立衛生研究所(NIH)傘下の研究所。感染症や免疫疾患、アレルギー疾患などの基礎および応用研究をサポートしている。60年以上にわたり、米国始め世界中の人々のための新しい治療法やワクチン、検査法を開発している。
    URL:http://www.niaid.nih.gov/
  • アメリカ国立がん研究所(NCI)
    アメリカ国立衛生研究所(NIH)の一部であり、保健福祉省公衆衛生局を構成する11機関のうちの1つ。1937年の創立以来、米国のがん研究やその訓練の中核をなす研究所である。抗がん剤の開発を始め、がんの原因、診断、予防、治療に関わるさまざまなプログラムについて、その実施、調整、資金援助などを行っている。
    URL:http://www.cancer.gov/
注3) 日本医療研究開発機構(AMED)
平成26年5月に成立した「健康・医療戦略推進法」および「独立行政法人 日本医療研究開発機構法」に基づき、平成27年4月1日から設立される研究開発法人。内閣に医療分野の研究開発の司令塔機能が創設され、文部科学省を含めた各省に計上されている医療分野の研究開発関連予算はAMEDに集約され、医療分野における研究開発が推進される。

<添付資料>

別紙1:e-ASIA共同研究プログラム 平成26年度採択「感染症」分野 新規課題 一覧

別紙2:e-ASIA共同研究プログラム 平成26年度新規課題の採択に関して

<お問い合わせ先>

科学技術振興機構 国際科学技術部
〒102-0076 東京都千代田区五番町7 K’s五番町
中島 英夫(ナカジマ ヒデオ)
Tel:03-5214-7375 Fax:03-5214-7379
E-mail:

(英文):e-ASIA Joint Research Program (e-ASIA JRP) Joint Research Project in the field of “Infectious Diseases”